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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第三章 育預

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94.ありがたや

 そうなのですか。

 やっぱりヒルデガット辺境伯領にはお城があるんですね(汗)。

 ていうか辺境伯なんだからむしろ砦とか?

 領地に帰ったらヒルデガット様もお姫様なんだろうな。


 ちなみに「姫君」と称されるのは本当は王家と公爵家の未婚の令嬢だけなんだけど、お城に住んでいるご令嬢も通例で姫君と呼ばれる。

 だってお城だし(泣)。

 男爵って正規の貴族なんだけど、お城の差配ともなれば執事も正規貴族がやるんだろうな。

 私には関係ない世界のお話です。


「そういえばサエラ様って王都以外は行った事無かったりするの?」

 ヒルデガット様に聞かれてしまった。

 答えざるを得ない。

「はい。

 後はサエラ領だけです」

 実際にはミルガスト伯爵領の一部地域なんだけどね。

 でも正規の貴族が代官として赴任している以上、その土地は統治している貴族の領として扱われる。

 本当に代官な場合は違うけど。


「でしたら今度私が領地に帰るときに一緒に行かない?

 サエラ様とは個人的にお知り合いになりたいのよね」

 言われてしまったーっ!

 断れない。

 こういう事がありそうだから誰かと二人になるのは避けていたのに(泣)。


「ありがとうございます。

 デビュタントが終わりましたら、是非」

 とりあえず逃げておく。

「約束よ?」

「はい」

 どうしようもないよね。

 その後すぐにヒルデガット家の馬車が来てお別れした。

 もの凄く疲れた。


「ご苦労様でした」

 グレースが笑いを含んだ顔で言ってきた。

 私の専属メイドも他人の目がないとこれだ。

 ヒルデガット様と同じか。

「疲れた」

「お茶会はご一緒出来ませんでしたが、何かございましたか?」

 グレースが聞いてくる。

 メイドの言葉じゃないけど、どう考えてもグレースってミルガスト家で何かのお役に就いている臭いのよね。

 別に隠すこともないので覚えている限り話す。

 もちろん、ここは人気の無いホールとはいえ他家だから、重要な事は口にしない。

 私も貴族化してるなあ(泣)。


「ヒルデガット様にご領地に招待されたの」

「それは重畳でございます」

 そう?

 私としては戦場とか魔窟に誘われたようにしか思えないんだけど。

「お嬢様は予想以上に人脈を広げられておられるとコレル閣下がおっしゃっておられました。

 これは凄いことです」

「遊ばれているだけなのでは」

 あるいは取り巻きに加えて頂けるのかもしれない。

 でも駄目だろうな。

 最初にご招待頂いたモルズ伯爵令嬢にその権利がありそう。


 もっともヒルデガット様は今は子爵令嬢だけど、本当は辺境伯家の方だ。

 身分的にはどうなるんだろう?

 色々聞きたいことはあったけど、よその家のホールで話すことじゃないから心にとどめておくだけにする。


 その後、ミルガスト家の馬車が回されてきたのでグレースと一緒に乗り込む。

 相変わらず下僕(フットマン)と馭者付きだ。

 ああ、そういうことか。

 あのお茶会は私たちの帰る時間の調整の意味があったわけね。


 何せ、会議が終わったら参加者たちは一斉にこのお屋敷を後にすることになる。

 大半は平民身分だから裏口みたいなところから出ていくんだろうけど、それでも馬車で来ている人たちもそれなりにいるから。

 私たちが一緒に帰ろうとするとかち合ってしまって、身分がどうとかの話になりそうだ。


 だって私たちって身分上、凄く面倒くさいのよね。

 モルズ様やサラーニア様は正規の伯爵令嬢だからまだいい。

 でもヒルデガット様は子爵令嬢とは言いながら、多分辺境伯家の馬車を使っているはず。

 私に至っては男爵家なのに伯爵令嬢扱い。

 順番選びが難しすぎる。

 執事の人の困惑が目に見えるようだ。

 というような事が頭を過ってしまうんだから、私も染まってきたものだ。


 馬車は順調に走ってミルガスト家に戻った。

 やれやれ。

 こういう一見無意味な行動こそが貴族の証なんだろうね。

 やだなあ。

 出迎えてくれた執事の人にご挨拶して、とりあえず会議で出た情報を伝える。

 私個人の話もあるけど執事の人(アーサーさん)は手を振って止めてくれた。


「それは夕食後にしましょう。

 とりあえずはお休み下さい」

 ありがたや。

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