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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第三章 育預

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73.約束は未定であって決定ではない

 まあ、この世界は乙女ゲームじゃなさそうだし、万一そうだったとしても既に筋書き(ストーリー)は破綻している。

 悪役令嬢どころか攻略対象自体が全滅していて、しかも学院では男女同席せずが基本。

 更に下位貴族と高位の方々とは接触の機会すらない。

 これでは攻略どころではないでしょう。


 鏡台を離れてベッドに寝転がる。

 そもそも貴族社会って乙女ゲーム小説とはまったく違う原理で動いていると思う。

 婿取り嫁入りは恋愛じゃなくて生存競争(サバイバル)なのよね。

 みんな生き残るのに必死で、それ以外の事を考える余裕がなさそうなんだもんなあ。


 今日のお茶会を観ても判る。

 高位貴族のお嬢様方のお茶会だったんだけど、最初から最後まで恋愛の話がまったく出なかった。

 それどころか誰がイケメンだとか素敵だとかの話題すらなかった。

 結婚というか輿入れの話はあったけど、それってあくまで貴族家同士の問題であって、令嬢本人の意思は最後みたいなんだよね。

 高位貴族だからかもしれないけど。


 それに、もし殿方の話題が出たとしたって乙女ゲームとは全然違う方向になりそうな気がする。

 私の前世の人が読んでいた小説では、ヒロインのお相手は高位貴族であるだけじゃなくて眉目秀麗だったり細マッチョ(というらしい)だったりしていた。

 もちろん成績優秀で。

 でもそんなの、現実には意味がなさそう。

 恋愛はともかく輿入れ先の殿方の条件にはまったく入ってない。

 本人が素敵だからどう、という概念が皆無なのよ。


 ていうか私にしたって「美しい男」とか意味不明だ。

 自分より綺麗な旦那様って想像出来る?

 そんなの旦那にしたら家庭なんかメチャクチャになりそう。

 いや、そもそも貴族家って家庭の概念が違う。

 私の実家のサエラ男爵家は貴族だけど地方領地の代官なので、どっちかというと平民に近いんだよね。

 家族の大多数が成人したら平民になるし。

 だから貴族の体裁を保ってはいても、それはむしろ外観だけというか公的な印象(イメージ)だった。


 私の兄に当たるイケオジ男爵様と奥方様はとても仲が良いけど、やっぱり政略結婚だったと聞いている。

 寄親のミルガスト伯爵の伝手で、というよりは同じ寄子の男爵様の娘だった奥方がサエラ家に嫁いだのよ。

 見合いですらなかったそうだ。

 結婚式までに顔を合わせたのは数回とか。

 貴族の結婚って下位でもそういうものらしい。

 兄上や奥方様が恋愛したとか憧れの人がいた、という話は聞かない。

 いや人間なんだから当然あっただろうけど、それと結婚はまったく別の話だ。

 高位貴族家だともっと凄いんだろうな。


 お茶会での話を聞いていると、婚約は高位貴族なら当然幼い頃にするらしい。

 というよりは物心ついたら既に婚約者がいたとか。

 でもほとんど会うこともないし、名前すら朧気で、下手すると本当に存在しているかどうかすら疑わしい。

 気がついたら別の人に変わっていたりして(笑)。


 婚約ってあくまで「約束」だし、約束は未定であって決定ではない。

 状況の変化でいくらでも解消になったり白紙になったりするそうだ。

 貴族家も盤石じゃないから消えたり降爵させられたりする。

 逆に昇爵して身分が釣り合わなくなるとか、貴族家同士の関係が変化するとか。


 それに、貴族に限らないけど子供の頃に死んじゃうことって結構あるからね。

 孤児院でも毎年冬を越せない子供がいた。

 貴族はそこまでではないだろうけど、それでも病気や怪我、虚弱体質とかで亡くなることはある。

 そうしたら当然、婚約なんか解消や白紙だ。

 政略に必要なら死んだ人の妹とかが新しく婚約者になったりして。


 お茶会で話題になったチザム侯爵令息だかの話は極端としても、結婚相手を自分で決められないのは当然。

 恋愛とかの要素はゼロだ。

 確か、どなたかが「本人の意思が案外重要」とおっしゃっていたけど、それって多分選択肢を示された後の話だ。

 あの人が素敵とかでは選べない。

 誰かが賭事(ギャンブル)だと言っていたけど、本当にそうみたいなのよね。


 というよりはアレか。

 私の前世の人は女子高生という身分で、それってまだ働いていないというか正式に社会に出てはいなかったんだけど、それでも大人の人たちの状況は判っていた。

 その社会では、若者はこっちの学院に当たる学校という教育機関を卒業すると会社とやらに「就職」するらしい。

 こっちでいう商店とか商人とかに雇って貰うわけで。

 もちろんお役人とか騎士団とか警備隊とかに当たる組織もあって、そっちでも働けるけど、原則は同じだ。

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