第1章・10話 模擬戦
なんとか一週間ギリギリに投稿できました。
これからは土日のどちらかまたは両方での更新になりそうです。
更新日を何回も変えてしまいすいません。
では、どうぞ。
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~放課後~
「さて、始めましょうか。」
俺たちは今、朝に会長さんに言われた通り、
魔法研究部の部室であるこの部屋に来ている。
そして入ってきて直ぐにかけられた言葉がそれだ。
「んで、模擬戦を何処でやるんだ?」
「まあまあ、そう慌てずにぃ♪」
上機嫌で部屋の奥から、何やらインチキ占い師が使いそうな水晶を持って来た。
「何ですか?それ。」
みんなの疑問をナナが聞く。
「なんとこれはね~、今回の模擬戦場なのだ!」
なのだ!と言われても俺たちには何か分からない。
「具体的にどうするんですか?」
「これに触ってもらえば分かるわよ。」
会長さんはハルの問いに答え、俺たちに水晶に触るように促がす。
「これでいいんすか?」
言われた通りにみんなが水晶に触る。
「ええ、それじゃいくわよ。」
会長さんが言ったとたんに世界が反転した。
いや、正確には小さくなって水晶に吸い込まれた感じだ。
しばらくすると、とても広い草原にいた。
「ここは何処だ?」
「ここは水晶の中、
と言うよりも擬似戦闘空間とでも言ったほうがいいかしら。」
「擬似戦闘空間?」
「そう、魔法によって作られた擬似的な世界よ。もっとも、最初に
登録されたものしか再現できず、値段も張る上に管理も難しい。ただ、
こんな時には重宝するわ。ここならいくら暴れても問題ないしね。
あと大怪我をしそうになったり、瀕死になる前にはここから強制射出されるわ。
だから安心して戦ってね。」
どうやらここは俺の”隔絶空間”の劣化版らしい。
でもここならそれなりに暴れまわっても問題なさそうだ。
怪我の心配もないからな。
「それじゃあ、まずは変態くんからかかってきて頂戴。」
「変態君というのは気になりますが、いかせてもらいますよ。」
会長さんの言葉にいきなり戦闘が開始されるようだ。
「あまりなめないで下さいね、・・・っと。」
ラウが前回の依頼で見せた岩の鎧に炎の剣を作り出し会長さんに向かっていった。
だが・・・
「魔力の物質化とは、あなた中々やるわね。でも甘いわよ!」
直後、会長さんの周りに色とりどりの球体、下位~中位の全属性が展開された。
なかなか綺麗だ。
「おいおい、コウジでもないのにこりゃ何の冗談だ?」
「それじゃ、お・や・す・み♪」
次の瞬間、全ての魔法がラウに殺到した。
しかし、球体が直撃する前にラウが消えた。
どうやら強制射出されたようだ。
「ずいぶんあっさりだったわね。」
「そうですね。会長があんなに強いなんて。」
「くそう、何だありゃ。絶対チートだろ。」
文句をタレながらラウが帰ってきた。
いきなり瞬間移動のように来たからびっくりした。
強制射出されてもすぐに戻ってこれるのだろうか?
「次は、ハルちゃんとナナちゃんで同時にかかってきて。
そのほうが手間も省けるし、あなたたちにも有利よ?どうする?」
ハルとナナはお互いに見合い、頷いた。
「そんなに言われて黙ってられませんよ。」
「全力でいかせて頂きます。」
「よ~し♪それじゃ始めましょう♪」
それからの戦いは凄かった。
とにかく魔法の応酬が。謀シューティングゲームさながらの弾幕だった。
ナナとハルが次々に魔法を発動させ、それを的確に落としていく会長さん。
時にはナナが、ハルが、どちらか一方が隙のある魔法を使う時はお互いに
サポートしあって見事に戦い抜いていた。
だが、会長さんも負けていないらしく、隙を突いて、ナナを撃墜。
それからは一方的で、直ぐに決着が着いてしまった。
それよりもあの二人はいつの間にあんな息のあった戦闘が出来るように
なったのだろうか。そんなことを考えながらも強制射出されたナナとハル
が帰ってきて、ついに俺の番になった。
「さて、最後にあなたの腕前を拝見しようかしら。
手加減は抜きで全力でいくわよ。」
「俺はそれなりにいくさ。ここ壊さない程度にな。」
「その言葉、後悔させてあげるわ。」
「ああ、来い!」
とりあえずは様子見に火球をいくつか飛ばす。
「ふ~ん。まずは様子見って事ね。でもそんなんじゃ私は倒せないわよ?」
会長さんに着弾する前に同じ火球を出されて相殺され、辺りは爆炎に包まれる。
「次は私の番よ。」
煙の中で声の聞こえた方とは反対の方から一筋の雷光が煌く。
かわす必要もないと思い、それを受ける。
案の定、俺に傷をつけることもなく雷光は消滅した。
このままでは煙のせいで周りがよく見えず、あらぬ方向から奇襲されてしまう。
「しょうがない。」
[分解]を使いあたり一体の煙を消し飛ばす。
