表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第三章 育預

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/371

69.後見人

 知らなかった。

 だって誰も何も言ってくれないし。

 学院って私の前世の人が行っていた学校みたいなクラスとか担任とかないから。

 個人ごとにバラバラだから他と比較しようがないのよ。

 でも私、そんなに優れているとか天才だとかじゃないんだけど。


 もし理由があるとしたらあれだな。

 私の前世の人の記憶だ。

 邪魔になることも多いけど、実は知識以外の分野で大いに助けになっていたりして。

 私は孤児院で育ったから本来なら孤児院以外の世界や社会を知っているはずがない。

 でも前世の人の記憶があるせいで、環境や状況が激変しても比較出来るから割とすんなり納得出来るのよ。


 そもそも孤児だったときだって普通の孤児と違って物事を俯瞰してみていたものね。

 色々な立ち位置で考えることが出来るって、凄い有利(アドバンテージ)よ?

 理不尽だったり意味不明だったりする物事も、別の視点からみたら納得出来るというか。

 だから私は孤児院から男爵家に引き取られた時も(スムーズ)に適応出来た。

 前世の人の記憶にあった「孤児から貴族令嬢になったお嬢様」の行動や立場を知っていたし。

 小説だったけど随分役に立った。


 それに知識だって、女子高生として習った情報は直接には役に立たないけど、考え方や思考法は有用だった。

 論理(ロジック)っていうの?

 あと言葉の学習方法とか。

 作業手順(アルゴリズム)の概念は最高だ。

 どうも前世の私、理系だったらしくてそういう知識があるのよね。


 ということで、何やかんやで私は確かに貴族令嬢化するのは早かったと思う。

 それに何といっても前世で読んだ小説が効いていた。

 平民が貴族になって失敗する例をこれでもかというくらい覚えているのよ(泣)。

 誰が好き好んで破滅したいと思うのよ。

 だから私は。


「自分では判らないのですが。

 お褒めにあずかりまして光栄です」

 とりあえず当たり障りの無い応えを言っておく。

 ていうかコレル閣下の話がどこに繋がるのかよくわからないからうかつなことは言えないし。

「しかも謙虚だ。

 サエラ男爵も果報者だな」

 コレル閣下は謎なことを言ってから姿勢を正した。


「私の私見はここまでにして、ミルガスト伯爵家より伝える。

 まずは謝罪を。

 ご身分に相応しい扱いを出来なくて申し訳なかった」

「謝罪を受け入れます」

 ここは習っておく。

 「別にいいです」とか言ったら貴族としては駄目なのよ。

 コレル閣下は「ミルガスト伯爵家」として話しているんだから、そのお立場をある意味踏みにじることになってしまう。

 だから水に流す、と。


 私自身、別にどうとも思ってないからいいのよ。

 ところがコレル閣下は続いてとんでもないことを言い出した。

「感謝する。

 本日ただいまよりミルガスト伯爵家は貴殿の後見人となることを宣言する」

 え?

 何それ?


「後見人、でございますか」

「そうだ。当家は貴殿を後援する。

 もちろん貴殿の身分はサエラ男爵家令嬢のままだが、実質的な養子と思って貰って良い。

 もちろん相続権はないのだが」


 何で?

 私が何かした?

 破格すぎる好待遇でしょうそれ!

「大変ありがたく存じますが、私には身に余る光栄で」

「サエラ男爵も了承済みだ」

 さいですか。

 詰んだ。

 いや建設的に考えよう。

 私に何か不都合がある?

 ないよね。


 ええい、自棄(やけ)だ。

「……ありがたくお受けいたします」

「うむ。

 よろしくな。

 いつになるかは不明だが、そのうちに兄上やご家族とのご挨拶の機会を設けよう」

 私は頭を下げた。

 後の事は後だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] すげぇ大出世じゃん
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