表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第三章 育預

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/371

93.社交辞令

 それからいつものような歓談になった。

 話題はさっきまで出席していた歌劇のことに集中していたけど、それ以外でも色々と出た。

 私は貝になって傍聴一筋。


 でも聞いてるだけで有益だ。

 なるほど、貴族はこうやって情報交換するのか。

 それは確かにお茶会に参加出来なければ詰むよね。

 情報格差が酷い事になる。

 高位貴族と下位貴族の差はそれかも。

 もっとも下位貴族は下位貴族同士でお茶会とかやっていそうだけど。

 私は招待されたことないから知らない。

 成人(デビュタント)してないから仕方がない。


「そういえばサエラ様」

「はい」

「デビュタントのご予定は?」

 知らねえよ!

 いかんいかんつい孤児感覚が。


「まだお話は頂いておりませんの。

 学院も途中ですし」

「そうですの。

 残念ですわ」

「次の社交季節(シーズン)には是非サエラ様をご招待差し上げたいと」

 無理だから!

 礼儀(マナー)が怪しいし!

 踊れないし!


「デビュタントが済みましたら是非」

 社交辞令くらいは言えるようになった。

 もちろん空約束だけど、実際に招待されたら断れないしね。

 だったら恭順しておいた方がいい。

 それが下位貴族の生きる道(泣)。

 それからもあーだこーだと色々な話が飛び交ったけど、大半は私に関係なさそうなのでスルーした。

 もちろんヤバそうなお話は要点を頭に叩き込んでおく。

 後で執事の人に相談しないと。


「それでは」

 やっとシストリア様がおっしゃって、臨時のお茶会が解散になった時にはもう日が傾いていた。

 お茶、何杯飲んだかなあ。

 お菓子もお代わりまでしてしまった。

 間が持たなくて。

 ちなみに皆さん、ちょいちょい席を外していたよ、もちろん。

 私も。


 このお屋敷には立派なご不浄(トイレ)がある。

 貧乏な下位貴族家だと、下手したらお部屋の隅の方で壺に、ということすらあるらしい。

 王都は土地が高くてご不浄を作れないくらいお屋敷が狭いとか。

 私の実家のサエラ男爵家なんかタウンハウス自体がないもんね。


 大抵のお屋敷は外にそれっぽい小屋があって、そこですることになっているんだけど。

 ちなみに私がお世話になっているミルガスト伯爵邸には当然、ご不浄(トイレ)がある。

 そこの所だけは大感謝だ(泣)。


 お別れのご挨拶をして、私たちはいつの間にか控えていたメイド(グレース)たちと合流した。

 お屋敷のエントランスでしばらく待たされる。

 やたらに広くてソファーとかがあるのも、ここで待ち時間が発生するからだ。

 ファサードを通ってエントランス前に回されて来る馬車を待つためなのよね。

 しかも、こういう場合は身分順になるから、私なんか相当待ったりして。


 今回の臨時お茶会では身分上、一番上のモルズ様がまず、去った。

 次がサラーニア伯爵令嬢で、残ったのは私とヒルデガット子爵令嬢だ。

 もちろんお付きも一緒だけど、男爵令嬢である私のお付きはメイド(グレース)なのに対して、子爵令嬢であるはずのヒルデガット様は侍女だ。

 それとなく聞いたらヒルデガット侯爵家の寄子である某男爵家のご夫人らしい。

 ヒルデガット様は名目上、子爵令嬢なだけで実際には辺境伯の令嬢だもんね。


 侍女の方は見たところ30歳くらいの落ち着いたご婦人だった。

 美人というか、いかにも貴族の正室っぽい色気と優雅さが同居したような不思議な印象だ。

 待機中にグレースと仲良くなったらしくて、というよりはグレースが私淑してしまったみたいで楽しそうにおしゃべりしている。


「メイムは外面がいいから」

 ヒルデガット様がこっそり教えてくれた。

「そうなんですか」

「そうよ。

 あれで私と二人きりになった途端に駄目出しが始まるんだから」


 さいですか。

 やっぱヒルデガット様もお付きの方が偉いようだ。

 そう、侍女ってお目付役だから。

 騎士爵正室(グレース)男爵令嬢()に仕えるという名目で色々と教えてくれているようなものだ。

 ヒルデガット様の場合、男爵正室(メイム様)辺境伯令嬢(ヒルデガット様)を指導する形になっているらしい。


「メイム様とおっしゃるのですか」

「ええ。

 メイム男爵はうちの領地で城を差配しているの。

 なので、私が王都にいる間だけ侍女をやってもらっている」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