表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第三章 育預

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/371

74.有益な存在

 就職すると当然、部下として上司に仕えることになる。

 当たり前だけど部下は上司を選べない。

 本人の意思に関係なく決まる。

 ただ、その組織に入るかどうかは本人の意思なのよね。


 貴族の結婚ってそれと同じなんじゃないかなあ。

 お相手が上司だと考えればしっくりくる。

 貴族家が会社で。

 その会社(貴族家)に嫁入りしてもいいかどうかはある程度、我が儘が効くんじゃないだろうか。

 どうしても嫌だと叫び続けたりしていれば、強制的に嫁入りさせられたりはしないだろう。

 でも嫁入りすると決めてしまったら旦那様(お相手)は選べないとか。

 例のチザム侯爵令息の場合、嫁(部下)を迎えることは決定していても、それが誰になるか判らなかったというだけだ。

 ある意味、どうでも良かったりして(笑)。


 だって貴族家の「仕事」を一緒にやる相棒(パートナー)というだけなんだから、自分の好き嫌いは関係ない。

 むしろ有能かどうか、自分と相性がいいかどうかという方が心配だけど、選べないんだからしょうがない。

 受け入れて頑張るだけだ。


 それに貴族って結婚しても必ずしもそこで終わりではないみたいなのよね。

 どうしてもお相手と合わなかったらお互いに愛人なり妾なりを持つことは可能みたい。

 というよりはむしろ当然という風潮がある。

 私自身、先代のサエラ男爵様の浮気の結果だし。

 貴族家の存続を考えたら必ずしも浮気が悪ということにはならないんだよなあ。

 奥方に子供が出来なかったらヤバいでしょう。

 もちろん、だからといって浮気し放題だとやっぱり忌避されるけど、貴族の当主が浮気して子供が出来たりしても即離婚とかにはならない。

 私の前世の人の社会だと大問題だったらしいけど。


 それって身分制度がないことが大きいと思う。

 だってみんな平等だもんね。

 つまり浮気相手にも奥方と同じ権利があることになってしまって、離婚して再婚とかも可能だ。

 貴族の場合、それはない。

 浮気相手が平民の場合はもちろん、例え貴族だったとしたってそれが理由での離婚はない。

 結婚は家同士の契約だから。

 本人達の意思で離婚とか出来ないのよね。


 ていうか無理すれば可能だけど、その場合、本人たちだけじゃなくてその貴族家自体の評判が壊滅的になる。

 王家の承認が必要だし。

 というような知識は礼儀(マナー)講座で習ったんだけど、私にはまだまだ先の話だ。


 前にその件についてお話しした時はエリザベスに警告された。

 結婚が本人たちだけの問題ではないということは、逆に言えば浮気しても即離婚には至らないわけ。

 つまり高位の貴族側はノーダメージで浮気出来る。

 相手がそこら辺の男爵の庶子なんかだったらノーリスクに近いと。

 怖っ。


 どうすればいいのか聞いたら「隙を見せない」と言われた。

 実際には難しいらしいけど。

 だって身分が上の人が本気で追ってきたら逃げられない。

 下手すると実家を通じて囲われる可能性もある。

 例えば某伯爵家の当主だか嫡子だかがサエラ男爵様に「お宅のあの庶子を妾にしたいのだが」と申し出たら。

 身分差から言って断れないのでは。


「そうでもない。

 もう婚約しているので、とか実は某公爵家から極秘裏に申し入れがありまして、とか言えば躱せる」

 エリザベスが有益な事を言った。

「そうか。

 毒をもって毒を制すと」

「まあ、男爵様次第だけどね。

 貴族令嬢は当主の所有物だから、その伯爵様の妾にした方が当家にとって利益があると思われたら終了(アウト)よ」


 うわー。

 それ、乙女ゲームの定番なのでは。

 そこら辺だけは現実に沿っているんだなあ。

「酷い話」

「そう?

 私からみたら育てて貰って普段から贅沢させて貰っているんだから当然と思うけど」


 エリザベスは合理的な性格だからそう思えるんだろうな。

 いや、それは私もそう思うよ。

 いくら血が繋がっているとしたって無知な孤児を拾い上げて、まがりなりにも「お嬢様」と呼ばれるくらいまで教育してくれたんだし。

 どれだけお金がかかったか。

 男爵様も、まさか異母兄弟だというだけでそこまでやってくれたとは思わない。

 やはり何か意図があるとは思うのよね。


「そう。

 だからあなたのやることはひとつ」

「何?」

「男爵様、いえ男爵家にとって有益な存在になる。

 手間暇とお金を投資した分、利益(リターン)が見込めると思って頂くこと」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