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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第十章 盟主

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355.影

 それはそうだろうな。

 テレジアの王家だって影というか手の者は使っていたけど(おおやけ)に公表していなかった。

 エリザベスも影の者と言えなくもないけど、表向きは単なる王家出入りの商人の娘というだけだったものね。

 それを言ったら多分テレジア公爵家にもそういうのがいただろうし、何なら貴族家なら当たり前とも言える。

 正規の給料名簿に載っていない雇い人とか。


「そういう人たちは足りているの?」

「現行、拡充中でございます。

 ただし学院の整備を行っておりますので、大半はそちらから補充出来るかと」

「ああ、でもそれって表の人たちよね」

「御意。

 裏はまた別ルートで」

 ちらっと黒い顔を見せるロメルテシア様。

 やっぱりこの人、黒幕だった。

「ならそっちは任せるから」

「かしこまりました。

 ところで、そういう関係ではないマリアンヌ様の手駒も揃えてはいかがでしょうか」


 ロメルテシア様が言うにはミストアの巫女が神聖不可侵なのは拙いらしい。

 これまでなら神秘の存在でも問題なかったんだけど、何せ今生の巫女は神聖軍事同盟(リガ・ミリティア)の盟主という立場で表舞台に立ってしまっている。

 そういう人が謎のままでは不信感を呼ぶということだった。

「どうすればいいと思う?」

「マリアンヌ様の私的諮問機関およびその下部団体のようなものを立ち上げてはいかがかと。

 幸い、マリアンヌ様は芸術関係で有名でございます。

 そちらの関係組織ならば」

 なるほど。

 つまり巫女や盟主とは関係の無い、私の趣味の組織が作れると。

「予算はどうするの」

「神託宮がご用意させて頂きます」

 神託宮には千年かけて貯め込んだ資産が唸っているそうだ。

 少しは還元しないと死に金になるだけらしい。

「つまり、やっちゃっていいと」

「御意」


 その意見はもっともだったので、私は早速古馴染みのライラを呼んだ。

 テレジア王国のシストリア侯爵家令嬢で歌姫だ。

 それだけじゃなくて、私の前世で有名だった漫画やアニメを歌劇(オペラ)化したときの立て役者だった。

 私直属の芸術関係組織を作ってくれないかという依頼にライラは飛び上がって喜んだ。

「実は、既に学院内で組織化を始めております。

 名目は神聖軍事同盟(リガ・ミリティア)関係の喧伝機関ということなのでございますが」

「それとは別に、むしろ娯楽のための組織を作って欲しいの。

 予算は神託宮で用意するから」

「願ってもないご下命でございます」

 嬉しそうだな。

 そういえばライラは元々そういうことがやりたくて私についてきたんだったっけ。

「詳しいことはロメルテシアと相談して」

「御意」

 あんたもかい。


 弾むような足取りでライラが出ていってしまうと私はため息をついた。

 結局、私自身が何かするってもう無理なのよね。

 出来る事はお金を出して誰かにやらせることだけ。

 出資者(スポンサー)という奴か。

 まあいいけど。


 それから私は送りつけられてくる嘆願書を読んでは面白そうなものを選んで私の配下ということになっている人達に丸投げした。

 元高位貴族令嬢グループでテレジア公爵家の侍女見習い、そして今は学院の助教になっている方々は、それぞれ専門分野があって研究室という名目の機関を率いていたから、そこに投げるだけで面白いように話が進む。

「何か私、影の支配者とかそういう方向に行ってない?」

「心配するな。

 表の支配者は私がやる」

 メロディ、そんなこと頼んでないから!


 とはいえ、それとなく聞いてみたらメロディは神聖軍事同盟(リガ・ミリティア)の事務局的な組織で既に頭角を現しつつあるらしかった。

 神聖軍事同盟(リガ・ミリティア)の理事会はいわば議会であって、同盟が何をするのかを検討して決定する場だ。

 その法案を作ったり結論をまとめたりするのが事務局で、前倒しで組織されていた準備委員会に属する人たちが任命されて動いている。

 メロディは暫定的なその長になっているらしい。

「権力者ね」

「ご身分がご身分でございますので」

 列強の一角であるシルデリアの第一王女という立場だけでも最強に近いのに、ミストア神聖教の巫女でもある。

 ただし、後者は今のところ(おおやけ)には伏せられているんだけど、神聖教やミストア政府との折衝なんかだと何を言っても一発だ。

 巫女に逆らえる神官がいるはずないでしょう。


「さらにあの威圧(カリスマ)でございます。

 既に親衛隊が組織されていると」

 化物(モンスター)め。

 同盟自体を乗っ取る気だな。

 それって大陸の覇者なのでは。

 まあいいけど。

 私は私に害が及ばなければ何でもいいのだ。

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