「魔法が直撃したのに無傷って、一体どんな体してるのよ!?」
「俺を倒すんだろ?あんなの温い温い、殺すつもりで来いよ。」
「分かったわ。飛ばしてくわよ!」
ラウの時のように下位~中位の全属性が無数に展開された。
ただ、今回のはラウの時とは違いその量が桁違いだった。
空を埋め尽くさんばかりに展開された魔法弾は、
まるで流星群が留まっているかのようだった。
「おお、おお、中々凄いな。」
「余裕かましてられるのも今の内だけよ。くらいなさい!!」
会長さんの言葉とともに全ての魔法弾が俺に向かって飛んで来た。
だが俺は慌てずにゆっくりとしかし正確に魔法を発動させた。
「{破滅の翼}」
俺の背中に悪魔翼とも天使翼ともとれる巨大な翼が展開される。
そのせいで、俺の体に触れる前にとんでもない数の魔法弾が消滅していく。
「なっ!!」
びっくりしてる会長さんの目の前に[加速]を使い一瞬で近づく。
もっとも破滅の翼の範囲外のところに、だが。
「!!!!」
「これで、チェックメイトだ。」
破滅の翼から舞散る純白の羽が突如としてその向きを変えて一斉に
会長さんに先端が向く。やり方は簡単。
[情報改変]を使い羽の情報を変更し小型の魔力を搭載した、
意思反映能なオート魔撃砲台、・・よーするに魔力版のファン〇ル
を創り出した。その数およそ数百~数千、流石に会長さんも
打つ手なしなのか両手を挙げて降参の意思を示した。
・・と思いきやこちらに向けていくつかの魔力弾を飛ばしてきた。
「まだ諦めた訳じゃないのよ!!」
次々と接近してくる魔力弾。
俺にとっては脅威でもなんでもないが。
「行っけぇぇ~~!!!!」
「でも残念。終わりだ。」
俺にたどり着く前に破滅の翼の効果範囲内に入り消滅した。
「そんな・・、忘れてた・・・。」
ガクッとうな垂れて起き上がってこない。今度こそ終わったようだ。
あんだけ連戦したんだ、多分魔力切れでも起こしたんだろう。
そう思って会長さんを連れてハルたちのところへ戻る。
でもこれじゃまるで俺が悪者みたいじゃないかな。そう考えつつも
みんなに賞賛の言葉をかけられ、それに答える。
「よく先輩に勝ったな。流石コウジだぜ。
それに前言撤回だな。明らかにお前の方がチートだ。」
「戦い方が非常識です。」
「とんでもないわね、さっきの。でも、少しだけ憧れるわ。」
三者三様の反応だった。よく聞くと賞賛と言えるかどうか微妙だが
とりあえず褒め言葉として受け取っておく。
「はっはっは。それなりに苦戦はした。・・・と思う。」
「なんですか?最後のは?
全然消耗してるようには見えないのですが。」
「まったく、無茶して死人が出なくて良かったけど。」
「まあ、この水晶の機能のおかげで死人は出したくても出せないがな。」
「いいことじゃねぇか。けが人も出なかったんだし。」
ハルの突っ込みを流しつつ、ナナとラウの対応をしていた。
その時会長さんが動いた。
「おはよう会長さん。よく眠れたかい?」
こんな短時間では眠るには入らない。
そもそも眠っていたのではなく気絶していたのだが。
「ん~~?」
寝ぼけたような声で辺りを見渡す会長さん。
そして何か思い出したように急にハッとして俺に駆け寄ってきた。
そりゃあもう凄い勢いで。
「ちょっとコウジくん!」
何か文句言われんのかなぁ~、と思いつつも聞き返す。
「あなたやっぱり生徒会に入らない?いや、入りなさい!」
どうやら違ったようだ。
「いんや、遠慮しとくよ。この間も断っただろ?それにどうしたんだ急に。」
「それがねぇ、困ったことに今年は5年生が抜けたせいで今の生徒会は
人数がかなり少なくてね。それで戦祭りの生徒会が担当する役員の数が
不足してるのよ。それで、ね?」
「ね?と言われてもなぁ。めんどくさいしなー。」
「そこをなんとか!お願い!なんなら戦祭りの期間中だけでいいから。ね?ね?」
う~ん、と唸りながら考える仕草をする俺。
流石にここまで頼まれたらやってみますか。期間限定みたいだし。
「そこまで言うなら。いいぞ。あくまで期間限定だけどな。」
「ありがと~♪コウジくん♪」
そう言いながら抱きついてくる会長さん。
「会長さん。そういうのは気軽にしちゃだめだぞ。俺だからいいものの、
会長LOVEな人だったら卒倒するか襲うかもしれないからな。」
「相も変わらず固いわねぇ~。でもそれもまた・・・」
最後の方は尻すぼみになって聞き取れなかったが俺が固いのは
自分でも何とかしないとなぁ、とは思っているので改めてそう感じた。
「お前は何でも凄いな。」
「(にこにこ)」
「はぁ~~、まったく。」
今度はラウ、ハル、ナナにそんなことを言われた。
ハルは言葉ではなかったが。そしてそのハルの笑顔が恐ろしく怖かった。
何でだろ?俺なんか悪いことしたかな?
