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(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!  作者: みん


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30 腹黒爽やか殿下

「「お……王太子…殿下!」」


そこに現れたのは、アシェルハイド殿下だ。


「さて、どうしようか?」


「すっ──すみませんでした!」


「ん?それは何に対しての謝罪なんだ?あぁ、今、王太子(わたし)を殴ろうとした事か?」


「そんなっ……王太子殿下を殴ろうなどとは─」

「それじゃあ、伯爵令嬢であるエヴィ嬢に手を上げようとした事?それとも、“魔力無し”と侮辱した事?それとも…………エヴィ嬢の物を取り上げたうえに、放り投げた事か?」


「───ちが──────っ」


ーうわぁ……全部殿下に見られていたと言う事だよね?ー


「それと……リンディ嬢。何故、リンディ嬢がここに居るのか説明してもらえるかな?」


いつもの、人好きのする笑顔をリンディに向ける殿下。でも、その笑顔を向けられて喜ぶだろうと思っていたリンディは、ビクッと体を震わせて、更に顔色を悪くしている。


ふと気が付くと、無礼男子2人は、未だフードを深々と被っている男性2人に拘束されていた。何とも手際が良い─良過ぎる。きっと、“何者?”と、詮索してはいけない人達だ。


ー見なかった、気付かなかった事にしようー


うんうんと小さく頷いている私を、ライラは楽しそうに見ていた。


「リンディ嬢、答えられないのか?」


「あ…私……今日は……体調が………」

「あぁ、そうだったよね?『今日は体調が悪いから、訓練は休みたい』と、魔導士に言って訓練を休んだんだよね?そのリンディ嬢が、何故こんな所に居るんだ?」


ーえっ!?リンディ、そんな嘘をついて……何を!?ー


あぁ!そうか!お姉様が登城できないから、代わりにブレイン様とデート~なんて思っていたけど、その予定がバッサリと裏切られて、腹立たしい?気持ちの勢いのまま、無礼男子達と街へとやって来た─と言うところかな?


「リンディ嬢。別に、訓練とは強制ではないから、街に出たい時や遊びたい時は、素直にそう言って休めば良いんだ。嘘をついて遊ぶ事は止めた方が良い」


「はい……すみませんでした」


「その謝罪は、魔導士にするべきであって、私には不要だ」


殿下は爽やかな笑顔のまま、リンディにバッサリと言い放った後、スッと真顔になり


「リンディ嬢は、光の魔力について、ちゃんと理解をしているのか?」


「理解?」


殿下の不意な質問に、問われたリンディも意味が分からないと言うような顔をして、殿下を見上げている。見上げられている殿下も、その視線を逸らす事なく、真っ直ぐにリンディを見ている。そして、先に視線を逸らしたのは……殿下だった。

目を瞑って軽く息を吐いた後「リンディ嬢、今日はもう城に帰った方が良い」と言うと、もう1人フードを被った人が現れて、リンディを連れて行ってしまった。気が付けば、無礼男子達の姿もなかった。


ー“何者?”と訊いてはいけない人は、一体何人居たんだろうかー


フルフルと首を振って、気持ちを落ち着かせる。


「──エヴィ、大丈夫か?」


パッと顔を上げると、目の前に心配そうな顔をした殿下が居た。


「アシェルハイド殿下、助けていただいて、ありがとうございました。私は大丈夫です」


「そうか……なら良かった」


ホッとしたように微笑む殿下。意外だ。腹黒殿下でも、こんなにも柔らかく笑う事もあるんだなぁ─って……そう言えば、殿下に買ったお礼……()()()、カシャンって音がしたよね?多分、アウトだよね………。


「はぁ─────」

「大きい溜め息だな?」


「はっ!失礼しました!別に、他意は無いんです。ちょっと気になる事があっただけなんです」


「気になる事?」

「あっ!!」


馬鹿!そんな事を言ったら……


「あー、やっぱりね。エヴィ、コレ壊れてるわ」


と、いつの間にやら、ライラが私が持っていた紙袋を持ち、中身を確認していた。やっぱり壊れてたか……あの髪撫で男子め!!


「壊れていた?何がだ?」


ほら!やっぱり殿下が食い付いて来た!きっと、ライラはワザと言ったのだ。顔がとっても楽しそうだ。軽くライラを睨んだところで、ライラは更に笑っただけだった。


「あー……買った物が……その……床に放り投げられた時に壊れてしまったようです。硝子細工のペンだったので……」


そう。殿下へのお礼として、硝子でできたペンを買っていたのだ。ペン先が透き通るようなグレーで、ペン尻は黒色のグラデーションになっていて、まるで殿下を表す色だなぁ─と思って、一目惚れ?したように迷う事もなく購入したのだ。硝子でできている為、普通のペンよりも比較的お手軽でもあったから、重たいお礼にもならないだろうと……。

あまりにも私が落ち込んでいるように見えたのか……


「そんなに気に入っていた物だったのか?なら、俺が買ってプレゼントでもしようか?」

「プレっ!?()()()()意味が無いんです!」

「意味がない?」


ーふわー!また口が滑った!!ー


「──お気になさらずに……。私はこれで失れ──」

「─失礼させる訳ないだろう?」


一刻も早く立ち去ろうとした私の肩を、腹黒爽やか笑顔の殿下にガッツリと掴まれてしまった。


そんな私達を、ライラはやっぱり楽しそうに見ているだけだった。








❋補足❋


フードを被った人(影)は、アシェルハイドに3人、リンディに1人、エヴィに2人の合計6人。リンディを連れ帰ったのは、リンディ付きの影です。エヴィとリンディは、自分に影が付いている事は知りませんが、ライラは気付いています。



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