第1章・1話 測定
今回からようやく第1章に入れます。
それと第1章からタイトルが付きます。
では、どうぞ。
「これより入学式を開始する。」
司会者が開始を宣言した。
「では、校長先生お願いします。」
学園なのに一応は入学式なんだな~、とか思っていたら
校長の話が始まるようだ。
どちらかと言えば線の細い、人のよさそうな人壇上に上がって礼をした。
「皆さんこんにちは。ご存知の方もいらっしゃると思います。
私はこの王国立ルシフ学園の校長です。
長ったらしく話すのもつまらないので手短に済ませましょう。」
なんとも生徒に優しい校長である。
「てめえらぁ!学園生活を骨の髄まで楽しみやがれぇ~~!!!」
一拍開けて校長がハイテンションで叫ぶと周りも反応して
「「「「「わあああ~~~!!!!!」」」」」
結構のりのりだった。
「なんだかな、あの人こんな感じには見えないんだけどな。」
「人は見かけによりませんよ。」
ハルとそんな会話をしていたら今度は生徒会長の話へと移った。
「はい!生徒会長のレミネ・クレイ・ヴァイトですっ。
新入生の皆さん、宜しくお願いしますねっ。」
アイドルっぽい雰囲気の生徒会長さんが学園についての
説明をしてくれた。その途中、生徒の中からなにやら危ない
視線が向けられが生徒会長さんはまったく気にせずにいた。
結構、神経は図太いようだ。
「ではこれにて入学式は終了します。
新入生はこれよりクラス分けを行うので闘技場まで向かってください。
係りのが案内しますので付いていってください。」
ぞろぞろと立ち上がり移動する生徒の波に飲まれて俺とハルも
向かうことにした。
「なあ、ところでハルは目立たないのか?」
「私は召還の巫女としてはたいして目立ってはいませんよ。
おそらく殆どの方が召還の巫女と言うよりも預言者、と言った
方が分かりやすいでしょう。それでも顔は見せていませんので
気付く方は皆無だと思われます。」
「それならいいか。俺はあんまり目立ちたくないのでね。」
「そんなこと言ってもさっき受け付けのところで
めっちゃくちゃ目だっていましたよ。」
「あれはしょうがない。正当防衛だ。」
「手を出されたのは私なんですが・・」
「細かいことは気にするな。」
ハルと話をしながら人の流れに流されていったら、
もうコロッセオに着いたようだ。
・・・・最近時間がたつのが早い気がする。
「それでは新入生は先生達と戦ってもらう、それによりクラス分け
を行う。先生の判断により、S、A、B、C、D、E、F、G、Hの順にクラスが
振り分けられる。先生達はそれなりに手加減してくれるから心配するな。
ちなみにSに近づくほど優秀と判断されている。
クラス分けには魔力量などはほとんど関係ない。なるべく上のクラス
に入れるようにがんばってくれ、では・・・・始め!!」
かなり巨大な闘技場なので同時に30人程の先生が生徒を1人づつ
相手にすることができていた。
そうこうしている内に俺の番が来た。
「では次っ!来い!」
この戦闘狂じみた先生が俺の相手らしい。
この人さっきからたくさんの新入生を
タンカーで運ばせているが、大丈夫なのだろうか、教師的に。
「宜しく頼む。」
「はっはっはっ、面白い新入生だな、俺にタメ口とは。
さあっ、楽しませてくれよっ!」
どうやら戦闘狂で間違いないようだ。
まったく。先生が戦闘狂ってどうよ?
「何もしてこないのか?ならこっちからいくぞ!」
一瞬で背後に回りこみ練習用の木剣で斬りかかって来た。
「甘いよ。」
言って、陽影を抜刀し振り向く形で先生の一撃を受け止める。
「俺の動きについてくるか!面白い!
だが、次はそう簡単は行かないぞ!」
先生がそういった瞬間、
炎と氷の竜をかたどった攻撃が俺めがけて飛んで来た。
「無詠唱!?でも、俺にはきかないよ。」
陽影に[分解]を纏わせてその魔法を切り捨てる。
「ぬっ、無効化か?だが魔力反応が無い?
わからぬならっ、押し切るまで!!」
さっきと同じようなだが大きさがケタ違いの竜が
属性違いで20体、あらゆる角度から飛んで来た。
ドガァァァーーーン!!!
とんでもない爆音とともに闘技場の地面にクレーターを作る。
「やり過ぎちまったか?」
「いやいや、先生、今のは無いでしょう。
並みの新入生なら死でいますよ。」
爆煙を陽影を振るうことで払い、
何事も無かったかのように飄々と言う。
「!?あれでくたばらないとは、いいねぇ、楽しませてくれる。」
いつの間にか戦っているのが俺達だけになっていて、
周りからすごく注目されている。
「そろそろ決着つけるとするか。行くぞ!