「それよりも、これであなたの正体が分かったわ。」
「ん?何のことだ?」
本当に何のことか分からないので聞き返す。
「あなたが”勇者”かなぁ~ってことよ。」
「「「「!!!!」」」」
「この反応じゃあ私以外はみんな知ってたのね。なんか疎外感を感じるわ。」
「何で気が付いたんだ?」
隠してもしょうがないことだし、いずればれるので肯定の意を示した質問を返す。
「あら、あっさり認めるのね。」
「隠しててもしょうがないからな。それで?」
続きを促がす。
「そんなの簡単よ。あなたのその異常なまでの魔力と腰にさしてるその武器。
それはテミストス王国の王家に管理されていた国宝級レベルのものでしょう。
しかも初代勇者が使っていたと言われる伝説の武器。その他諸々の特徴であな
たが”勇者”だってのは分かるわよ。それに異世界人ってのもね。」
どうやら俺はこの人を侮っていたようだ。
元の世界でいうなら間違いなく天才レベルの洞察力や観察力、推察力だろう。
仲間にいればとても心強いが絶対に敵に回したくないタイプだ。
「俺が異世界人って事まで分かるなんてやっぱりやるな、会長さん。」
「私を誰だと思ってるのよ。生徒会長様よ?」
「ははっ、こりゃ参ったな。だが今のはなるべく他言無用で頼む。
この事はあまり知られたくないんでな。」
「分かってるわよ。それじゃ、そろそろ寮に戻りましょうか。」
「腹も減ってきましたし。」
「私もです。」
「私も。」
みんな先ほどの戦闘で腹が減ったのか、早く戻りたがっている。
俺も腹が減ってきたのでその意見に賛成し戻ることにした。
「ところで戻るにはどうすればいいんでしょうか?」
「今度は私に触ってくっればいいのよ。」
「会長に触るんですか?」
「マジッすか!!」
「お前は攻撃加えて戻してもいいんだが?」
「すいませんすいませんすいませんすいません・・」
「分かればいい。」
「じゃ、しっかり摑まっててね?」
会長さんの言った瞬間またあの体が反転するような、浮かぶような、
奇妙な感覚とともに魔法研究部の部室まで戻ってきていた。
「はい。これで終了。もう離れていいわよ。」
ラウが不服そうな顔をしていたので、ナナと一緒に何時ものごとく
コンビネーションアタックを繰り出し沈めといた。
「何かこれがないとしまらないですね。」
ハルがそう言うようにやっぱりこれは、
俺たちの日常と化してしまっているらしい。
「だな。」
「私もこれやんないと何かすっきりしなくて。」
「俺はお前たちのサンドバックじゃな~い!!!!!」
「やっぱり復活が早いのねぇ~♪私も混ざろうかしら?」
「いえ、お願いですからやめてください。」
「そこまで言うんだったらやめてあげるわ♪」
ラウ葬りを終えて会長さんに挨拶をして部屋を出ようとしたが、
呼び止められた。
「ああ、ちょっと待って。」
部屋の中央にある大きめの机の引き出しを、
あれでもない~これでもない~、と言いながらやがて、あった、
という言葉とともにこちらに戻ってきた。
「はい、これ。」
渡されたのは俺の顔写真が入った、
臨時生徒会証明証と書かれたカードを渡された。
「これは?」
「見たまんま生徒会の臨時証明証よ。
これがないと生徒会室に入れないわよ。」
「いつの間に俺の顔写真を撮ったんだ?」
「魔法でね。写真ってのは分からないけど不用意にあなたの世界の言葉を
使わない方がいいわよ?怪しまれるから。」
「ああ、気を付ける。いざとなったら何とかして誤魔化すさ。」
「それじゃ、みんなまたね~♪」
「ああ、またな。」
「また明日お会いしましょう。」
「さようなら。」
「ではまた明日。」
全員で会長さんに挨拶をして帰路に着いた。
そして寮の前でいったん別れ、食事をする為に集まり、
もう一度解散した。
今日は疲れたので、パッパと風呂に入り、寝た。
疲れのせいか、直ぐに眠気が襲ってきてそこで意識が途絶えた。
会長「私も強いはずなのに・・・」
作「まあ、あのチート野朗と比べちゃだめだな。」
コウ「だ~れが、チート野朗だ?
それにお前のせいでこんなことになったんだろうが~!!」
作「では時間がないのでまた次回お会いしましょう~。」
コウ「待てごるぁ!!!」
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