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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第三章 育預

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75.贅沢すぎる

 そうなのよね。

 だから私は頑張ったんだけど。

 その結果がこれか。


 ベッドの上で身を起こして見回してみる。

 豪華なお部屋だ。

 果たしてこれに見合うお嬢様になれるかどうか。

 現時点ではどう考えても役者不足(マイナス)よね(泣)。

 頑張らなければ。

 灯りを消してベッドに潜り込んだらすぐに眠り込んだみたい。

 やっぱり疲れていたんだろうな(泣)。


 次の日、メイドさんに起こされる前に目が覚めてしまったけど、今までみたいに勝手に抜け出して井戸の水を被るわけにはいかない。

 ていうかこれから何をしたらいいのか判らないから二度寝してしまった。

 窓には分厚いカーテンが掛かっていてお部屋が暗かったし。

 でも寝心地が良すぎてぐっすり眠れたせいか、目が冴えて寝られなかった。

 ベッドの中で悶々としながら頭の中で外国語の授業を思い出して復習しているうちに眠ったらしい。

「おはようございます」

 気がついたらメイドさんに起こされていた。


「……ありがとう」

 ございます、と続けかけて口をつぐむ。

「失礼します」

 メイドさんは事務的に仕事を続けた。

 見たら露骨に知り合いというか、昨日まで一緒に掃除とか食事の用意とかしていた人だった。

 気まずい。


「あの」

「言いたいことは判るけど、これからは駄目。

 私たちにも迷惑だから」

 こっそり言われてしまった。

 さすが伯爵邸のメイドともなればプロだ。

「……はい」

 こんなシーン、私の前世の人が読んでいた小説にはなかったのに。

 小説の(ヒロイン)って庶民あがりの割にはすんなりとお嬢様生活に馴染んでいたのよね。

 そこら辺の意識の切り替えこそがヒロインの資質なのかもしれない。

 私にはまだ無理だ。


 メイドさんにお世話をされながら着替える。

 脱いだネグリジェや下着はメイドさんに持って行かれた。

 代わりに新しい下着と軽装のドレスが用意されていたけど、これが邸内でのお嬢様の日常服なのか。

 当たり前だけどこれまで着ていた奴より格段に上質だ。

 気にしない気にしない。


 入浴なさいますか、と聞かれたのでお断りする。

 朝から贅沢すぎる。

 というよりはお湯を用意して貰わなきゃならないんだけど、これが大変なのよ。

 使用人もお嬢様も。

 私も手伝った覚えがある。

 ミルガスト伯爵の末のお嬢様ですら、毎日は入らなかったと思う。

 どこからお出かけする予定がある時くらいかな。

 それでもメイドさんは洗面用のお湯などを載せたワゴンを押してきて、軽く私の身体を拭いてくれた。


 その後、鏡台の前に坐らされて弄られる。

「髪型はどうなさいますか」

 何も判らん。

「お願いします」


 丸投げしたらちょっと編んだだけで流す髪型にされた。

 デビュタントが済んでないから複雑な形に編んだりは出来ないらしい。

 まあ、今の私の顔だと下手に編んだら失笑されかねないもんね。

 小柄で童顔だと、やっぱり子供らしくストレート(というらしい)が似合う。

 お化粧もされて、終わったら鏡の中にお嬢様がいた。


 うーん。

 乙女ゲームの主人公(ヒロイン)が勘違いするのも無理ないかなあ。

 だって本当に自分とは思えない変身ぶりなのよ。

 私、これまであんまり自分を可愛いとか美人だとか思ってなかったんだけど、今のこれは掛け値無しに美少女だ。

 「少女」というのが泣けるけど。

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