{如月護身流体術 我流奥義 砕九}!」
「俺も全力で行くかぁ。おらよっt・・がはっ・・」
先生は構える前に血を吐いて倒れた。
余裕で、構えを取らない俺の動きから
先生の攻撃が先に当ると思われたが、
実は俺の攻撃はすでに当たっていたのだ。
それは刹那の出来事。
認識するよりも早く、結果となって現れる。
砕九は光速で回避不能な打撃を打ち込む技。
魔力による浸透破壊を9連続で打ち込み圧縮した
魔力を体内で暴発させる荒業だ。
この世界に来てから考案したものだが魔力自体を
操作できるようになったのはついさっきなので先生が実験台だ。
威力は最小にしたが、まだ完全に魔力を操りきれていないので
万が一もありえる。
そのため直ぐに駆け寄った。
「先生、大丈夫か?」
「ああ、なんとかな。それにしてもあの技は反則だな。
俺だからいいものを、一般の生徒に使うんじゃねぇぞ。
後、お前は文句なしにSクラス決定だ。受付の時に
大暴れしてた奴がいると聞いたがあれはお前だよな?」
既に答えが分かっているのか確認の意味で聞いてくる。
「あれでも威力は最小だよ。先生こそ本気ではなかっただろう。」
「ばれちまったか、これでも生徒を殺すのは気が引けるからな。」
「そんなこと言っても途中、完全に殺す気だったろう。」
「そ、そんなこと無いって・・・・多分。」
「多分かよっ!そこは否定してくれよ!」
「ふう、ではそろそろ戻るとするか。」
横たわったままそんな事を言う。
「無視すんな。」
「そろそろ行かんとまずいだろう。」
こっちを心配そうに眺めているハルと目が合った。
「そうだな、行くか。」
体があまり動かない先生に肩を貸して立ち上がらせた。
「とりあえずこの人頼む。」
近くにいた救護班らしき人たちに先生のことを任せて
さっさと戻ることにした。
「さっきから無茶しすぎです。もう少し気をつけてください。
見ていて危なっかしいです。」
どうやら心配をかけてしまったようだ。
「すまないな。心配かけて。善処しよう。」
取り合えず謝っといた。
「そうしてくださいね。ほんと。」
「そろそろ教室に向かうか。」
「なんかはぐらかされた気がしますがまあ行きますか。」
周りまたしても騒いでいたがあえて無視して教室まで向かうことにした。
案内板に従い教室まで何とかたどり着いた。
入っていきなり、注目された。あれだけ暴れれば当然だろう。
だが、それらの視線を無視して空いている席に適当に座る。
(入学早々、先程ハルに言った事を訂正せにゃならんな。)
「全員そろったか~?そろったら自己紹介をはじめるぞ~。」
さっきの先生がいた。
「復活はやっ!」
「俺のとりえは回復の早さだからな。それよりも、まずは
自己紹介からだ。最初は下の列の一番右端から始めてくれ。」
教室は教卓を中心に段差上に生徒が広がっている感じだ。
俺は自己紹介なんかに興味が無いので取り合えず寝ることにした。
「コウ様、そろそろですよ。」
結構いたので時間が掛かると思ったのだが、そうでも無かったようだ。
結局直ぐに俺の番が回ってきた。
「コウジ キサラギだ。宜しく頼む。」
「よ~し、全員終わったな。そして最後に俺だ。
俺はレイト・ノアズ・フォールズ。これから
長い付き合いになる、宜しく頼むぞ。」
生徒では俺が最後だったらしく最後に先生が自己紹介をした。
「とりあえず、朝のホームルームはここまで、これから休み時間だ。
全員次は魔力測定だから準備しとけよ。
授業の説明や学校の事についてはもう少ししてからだ。以上、解散。」
そう言って出て行くレイト。
休み時間になったせいか急に騒がしくなった。
「ねぇ、聞いたわよ。
あなたがあのうざったらしい貴族をぼこしてくれたんだって?」
「うるさいなぁ」、とぼやいていると不意に声をかけられた。
「貴族?ああ、受付の時のか。あれはうざかったからな。」
何でこいつがそれを?と思いながらも聞き返す。
「くすっ、あなたとは気が合いそうね。」
「僕と結婚してください。」
「えっ?ええっ?」
「何やってんの、馬鹿!」
「ごはっ・・」
俺が見知らぬ女子生徒と話している時その隣にいた
男がハルに変なことを言って女子生徒に殴られていた。
この絵図らは中々面白い。
「そういえばお前ら誰だ?」
「あそういえば自己紹介がまだだったね。
私はナナ・エリス・エンプティーよ。
それでこっちの馬鹿が・・
「ラウ・ロード・リベオンだ。よ・ろ・し・く☆」
「ああ、馬鹿だな。」
「ええ、馬鹿よ。」
「気持ち悪いです。」
ハル、ストレートすぎるのは色々問題だぞ。
「ハル、思っていても言っちゃだめだぞ。」
「俺を馬鹿って言わないでくれ~~!!!」
「これはほっといてとりあえず自己紹介だな。
俺はコウジ キサラギだ。よろしく頼む。」
「ハルピュア・テミストス・ガーラントです。
ハルとお呼びび下さいね。」
「ええ。よろしくね。」
「こ、これ?・・・って俺は物扱いか!」
落ち込んでいる馬鹿を放って置いて話を進めた。
キーン、コーン、カーン、コーン
学校特有のあのチャイムが鳴った。
「やばっ。次は魔力測定だった。急ごう。」
「ええ。」
「はい。」
「おう。」
4人で大急ぎで支度して教室を飛び出た。
こんな日がいつまでも続けばいい、
そう願わずにいられない鋼嗣だった。
砕九・・・分かった人いますか?
ちょっとマイナー(?)なゲームからのパクリ技です。
ではまた次回お会いしましょう。
追記
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