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(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!  作者: みん


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50 黒色

「ブラック…………パール…………」


授業が終わった後、生徒会の集まりもなかった為、真っ直ぐに寮の自分の部屋へと帰って来て、ライラに殿下からもらったピアスを出して来てもらった。「まさかね……」と思いながら、そのピアスが入っている箱を開けて見てみると………


そこには、小ぶりながらも、黒黒と輝くブラックパールのピアスが鎮座していた。


「………」


社交界に疎い私だって知っている。黒は、国王陛下と王太子の色とされていて、ここ数年において、夜会などでは黒色は身に纏わないと言う暗黙のルールがあると言う事を。


それなのに……私は、その黒色のピアスを身に着け、その上……殿下のエスコートであのホールに入場していたのだ。


箱の蓋を閉じ、その箱を握り締めて、私は急いで寮の部屋を出て駆け出した。









「アシェルハイド殿下!こっ……これはどう言う事ですか!?」


多分居るだろう─と思い、やって来たのは生徒会室。思った通り、殿下は生徒会室で書類の整理をしていた。

息を切らせた私を見た後、私が手にしているモノを見るとニヤリ─と笑った。


「あぁ…()()()気付いたのか?」

「ゔっ──」


確かに……あの夕食会から、すでに3ヶ月近くも経っている。でも、仕方無いよね?社交界デビューもしていない学生が、一体いつ、あのピアスを着ける時がある?無いよね?


「アシェルハイド殿下……これは……一体……」

「“何故?”と訊かなければ分からないか?」


くくっ─と、何やら楽しそうに笑う殿下。


「ゔっ───」


流石の私でも、分からないと言う程、世間知らずの馬鹿じゃない。

どう反応すれば良いのか分からなくて、視線をキョロキョロと彷徨わせていると、ふと殿下の手元に視線が止まった。


今、殿下が手にしている()()

あの時、真っ二つに割れてしまったモノ。


「アシェルハイド殿下…そのペンは……」


「あぁ、これは、エヴィが()()()()買ってくれたペンだな」


「─っ!いっ……言い方!!─ではなくてっ!そのペンは、あの時真っ二つに……」


無礼男子のせいで、真っ二つに割れてしまったけど、『それでも良い』と言われて、渋々殿下に渡していたモノ。


「あまりにもキレイに割れていたから、修理ができるんじゃないかと思って、硝子細工専門の職人に見せたら、直せると言われて、直してもらったんだ」


見てみるか?─と言われ、私に差し出されたペンを手に取って見る。確かに、パッと見ただけでは気付かないけど、よーく見ると、ペンの中央付近にうっすらと線のようなモノがある。接着?した痕なんだろう。でも──


「態々修理して使わなくても、殿下ならいくらでも新しいモノを──」

「新しいモノは、いくらでも直ぐに手に入るけど、エヴィから貰ったモノはコレしかないからな」


「っ!?」


手にしていたペンに気を取られていて、すぐ目の前迄来ていた殿下には全く気付いていなかった。


ー距離が…近い!ー


スッと後ろに下がると、その分殿下もスッと前に進む─から、距離が開かない。


「あっ!」


そのまま何歩か下がった時、部屋にある椅子とぶつかり、そのままストンッと椅子に座るようにお尻をついた。それを見た殿下が、これまた楽しそうに笑った後、私の座っている真横に腰を下ろした。


「でん───」

「俺は、エヴィが好きなんだ」

「────はい???」


ー“好き”???ー


「俺が卒業した後も、2年も学校生活が残っているだろう?」

「……そう…ですね?」


殿下とは年の差が二つあるから、殿下が卒業してもまだ2年の学生生活が残っている。だから?


「エヴィは知らないと思うが、エヴィは結構人気があるんだ」


「はい??」


ー人気??魔力無しなのに???ー


「今迄、それとなく意思表示はして来たつもりだが、それでは一切通じてなかったと─痛感したからな。ハッキリ伝える事にしようと─」


殿下が私の手の上に手を重ね置く。


「もう一度言う。俺はエヴィが好きだ。“解毒役”じゃなくて、恋人として側に居て欲しいと思っている。他の誰にも取られたくはないし、くれてやるつもりも無い」


「………」


嘘や冗談では……無いんだろう。いつもの黒い笑顔でも、人を揶揄うような顔でもなく、いつもは意志の強い瞳も、今は切なそうに揺れている。


「えっと…その…」


「今すぐ答えが欲しいとは言わない。取り敢えず、俺が卒業する迄の間、少しずつで良いから、俺を見て考えて欲しい」


そう言うと、殿下は重ねていた私の手を一瞬だけギュッと強く握った後「もう時間も遅いから、寮迄送ろう」と言って、殿下も帰り支度をしてから、私を寮迄送り届けてくれた。


「それじゃあ、また明日な」


と、頭をポンポンと叩いてから、殿下は正門のある方へと去って行った。





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