第1章・19話 宴の終わりに
機械王様、感想とご指摘ありがとうございます。勉強不足が目立つミスでしたね。
新規投稿する小説のタイトルが「アイ=エフ-Future」(現在は「柵を絶て!」です)に決まりました。
この小説のようにチート作品ですが、行き過ぎてはないと思います。文章を少しまじめぶって書いてみましたが、この作品を読んで下さった方なら気にいってくれる・・・はずです(?)投稿日時は本日10月9日土曜午後5時過ぎを予定していますので、覗いて頂ければ幸いです。
前から言ってきましたがしばらくはそちらに力を入れたいと思います。
では、どうぞ。
「まあまあ落ち着けよ舞。」
「うるさいうるさい僕は素面だ~♪」
真っ赤な顔に据わった目では説得力が無い。
さっきまで
「僕は神様~♪破壊神~♪そんな僕がジャスティス!!」
とかわけの分からんことを叫んでいたし。
普段のこいつからは考えられないことだが、
酒の入ったこいつは中々手がつけられない。
酒を飲ませてはいけないヤツが誰かを思い出した時にはすでに手遅れだった。
中学の卒業式のときに水と間違えて飲んだこいつを
止めるのは大変だった。今のように妙にハイテンション
になるし説教癖が出る。迷惑極まりないのだ。
結局その時には酔いがさめるまで待つしかなかった。
だが、今なら酔い止め薬を創って飲ませれば収まるはずだ。
そう思って早速一人分の酔い止め薬を創った。
それを飲ませようと舞に手を伸ばした時、
突如振り返った舞が言った。
「コウ、君に少しいいたいことがあるんだ。」
まずい。この雰囲気はこいつがお説教モードに入る時のものだ。
「こないだの戦いから危ないと思ってたんだけど
僕は君に危ない目にあって欲しくないんだ。」
「・・・・」
予想していたようにくだらないことではなかった。
意外な言葉に思わず耳を傾ける。
「君は優しい。優しすぎる。でも、それは優しさじゃない。
君のそれはもはや傲慢と言い換えてもいい。」
「・・・・」
俺自身これには反論できない。
俺は自己満足や気まぐれでしか行動しない。
もしくは自分の大切なものを守る為に。
「俺は自分の持つ力で救える人しか救わないし、
救えない。俺がやってきたことも偽善だし独善だ。」
俺は御伽話に出てくるような本物の
”勇者”じゃ無い。だから己を通す。
「その考え方で行けば今の君なら大勢を救える。
その代わりに多大な危険をさらすことになるけど。」
舞の言うことも最もだ。
舞の顔を盗み見ればもうすでに赤みは引いており、
透き通るよな白い肌を外気にさらしている。
おそらく今言ったことも全て本音なのだろう。
最初こそ酔いに任せて勢いで言っていたのかもしれないが、舞が心配してくれている。
そのことを考えただけで心が温かくなる。
俺が言うのもおかしな話かもしれないが、
恋、というものとはおそらくまた違った感覚。
「君がすることに指図する気は無いけど、なるべく
無茶はしないで欲しい。もう君はあの時とは違うから。」
そこには言外にお前はもう一人じゃないんだから
周りのことも考えて行動しろ、という意味が見え隠れしている。
俺の昔話を持ち出すことを考えればそれ程気にかかっているんだろう。
「ああ、お前のいいたいことは分かったよ。
でも俺は俺の在り方を変えやしないよ。これからもな。
それにお前の言ったことがあるなら尚更、な。」
「そう、ならもう僕から言うことは無いよ。」
そう言って柔らかく微笑む。
「いきなり変なことを言ったりしてごめんね。」
「気にするな。その、嬉しかったから・・」
流石にこの台詞はちょっと恥ずかしい。
前にも恥ずかしいことを言ったりしたことはあるがどれも自分では殆ど気付かないからだ。
「え?聞こえないなぁ?」
くっ・・こいつ分かっててやってやがる。
「だから!お前に心配されて嬉しかったの!!」
気心の知れた中といえど恥ずかしいものは恥ずかしい。
それでも大声で言ってしまった。
「「・・・・」」
お互いになんとなく気まずい雰囲気が出る。
「今までまともに心配してくれるやつなんていなかったからな。」
赤くなった顔を隠すように月を見上げながら言う。
「僕の言いたいことが伝わったならいいさ。あれは僕が神としてではなくて僕自身、創薙舞として言ったことだよ」
気まずい雰囲気はとっくに霧散している。
先ほど舞が酔っていた時にこの辺りにいたやつらはとっくの昔にいなくなっていた。
そのおかげでおれが恥ずかしいことを言ったのも、
大声で言ったことも誰にも聞かれていない。
「さて、そろそろもどっか?」
「うん、そうだね。」
二人で手をつなぐ、などせずに、
月がとても綺麗に見える此処の場所から中に戻る。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「それじゃ此処で一つ面白いことでもしますかね。」
舞の酔っ払い騒動で軽くなった心とは裏腹に連戦で重くなった体を持ち上げる。
「面白いこと?」
隣に座っていた会長さんが今日はおろしている長い
ストレートヘアを左右に揺らしながら聞いてきた。
「ああ、とっても綺麗なものだよ。」
そう言ってホールの中央まで歩いていく。
パーティーも終盤に近づいてきたのでそれを飾るに相応しいものを俺も準備した。
「このパーティーにご参加くださった皆様!
