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第十八話 義の進軍と都(みやこ)への狼煙(のろし)

梁山泊りょうざんぱく疫病えきびょうの脅威を回避し、民衆の絶大な支持を得る一方、都の朝廷は疫病と相次ぐ敗北で士気は地に落ちていました。腐敗した宰相さいしょう蔡京さいけいは、最後の頼みとして、残る全ての軍勢を結集させ、梁山泊との決戦に挑むことを決定しました。


「天命は完全に我々に傾きました。今こそ、義の旗を都に掲げ、悪徳あくとくの根源を断つ時です!」宋江そうこうは、百八星ひゃくはっせいを前に、力強く宣言しました。


はるかは、この最終決戦の成功を確実にするため、最後の「チート」戦略を打ち出しました。それは、「都のインフラの無力化」でした。


「都の防衛の鍵は、強固な城壁と、食料・水の供給ルートです。我々は、力で城壁を打ち破るのではなく、都の機能そのものを内部から麻痺させます」


遥の指示を受けた精鋭部隊が、密かに都へと潜入しました。


水路の遮断: 公孫勝こうそんしょうの道術と、燕青えんせいらの情報網を使い、都へ流れ込む主要な水路の分岐点を特定。水路の一部を巧妙に遮断し、都の清潔な水供給を一時的に停止させました。


食料倉庫の無力化: 顧大嫂こだいそう孫二娘そんじじょうが組織した後方支援部隊が、都外の食料倉庫を襲撃。奪った食料は全て周辺の貧しい村へ分配し、都の兵糧ひょうろうを断ちました。


情報撹乱かくらん: 戴宗たいそうが神速で都と周辺地域を駆け巡り、「皇帝は病に倒れ、蔡京が国を乗っ取った」という偽の情報を流布るふさせました。


都が内部から混乱と飢餓きがに襲われ始める中、梁山泊の「五虎将ごこしょう軍」が、都へと向かって進軍を開始しました。


先鋒せんぽうを務めるのは、盧俊義ろじゅんぎ林冲りんちんの両雄。彼らの武術は、遥の戦略と訓練により、かつてないほどの鋭さを増していました。


都の城門前で、両軍が激突しました。官軍は数こそ多かったものの、疫病と飢餓、そして指導部への不信感から、士気は最低でした。


盧俊義は、その玉麒麟ぎょくきりん槍術そうじゅつで敵の防衛線を切り開き、林冲は豹子頭ひょうしとうの槍で、敵の指揮官を次々と打ち倒しました。武松ぶしょう魯智深ろちしんは、文字通り鬼神きしんの如き活躍で、敵の側面を崩壊させました。


そして、遥の予測通り、都の民衆が暴動を起こしました。水と食料の不足、そして蔡京への怒りが爆発したのです。


「もはや戦う意味はない!梁山泊こそが我々を疫病と飢餓から救ったのだ!」


内側から城門が開き、梁山泊軍は勝利の雄叫びと共に、都へと流れ込みました。蔡京は捕らえられ、皇帝は退位たいいを表明。長きにわたり国をむしばんできた腐敗した宋王朝は、梁山泊の「義」と「知恵」の前に、ついに終焉しゅうえんを迎えたのです。


勝利の歓声が響き渡る都の中、遥は宋江の隣に立ちました。


「これで、全ての悲劇を回避しました。我々の戦いは終わりました。しかし、『新しい国づくり』は、今、始まったばかりです」


梁山泊の旗は、都の城壁に高々と掲げられました。それは、武力による征服ではなく、智恵と科学、そして民衆への深い愛によって、新しい時代が到来したことを告げる、希望の光でした。


語り手 宋江そうこう

わしは宋江。小役人だったわしが、都の城壁に義の旗を立てる日が来ようとは。これは、わしの力ではない。


全ては、青龍せいりゅうの智恵。彼は、戦う前から勝利を決めていた。都の水を断ち、兵糧を断ち、そして民の心をつかむ。彼の戦術は、この時代の全てを超越していた。


腐敗した王朝は滅びた。しかし、これは通過点だ。わしらが目指すのは、「民が義を重んじ、知識を尊ぶ」新しい国。


青龍の描く未来。それは、疫病に脅かされず、飢えに苦しまない、真の平和な世だ。


さあ、義の兄弟たちよ。武力による戦いは終わった。これからは、智恵と情けによる、新しい時代を築き上げる戦いだ!


次回、遥が目指す「理想の国家」の姿が具体的に示されます。

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