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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第二章 学院本科

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35.卒業などない

 テレジア王立貴族学院には学年やクラスといった概念がない。

 生徒はそれぞれ自由に講座を受講する。

 合格というかご指導の方が「もう教える事はない」と言ってメダルをくれたら免許皆伝? らしい。

 でもメダルを貰えなくても特に問題はないそうだ。

 それで退学になるとかはない。

 ついでに言うと進級や卒業もない。


「そうなの?

 じゃあ生徒は最後はみんな退学とか?」

「一応、『修了』という制度はある。

 規定の単元を必要だけ取り終えた人は教育が完了したということで証明書が貰える。

 そこで辞めるかどうかは本人次第ね」


 なので、メダルを取り続けて何年も在籍している人もいるそうだ。

 でも、だからといってそういう人が偉いとか顔が利くというわけでもなくて、むしろ貴族社会の脱落者的に見られているという。


「まあ、そうか。学院って貴族の養成所だもんね」

「貴族として一人前になることを拒否しているわけだから」

 もっともそう出来るのは実家の貴族家にお金があって、なおかつ学院在籍を許してくれているからだ。

 テレジア王立貴族学院の授業料って極端とは言えないまでも、結構高いらしい。

 平民の学校の十倍くらいはするという。

 何の生産性もないのにいつまでたっても在籍してお金を食い潰すって、普通は見捨てられるよね。

 いくら男爵様が私に甘いと言っても不安だ。


「普通はどれくらいで『修了』するの?」

 聞いてみたら何でも知っているエリザベスが教えてくれた。

「普通って言えるかどうかは判らないけど、大半の人は2年くらいで退学するみたい。

 と言っても別に卒業とかじゃなくて、行く場所が決まったから辞めるわけ」

「え? 修了したからじゃなくて?」

「別にメダルや証明書が必須というわけじゃないから。

 例えば途中で嫁入りや婿入りが決まったり、騎士団とかが入団許可をくれたりしたらすぐよ」

「それはそうか」


 すると私の場合、とりあえずあと1年半くらいは余裕があるわけか。

 でもそれが過ぎたら私はもう17歳。

 適齢期ギリギリだ。

 まあ嫁入りする場合だけど。

 私の場合、どこかを継ぐわけじゃないので婿入りはあり得ない。

 いずれは男爵家も出て行かなきゃならないんだから、将来の旦那なり勤め先を確保する必要がある。

 ちなみに就職については年齢制限とか適齢期的なものはないと聞いている。

 雇い主と就職希望者双方の要求が合致したらそれで良し。


 私の前世の人の社会では年齢制限的な縛りがあったらしいんだけど、こっちはコネ社会だからね。

 そもそも新卒採用とかないから。

 私の前世の人の常識だと、学校を卒業することで学歴というものが貰えたらしい。

 その学歴があると就職に有利とか、いやむしろ学歴がないとどこにも行けないとかあって、だからみんな頑張って卒業を目指していたんだけど。


 テレジア王立貴族学院には卒業という制度がないし、在籍していること自体もあまり意味がない。

 そこでコネなり実力なりを身につけて貴族社会での立場を造るための土台みたいなものだ。

 だからメダルや証明書がなくても誰かに認められればそこで退学してもいいわけか。

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