これから一種の催しものをお見せしましょう!」
ごゆっくりどうぞ、と締めくくり少なすぎる参加者から視線を切り離す。
「森羅万象全ての事象を司る世界よ。
ほんの少しでいい。我が願いを聞き入れ、それを表したまえ。
究極魔法{アサイラム}」
俺を中心に不可視の光が広がっていきホール全体が包まれる。
究極魔法{アサイラム}
俺が魔法を使えるようになってから少しずつ作ってきた究極の魔法。
その空間内では発動してから一度だけどんな条件も無視して願ったことを目の前に具現する。
捉えようによっては神をも凌ぐが、死者を生き返らせたり、
新たな生命を生み出したりなど、神のみに許された禁忌を
犯せばその代償は自身を持って払わなければならない。
その上、以上ともいえるほどの魔力を持っていかれるし、一度発動したら連発はできない。
しかしながらそれらのリスクをもってしても有り余る程のメリットがある。
それを今から具現する。
「世界よ。この場に白き花を咲かせたまえ。」
世界に願う。
「うわ~、綺麗~。」
「これは・・・」
「とっても綺麗です。」
何も俺は”花”を咲かせたわけではない。
少しこじゃれていってみただけだ。
天井からこの世界にあるはずの無い雪が舞い落ちる。
雪が降らないというのは学園での授業中に知った。
似ていることが多すぎて今まで思わなかったが、
やはり此処は異世界なんだと痛感させられた。
雪はまだまだ舞い続ける。
ホール内に設置された魔法を応用して作った照明からでる光が
雪の一つ一つに反射してとても幻想的で息を呑むような光景だった。
本当は普通の魔法を使ってもよかったのだが、
どうしてもこんな風に自然な感じにはできない。
「コウ様、これは何ですか?」
雪をポーっと見つめながらハルが言った。
「これは雪だ。俺のいた世界だとあまり珍しくない自然現象だよ。」
「そうなんですか。」
ホールにいた人全員がそれに魅了され、一言も発しない。
耳が痛くなりそうな静寂が数分間続いた後、ようやく誰かが言葉を発した。
「今更な挨拶だが優勝おめでとう。そしてこんなすばらしい光景をありがとう。」
校長だった。
何時ものふざけた話し方でなく凛とした雰囲気を持った声だった。
パチパチパチ・・
パラパラとだが拍手が起こる。
次第にそれはこの人数では考えられないくらいの大音響に達する。
校長の挨拶と盛大な拍手によってパーティー、
もといただの馬鹿騒ぎが終わった。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「「おやすみ。」」
「「おやすみなさい。」」
何時ものごとく寮の前で別れを告げて、お互いの寝床に向かう。
「今日は疲れたな。」
「ああ、まったくだ。」
ラウの言葉に同意する。
今日は一日の間に多くのことがありすぎた。
あまりの多さに整理しきれず、頭が爆発しそうだ。
「寝るか。」
「そうだな。」
いつもはここで飯を食いに生徒用食堂に行き、その後しばらく雑談、
といくのだが今日は既に食事は済ませてあるし、風呂もさっき入った。
そのため二人とも布団に入って直ぐ睡眠をむさぼった。
~およそ一時間後~
どんどんどんどん!!!!
「何だ?何だ?」
突然の物音に俺は飛び起きた。
ラウは相変わらず変な寝言を言いながら眠り続けていた。
「あぁるじどの~。」
「こぉ~じぃ~。」
この声はアルとパーヴィアだ。
「しまった忘れてた!」
二人ともこの部屋に住むということを忘れて、閉め出してしまったらしい。
「悪い!さあ、早く中に入れ。」
二人に謝りつつも部屋に招き入れる。
・・二人とも酒臭い。
おそらく酒の飲みすぎで俺らと一緒に入ってこれなかったのだろう。
「頭が痛い。」
「酒の飲みすぎだ。さっさと寝ろ。」
アルを空いているベッドに寝させて一息。
とはいかなかった。
「むう~~~~。」
目が据わったパーヴィアが獲物を狙う目で見ていた。
これは、まずい!
「ま、待てパーヴィア!疲れてるだろ?早く寝ようぜ?な?」
「じゃあ枕して。」
そう言って飛びかかり文字通り俺の腹を枕にして寝ちまった。
このままなのも如何なもんかと思って、眠ったままのパーヴィアを抱えて空いている最後のベッドに移した。
「これでやっと寝れる。」
呟いてベッドに倒れこむ。
「限・・界だ・・」
次の日に目覚めるのはかなり遅くなりそうだ。
そう考えてから直ぐに寝息をたて、意識を手放した。
今回で第一章は終わりです。今まで読んで下さった読者の皆様、お付き合いありがとうございました。
・・・・別に連載停止とかではありませんよ?
とりあえず一つの区切りとして、です。この作品は私の初作品ですのでそれなりの愛着がありますから。
と、話は変わって宣伝です。くどいですが私の新小説「アイ=エフ-Future」(現在は「柵を絶て!」です)もよろしくお願いします。
では、いつものあいさつで締めさせて頂きます。
作・コウ・舞「また次回お会いしましょう。さようなら~。」
作「・・・・最後だけ出てきやがった。」