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(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!  作者: みん


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31 お願い

「これです……」


殿下に嘘をつくのも隠すのも無駄だろうと思い、素直に話したら、「見せて」と言われた為、袋の中から取り出してみると、本当に、本当に!綺麗に真っ二つに割れていた。


「はぁ───」


やっぱり溜め息しか出なかった。

硝子細工の物は、その日、その時によって色の出方も違って来る為、同じ物は無いと言われた。同じような色の物もあったけど、色の具合がどうしても殿下とは微妙に違っていたのだ。


「これは……俺の色?」


「あ、はい。その色の具合?が、アシェルハイド殿下の色だなぁ─と思って……一目惚れに近い感じで買ったんですけど……」


「俺の色………ひとめ………ぼれ!?」


「ん?何か言いましたか?」


割れたペンを手に取り、何やらブツブツ呟く殿下。あまりにも声が小さくてよく聞こえなかったけど……ん?怒ってる?ん?笑ってる??


「あの……大丈夫ですか?」


「あぁ、大丈夫だ。エヴィ、これはこれで、もらっても良いか?」


「え?駄目です!そんな、割れてしまった物を差し上げるなんてできません。お礼はまた改めて──」

「いや、コレが良いんだ。エヴィが、俺の色だと選んでくれた……コレが良いんだ」


「ゔー…………」


いつもの胡散くさ………腹黒爽やか笑顔ではない、フワッとした笑顔をここでされると……断り難い………けど……


「でも、使えない物を渡しても、お礼にはならないし……」


「俺としてはコレで十分だが、エヴィが気になると言うなら、一つ、俺のお願いを聞いてくれるか?」


「お願い?私のできる事なら………」






なんて───簡単に返事をしてはいけなかった。



あれから、『じゃあ、付いて来て』と、ニッコリ笑った殿下の後を付いて行くと、街で人気のカフェへとやって来て、並んでいる列を素通りして裏口から入り、そのまま個室へと案内された。しかも『武にも長けた王太子殿下ですから、お任せしても大丈夫ですよね?』と、ライラは私を殿下に押し付けて帰ってしまい、見える範囲では、殿下と2人きりになってしまった。


ーどこかに、護衛の人は居るんだろうけどー


「ん?どうした?もう、お腹がいっぱいだったか?」


「いえ。食べれます。甘味は別腹ですからね」


ーただ、2人きりと言う事が気になるだけですー


誰かに見られるよりは、個室で良かったのかもしれない─と思うしかないよね?それに、これは、お礼としての付き合いだし。よし!


「えっと……アシェルハイド殿下は、甘い物が好きなんですか?」


「甘過ぎるのは苦手だが、嫌いではないな。この店のパンケーキが美味しいと聞いて、一度食べてみたかったんだ。ただ、男だけで来るのには、少し抵抗があったから、なかなか来れなかったんだ」


確かに、このお店のパンケーキは有名で、デートにはもってこいのお店で人気があり、客層はカップルと女性が多い。それに、店内は可愛らしい装飾がされている為、男だけで入店するのは少し恥ずかしいかもしれない。


「なら、私も少しはお役に立てたみたいですね。良かったです」


ふふっ─と笑えば、殿下が「ぐぅーっ」っと、少しくぐもった声を出した。慌てて「大丈夫ですか?」と訊けば、「大丈夫だ。気にしなくて良い」と言われた為、気にはなりつつも、取り敢えずお互い、パンケーキを注文した。




「んー!美味しいですね!」

「あぁ、俺にも丁度良い甘さで食べやすいな」


ふわふわのパンケーキが二段に積み上げられていて、生クリームがたっぷり掛かっているけど、甘さ控えめなクリームで食べやすくなっている。これに、殿下の物にはナッツがたっぷりトッピングされていて、私の物には、桃の蜂蜜のコンポートが添えられている。この桃のコンポートだけでも充分満足できる程美味しい。


「エヴィは、桃が好きなのか?」

「はい、桃は私が一番好きなフルーツですね」

「そうか」

「………」


何度目かは分からない、他意の無い自然?な笑顔を向けられると、何となく調子が狂ってしまう。


ー殿下には、()()腹黒爽やか笑顔が似合うよねー


なんて、絶対に口に出して言ったら駄目だけど。


「こんな時にするのもなんだけど、前に、通訳の話をしただろう?その話を外交担当の者に話したら、一度会って話をしたいと言われたんだが、来週、どこか都合の良い日はある?」


「ご存知の通り、私はただの学生ですから、授業が終わった後に生徒会の仕事がなければいつでも大丈夫です。学校が休みの週末でも構いません」


「ふむ。それじゃあ、バタバタするのもなんだから、週末にゆっくりと時間を取ろうか。すまないが、週末は予定を空けておいてくれ。また時間が決まったら連絡する」


「分かりました。こちらこそ、時間を作っていただいて、ありがとうございます。宜しくお願いします」


“通訳”を通して、国外に触れる事ができるかもしれない。


そう思うと、沈んでいた気持ちが少し上昇した。





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