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(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!  作者: みん


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58 遭遇

卒業式迄、後2ヶ月─




卒業迄2ヶ月となると、卒業生の殆どの生徒は自由登校となる為、4年生はあまり学校には来なくなる。姉も、卒業と同時に婚姻の発表とお披露目、アンカーソン邸入りする為に忙しく、アンカーソン様共に学校には来ていない。



殿下も然り──





殿()()、この書類のチェックをお願いします。」

「分かった。そこに置いておいてくれ」


ここは生徒会室。今日の放課後も、卒業式に向けての作業を行っている。そして、私が今呼んだ“殿下”とは、王太子殿下ではなく、第二王子であるイズライン王子の事である。このイズライン殿下が、アシェルハイド殿下の後を引き継ぎ生徒会長となった。私も、そのまま生徒会役員に残った。そして、引退した6人の後任の中には、ルイーズとメリッサが居た。ルイーズもメリッサも、常に成績はトップ10をキープしている。姉が居なくなって寂しいなと思っていたから、2人が居る事はとても嬉しい。そして、後の4人の内2人はイズライン殿下の側近で、後の2人は1学年上の先輩である。


「兄上の()()()が、半端無い……」


と、イズライン殿下が遠い目で呟き、「何がですか?」と訊いても、「何でもない。気にするな」と、憐れみの様な眼差しを向けられたのは──何故だろうか?


アシェルハイド殿下は、卒業と同時に光の魔力持ちである事を公表するらしい。

卒業式の1週間後に、デビュタントの為の夜会が王城で執り行われる。そこでの発表となるそうだ。

それと同時に、もう1人の光の魔力持ちのリンディの、ゲルダン王国の王弟への輿入れも発表されるとの事だった。同時に行うのは、光の魔力持ちを他国に嫁がせると言う事は、基本有り得ない事であり、普通なら絶対にしない事であるが、王太子自身が光の魔力持ちであるなら、話が変わってくるからだ。


ゲルダン王国は、今の国王になってから本格的な外交を始めた。土地柄、食物が育ちにくく、特に近年では食料不足に陥っている。その反面、純度の高い魔石がよく採れる鉱山が沢山ある為、その魔石と食物の物流交換を推し進めているらしい。

そして、その魔石採掘の際、かなりの重労働を伴う為、負荷が掛かり過ぎないように働き手を多く雇ってはいるが、どうしても倒れてしまう者が後を絶たない。

そこでの、光の魔力持ちのリンディの輿入れだ。(実は違う理由ででの)王弟からの申し出ではあったが、国王は大層喜んだそうで、アラバスティア王国に優先的に魔石を輸出してくれる事になったとか…。

正直、心配でしかない。リンディの魔力は弱い。訓練をしているとは言っていたけど、それでもとても弱いのだ。


「………」


リンディには、色々されたし言われたけど、どうしたって双子の妹な訳で────


ー光の魔力が少しでも強くなって、ゲルダン王国では、他人(ひと)の為に尽して頑張って欲しいー




『エヴィも、大概のお人好しよね』




と、誰かが呟いた声は、私には届かなかった。









卒業式迄、後1ヶ月─




「エヴィは居るか?」


「兄上!?どうして生徒会室(ここ)に?」


放課後の生徒会室に、今日も登校していなかった筈のアシェルハイドがやって来た。


「忙しかったのが少し落ち着いてな。それで、エヴィに用があって、この時間なら生徒会室(ここ)に居ると思って来たんだが…居ないな?」


「エヴィ嬢なら、今、職員室に行ってますが、もうそろそろ帰って来るかと──」

「この後、エヴィを連れ出しても良いか?」

「本当は、忙しいから断りたいところですが……今日だけですよ?」

「イズ、ありがとう」


と、アシェルハイドが部屋から出て行こうとすると


「殿下、コレはエヴィの鞄ですわ。エヴィに渡していただけますか?」


と、メリッサが、アシェルハイドにエヴィの鞄を手渡し、ソレを受け取ったアシェルハイドは「ありがとう」と言って、今度こそ部屋から出て行った。




「王太子殿下は、エヴィの事が本当に好きなんですね」

「あぁ。エヴィ嬢本人だけが気付いてないだろうけど…アレは、もう逃げられないと思う」

「ですよね?ブラックパールのピアスを身に着けた時点で……チェックメイトですよね」


イズラインは憐れみの目を、メリッサは楽しげな目をして笑った。





******



「エヴィ!」


「っ!?で─アシェルハイド殿下!?」


職員室に書類を届けた後、生徒会室に戻る途中で殿下に遭遇した。卒業式前の忙しさもあり外交のお手伝いはしておらず、殿下とは王太子宮に泊まった日以来会っていなかった。2ヶ月ぶり……だろうか?


「アシェルハイド殿下、お久し振りです」

「あぁ、久し振りだな。元気だったか?」

「はい。私は元気にしてました。殿下もお元気そうで何よりですが、今日は、どうされました?」

「イズが、エヴィは今日はもう帰って良いと言ってくれたから、少し、俺に付き合ってくれないか?」


私の鞄を手にした殿下は、私に手を差し出してニッコリと微笑んだ。





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