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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第二章 学院本科

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51.大変だ。

 お茶会当日。

 いつものように夜明けと共に起きて井戸水を被る。

 お仕着せを着てお屋敷に行くとメイドの人に捕まって執事の人のところに連れて行かれた。


「そういうのは止めてください」

「でも皆さんのお手伝いがしたいと」

「あなたはお嬢様から紹介されて伯爵様のお茶会に出席されるご令嬢なんですよ?

 私もうかつでしたが、そのままではお嬢様が恥をかきます」


 言われてしまった。

 それはそうか。

 私は貴族令嬢として伯爵様のご令嬢が主宰するお茶会に正式に参加するのだ。

 それはつまり私自身が貴族令嬢として認められた、というか紹介されたということ。

 そんな場に使用人が出て行ったらミルガスト伯爵家の顔が潰れると。


「すみませんでした」

「あなただけが悪いわけではないのですが。

 とりあえず本日は学院をお休みしてください。

 お茶会は午後の予定ですから、それまでに出来るだけ磨き上げます」


 頼むよ、と執事の人に言われたメイドの人が頷いた。

 中年のおばさんというか、もちろん平民だけどこのお屋敷のメイド長をやっている人だ。

 伯爵邸とはいえ王都のタウンハウスだから管理職も平民身分なのよ。

 執事の人は貴族だけど。


「さ、こちらへ」

 おばさんじゃなくてメイド長は丁寧に、しかししっかりと私の手を取って誘導してくれた。

 いつもは使用人として扱われているんだけどね。

 まあ、私がそう頼んだからなんだが。


「お手数かけます」

「本日ただいまより、お嬢様は当伯爵家のお客人の貴族令嬢でございます。

 当家が認めた以上、そうなります」

 さいですか。

 つまり今までは私、貴族だとは認められていなかったと。

 いいけど(泣)。


 それから私は立派なお部屋につれていかれて磨かれた。

 まずはお風呂。

 朝っぱらから熱いお湯に浸かるなんて久しぶりだ。

 孤児だった頃はそんなことあり得なかったけど、男爵邸では時々入れて貰っていたんだよね。

 毎日じゃなかったけど。


 というのはお風呂って凄くお金がかかるのよ。

 だって水を沸かすのよ?

 燃料の薪が飛ぶように消えていく。

 よって男爵邸でも毎日は用意されてなかったりして。

 でも伯爵家は違う。

 湯浴みは基本(デフォルト)だそうだ。


 お風呂では自分で身体を洗おうとしたら阻止された。

 メイドの人が二人がかりで隅々まで洗ってくれた。

 結構垢が出たのが恥ずかしかった。

 やっぱり水を被るだけじゃ綺麗にはならないみたい。

 その状態で学院に通っていたわけで。

 でも今まで誰にも何も言われなかったなあ。

 多分、学院の生徒の大半は私と似たような状況だったんだろう。

 男爵とか騎士爵とかの令嬢なんかそんなものよ(泣)。


 茹だった状態で大きな姿見があるお部屋に連れ込まれた私は長椅子に横たわった状態で色々された。

 身体のあちこちにある傷や指先の荒れとかには呆れられたけど、しょうがないでしょう。

 それでもクリームとかをすり込まれたし、ネイルにも何かされた。

「これからは毎日手入れしてください」

「でも」

「当家が責任を持ちます」

 そういうことか。


 今までの私はミルガスト伯爵家の「寄子の庶子でタウンハウスの居候」だったんだけど、お嬢様が認めたことによって「寄子の男爵家のご令嬢で預かり物」に格上げになったと。

 大変だ。

 私の行動や言動がミルガスト伯爵家の評判に直結することになってしまった。

 これまでは「男爵家の庶子だからしょうがないよね」で済んでいたのが失笑では済まなくなると。

 だから嫌だったのに(泣)。

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