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(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!  作者: みん


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11 ジェマ=ブルーム

私には、双子の妹と、弟が居る。


双子の妹の一人、リンディは光の魔力持ち。

もう一人のエヴィは、水と風の魔力を持っていたけど、10歳の頃に高熱が続いた時に、その魔力を失ってしまった。

弟のサイラスとは、話した事は無い。





「エヴィ様が熱を出して寝込んでいるのに、奥様はリンディ様とお出掛けに──」


私が部屋で本を読んでいると、エメリーとアリスが話しているのが聞こえて来た。


私は2人にお願いして、エヴィの所へと行く事にした。






『ねえ…さま。ずっと……側にいてくれる?』


久し振りに会ったエヴィは、私の事を覚えていてくれて、私に側にいて欲しいと言ってくれた。

私はこの家には要らない子だと思っていた。でも、エヴィは側に居て欲しいと。それがとても、嬉しかった。




それ以来、私とエヴィは、義母の目を盗みながら会って話をたくさんするようになった。エヴィ自身ハッキリとは言わないけど、どうやら、エヴィも義父や義母の事をあまり良くは思っていないようだった。寧ろ──



そうして、私が学校へと通う年になった。

私の実の母の父親─祖父の提案で、私は王都にあるローアン侯爵邸から通学する事になった。それは、とても有り難い申し出だった。ただ、エヴィを残して行く事だけが気掛かりだった。




ローアン邸と学校生活は、充実していてとても楽しかった。

現ローアン公爵である伯父はとても優しくて、いつも私を気に掛けてくれるし、使用人の人達も私に良くしてくれている。


そして、婚約者のブレイン様。祖父同士が決めた婚約ではあるけど、いつも笑顔で私に接してくれている。学校でも、特に用事がなければお昼は一緒に食べるようにしている。


そこに、たまに王太子殿下がやって来る事もあり、その時ばかりは緊張するけど、これは仕方無い事。ブレイン様は、王太子殿下の側近の一人だから。


この王太子殿下にはまだ婚約者が居ない。


「光の魔力持ちのリンディでは?」


と、ポロッと口にした事があったけど、それに対して王太子殿下もブレイン様も笑っただけだった。



******


それから2年が経ち、いよいよエヴィとリンディが入学して来ると言う少し前。


「ねぇ、ジェマ。君の妹のエヴィは、どんな子なの?」


放課後、ブレイン様とお店でお茶をしている時にそう訊かれた。


「……どんな子…とは?」


「いや……その……」


と、ブレイン様は少し躊躇いながらも話をしてくれた。






「リンディと一緒に王城にと誘われたけど、馬車が嫌だから寮を選んだ??」


「あぁ。父が言っていたんだ。別に義務ではないから良いんだけど、その理由を聞いて……何と言うか……それで、リンディ嬢も寂しそうだったと……」


「………」


色々有り得ない。エヴィがそんな理由で寮を選ぶ筈はないし、リンディが寂しがるなんて事は……。


私が黙り込んだのを、ブレイン様は私が肯定していると思ったのだろう。


「これはエヴィ嬢の我儘であって、ジェマが気にする事はないから。父も、それはよく分かってるから」


フワリと優しくて微笑むブレイン様。私を安心させる為なんだろうけど──


「──ではありません。」

「え?」

「エヴィは……我儘じゃありません。我儘なんて………言った事なんてない!」


そう。エヴィは我儘なんて言わない。いつもいつも我慢していて自分だって辛い立場なのに、いつでも私を優先して──。


「───ブレイン様、ごめんなさい。私、今日はもう帰ります」


慌てて「送って行く」と言うブレイン様を何とか断って、私は急ぎ足でローアン邸へと帰った。






そして、エヴィの入寮の日、久し振りにエヴィに会ってたくさん話をした。

この2年で少し痩せただろうか?リンディよりも少し細目の体つきになったエヴィは、幼さが抜けていて、“可愛い”と言うよりは“綺麗”の部類に入っていると思う。


「エヴィ、あの……気を悪くしないでね?ブレイン様から聞いたのだけど──」


と、私はエヴィ本人に、今回の事を訊いた。



「……リンディとお母様が……そうですか……」


目の前に居るエヴィは、ショックを受ける訳でも、悲しむ訳でもなく……諦め?に似た表情になっている。


「王城での話は、今初めて知りました。寮に入った理由は、お母様に勧められたからです。“その方が都合が良いでしょう?”と。でも……私の我儘ですか………」


そう言ったきり、エヴィは黙ってしまい、それとは逆に、部屋の端にある椅子に座っていた侍女ライラの表情が、笑っていながらも怒っている空気を漂わせていた。





『お姉様、別に、我儘だって事は訂正しなくて良いですから。どうせ、何を言っても、相手は光の魔力持ちのリンディだから、結果は変わらないと思うの。だったら、私は……これからは私のやりたいようにする事にしました!!』


と、何故か急にエヴィが……()()()

気持ちが吹っ切れた?と言うのだろうか……。


エヴィはその日から、少しだけ我慢する事を、止めたようだった。




弾けたエヴィも、それはそれで可愛いけど。




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