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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第十章 盟主

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364.学園

 メロディによれば神聖軍事同盟(リガ・ミリティア)付属学院の講座は結構ハードな構成になりそうだという。

 戦争のための学校だから。

 将来は自分だけじゃなくて大勢の命を左右する立場になるのよ。

 そんな人を育てるのにヘラヘラ遊ばせるわけにはいかない。

「成績が悪ければ留年や退学もあり得る」

「ちょっと待って。

 退学はともかく留年って?」


 テレジア王立貴族学院には留年などという制度はなかった。

 学年がないんだから留年しようがない。

「こっちではある。

 学年だけじゃないぞ。

 クラスも卒業もある」

 何と!

 そういえばメロディ、私達の前世の大学をモデルにしたと言ってたっけ。

「高校じゃなくて大学よね」

「そうだ。

 それも専門職大学だ。

 どちらかというと実習や実技重視だ。

 合格しないと単位は貰えない。

 専攻ごとに学科があって、同期生や先輩後輩も存在する」


 あー。

 何か嫌な予感がしてきた。

「ねえメロディ」

「何だ」

「私の考え過ぎだったらいいんだけど、それって何となくアレに似てない?」

 メロディは黒い笑顔で言った。

「気づいたか。

 そうだ。

 我々の前世の小説(ラノベ)に出てくる貴族学園とかそういう教育機関と同じだ。

 ちなみに男女同席だ」


 やっぱりかー!

 異世界物の定番よね。

 ヒロインが入学するのは国が設立した高等教育機関で、学生は原則として貴族だけだけど、優秀な平民も奨学金を貰って通える。

 大抵は王家や貴族家の後援を受けて。

 入学式があって学年もクラスもある。

 領地経営科とか騎士科とか専攻ごとにクラスが分かれていて、でもみんな一緒の学園で学ぶのよね。

 食事は共通の食堂で摂ったりして。

 そして寮があって学生はそこに住むと。


「わざとやったの?」

「いや。

 気がついたらそうなっていた。

 合理的ではあるんだ。

 学生は大陸中から集まってくるから寮を作らないわけにはいかないし」

「学園内では身分がなくなるのも一緒ね」

「そもそも一国の機関ではないからな。

 神聖軍事同盟(リガ・ミリティア)が母体の組織だから身分がどうのという話は通用しない。

 それにミストアにはもともと身分制度が無いから入学すればそれに習うことになる」


 そうきたか。

 何か(あつら)えたような設定じゃない?

 大陸で唯一、身分制度がない学院に集まってくる学生たち。

 各国から選ばれたエリートで、当然ながら母国では身分が高い。

 そして、身分はなくとも優秀さを認められて入学してくる平民もいる。

 どっかの乙女ゲームかよ!


「そういえば私、もう18歳なんだけど」

 私の前世の世界だとまだ子供だけど、こっちでは嫁き遅れになってしまった。

「安心しろ。

 学生は大抵、もっと年上だ」

「そうなの」

「能力だけじゃ無くて実績を求められるからな。

 十代はあまりいないんじゃないか。

 むしろアラサーが多いかもしれない」


 なるほど。

 スペックが高いとか将来性があるとかだけじゃ入学許可は出ないのか。

 実績って社会に出ないと積めないものね。

 当然だけど年齢は上がる。

 ひょっとしておじさんばっか?

「そうでもない。

 身分は問わないが、国策として派遣されてくる連中もいるからな。

 各国の王族や高位貴族の子弟も結構いる」

「ああ、傍系王族とか公爵家とか」

「だな。

 学生というよりは研究生だが」


 メロディによれば、身分が関係ない学校の学生とは言っても、やはり国にとって重要な立場になるのには身分が必要なのだそうだ。

 だから学生には王家の者や高位貴族が多くなりそうだと。

 そういう人達は実務経験が不足しているけど、そこら辺は入学してから鍛えることになっているらしい。

 出来なかったり不適格だったりしたら容赦なく追い出される。

「その他、既に各国の政府や機関で重要な立場についている者が来る予定だ。

 学生か教える側かはその者の能力や実績で決まるが」

 聞いている内に判ってきた。

 メロディたちが考えているのは学校というよりは訓練所だ。

 教師が生徒に教えるだけじゃなくて、時としてその立場が入れ替わったりする。

 そして現場で仕事している人が随時赴任してきて、実際的な仕事を教える。

 学生も実習という形で現場に出て実際にお仕事をすると。


「壮大な計画ね」

「まったくだ。

 本来ならこんなに金がかかる企画は無理なんたが」

「巫女のご命令とあらばミストアはどこまでも」

 ロメルテシア様が言った。

 無尽蔵の資金を有するミストアがバックに居るから可能になったと。

 だからメロディも趣味に走ったのね。

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