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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第十章 盟主

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356.サバイバル

 国王陛下方が帰国してしまうと途端に暇になった。

 もちろん同盟の理事に任命された各国の国王の名代的な人たちが残っていて色々動いているんだけど、私に何かしろという話はほぼなくなった。

 王女様たちの大半も国王陛下と一緒に帰国してしまって、残っている王女()達はみんな忙しそうだ。

 私の役目は終わった?


「どんでもございません。

 聖下(マリアンヌ様)が全ての要でございます」

 ロメルテシア様が言うんだけど、何を大げさなと思っていたらすぐにその理由が判った。

 同盟の理事会が定期的に開かれるようになったのよ。

 神聖軍事同盟(リガ・ミリティア)は基本的には(VS)他大陸防衛のための組織なんだけど、別にそれしか出来ないというわけではない。

 メロディが手を入れたらしくて必要なら各国の利害調整の場としても動けるようになっているそうだ。

 各国の代表は安全保障理事会とは別に2つかそれ以上の国にまたがる問題を話し合うための分会を開くことが出来る。

 やっぱりか。

 メロディは私の前世の世界にあった「国連」を作ってしまったらしい。


「厳密に言えば違うけどな」

 メロディが晩餐の席で言った。

「マリアンヌ、前世の国連についてどれくらい知ってる?」

「あんまり。

 私の前世の人は興味がなかったみたいだし」

「理系の弊害だな。

 もっと視野を広く持て」

 知らないよ。

 そもそもその人、私じゃないし。


「どう違うの?」

「我々の前世の国連つまり国際連合は第二次大戦の戦勝国が作った国際統制組織だ。

 つまり戦争に負けた国や無関心だった国、あるいは弱小国の権利が制限されている」

 そうなの。

 よく判らない。

「つまり特定の国がもの凄く有利になるような規則がまかり通っているんだよ。

 そんなのこっちには関係ないからな。

 だから全部取っ払った」

 さいですか。

 メロディ、やっぱり化物(モンスター)だった。


「具体的には?」

平坦(フラット)な組織にした。

 各国は平等だ。

 もちろん国力によって発言力に差がつくだろうが、それはしょうがない。

 とにかく原則としてどこかが有利になるような組織じゃなくした」

 まあ、一から作ったのならそうなるよね。

 しかもメロディはシルデリアの貴顕だ。

 国力から言えば列強の一角で、他の国より有利な立場に立ってもおかしくない。

 でもそのシルデリアの第一王女が「平等で行こうよ」と言い張ったのよね。

 他の列強諸国も賛成するしかない。


「幸いにして現在の大陸には突出して強力な国がないからな。

 イチャモンつけてくる奴がいなくて助かった」

「ゼリナとかは?」

 祖母上の母国だけど、確かテレジアの数倍とかの国力があったと思ったけど。

「そこはマリアンヌの後援者(バックアップ)に頼んで」

 祖母上か!

 母上も噛んでいるな。

 そんなことしてたのか。


「それだけじゃないぞ。

 マリアンヌが率いる各国の王女たちも動いてくれた。

 『マリアンヌの奇跡』で救われた仲間だからな。

 大半は帰国したが連絡はとりあっている」

 何よそれ。

 船酔いが治ったとかそういう話でしょ。

 でもあれって自然回復しただけだし。

「いいんだよ。

 それ自体が物語として『力』になる。

 王族って(したた)かだぞ。

 使える物は何でも使う」


 そうか。

 王家や高位貴族家の人達は常に生存競争(サバイバル)を繰り広げている。

 競争相手は他国じゃなくて、まずは自国の王家や貴族家の同世代の同輩たちだ。

 私の前世の人が読んでいた小説(ラノベ)だと、第一王子だからとか王子が一人しかいないから、とかいう理由で次期国王に決まったりしていたみたいだけど、実際にはそんなことはあり得ない。

 だって人選を間違えたら下手すると国が滅ぶのよ。


 国の体制がしっかりしていて、例えば国民議会とか貴族の支配体制が整っていれば国王がボンクラでも何とかなるかもしれないけど、この世界はバリバリの封建体制だ。

 国王と貴族が力を持っていて、庶民はろくに読み書きも出来ない支配されるだけの家畜同然。

 そんなところに愚王が出たらあっという間に滅亡必至だ。

 だから支配者の選定は過酷を極める。

 本当に優秀な人でないと生き残れない。

 後は運。


「こっちの王侯貴族は血を分けた子であっても使えないと思えば容赦なく排除するからな。

 それどころか実績を残さないと閉職に飛ばされたりよそにやられたりする。

 そうされないためにみんな必死だよ」

 やっぱりデスゲームだった(泣)。

 乙女ゲームなんか成立しようがないのよね。

 そもそも婚約しただけでは実は何の意味もない。

 ただキープしたというだけだ。


 よって王太子妃教育とかもない。

 出来なかったら肩書きを外されておしまい。

 婚約破棄もあり得ない。

 そういう場合は婚約解消というか白紙というか、最初からなかったことになる。

 不名誉でも何でもないのよね。

 当該貴族家が当初とは違った方向に舵を取ったというだけだから。


 だから、例えば舞踏会で婚約破棄でもしたらそれだけで家ごと破滅だ。

 私の祖父上なんか、それで当時のテレジア王家を潰してしまったくらいで。

 まあ、祖父上はわざとやったんだけど。

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