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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第十章 盟主

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354.コネ

 いや出来なくはないと思うよ?

 でもロメルテシア様を初めとした防御陣が強固すぎて私のところまで嘆願書がたどりつけない。

 たまたまそういう話を聞いたのでロメルテシア様に確かめたら、渋々上申書を見せてくれた。

「こんなに」

「マリアンヌ様のお身体はひとつしかございませんし、で時間は有限でございます。

 このような雑音には惑わされないようにと」

「でも全部遮断(シャットアウト)というのは問題ではない?」

「……御意」


 ということでロメルテシア様や他の使徒の方が秘書役になって、お話にならないものを排除した後は私の所に届くようになった。

 それでも大量だった。

 一日に百通くらいは来ているみたい。

「どこからこんなに来るの?」

 だって正式な経路(ルート)がないのよ。

 とすれば非公式な方法で届けるしかないでしょう。

 具体的には誰かに頼んでとか。

「神託宮の職員や出入りの商人が頼み込まれて持ち込むのが大半のようでございます」

 ロメルテシア様が苦々しげに言った。

「神託宮は独立した組織ではございますが、外部との接触を完全に絶つわけにはまいりませんし、職員にも家族や親戚がいますので」


 つまりはコネね。

 まあ、いいんじゃない?

 百通程度なら私でも処理出来る。

 いや、全部まともに読んでいたら大変だけど、ざっと流し読みすれば大体のことは判るから。

 実は、そういのは得意。

 ていうか鍛えられた。

 だって公爵領では朝から晩まで似たような大量の書類が(泣)。

 それに比べたら遊んでいるようなものだ。

 実のところ、好奇心もあった。

 ミストアに連れてこられてからの私はほぼ神託宮に閉じ込められていて外を知らない。

 多少は王女様たちの視察とかに紛れ込んで見て回ったけど、とてもミストア全体を把握するまではいかない。

 極端に言えば観光施設しか知らないとも言える。

 なのでこの嘆願書から情報を得ようと。


「そうだな。

 私も興味がある。

 終わったら回してくれ」

 相変わらず自分勝手で自己中なメロディはほっといて、私は毎朝食事しながら嘆願書に目を通すことにした。

 結構ボリュームがあるから1時間くらいはかかる。

 飛ばし読みしていてもそうなのよ。

 それに、ロメルテシア様たちがフィルターをかけているせいで本当にヤバそうなものは排除されているみたいで、大半が他愛のないものだった。


「孤児院の視察をお願いします」

 興味はある。

 だけどロメルテシア様に相談したら一言の元に却下された。

「一度でも行かれたら依頼が殺到します。

 断ったらなぜあの院には行ったのにうちには来てくれないのか、と」

 そうだよね。

 テレジアのサエラ男爵領とは違うのよ。

 巫女()はミストアの頂点ということになっているから、つまりその担当範囲はミストア全土だ。

 教都だけでも孤児院がいくつあるのか。

 何とか全部回ったとしても、そうしたら今度は他の土地からも依頼が来てしまいそうだ。

「どうしてもというのでしたら変装なさってください。

 ご訪問の事実は伏せて」

 その手があったか。

 よし、とりあえず保留要件にしておこう。


「定期的に顔見せしてくれって」

「却下です。

 マリアンヌ様が減ります」

 さいですか。

 フレンドリーな巫女を目指す方法もあるけど、私は巫女であって聖女じゃないし、その前に神聖軍事同盟(リガ・ミリティア)の盟主ということになっているのよね。

 そんな偉い? 人がフラフラ出歩いて気軽に会えたら確かに減りそう。


「神託宮に入りたいって」

「それは敢えて入れました。

 職員は足りていますがマリアンヌ様の手駒は揃えておきたいと考えておりますので」

 手駒って何よ。

 私専属の「影」か。

「そういえば神託宮にはいないの?」

 聞いてみた。

「何がでございますか」

「ほら、よくある『手の者』とか」

 本当は隠密はいないのかと聞きたかったけどぼかす。

「公式にはいないことになっております」

 いるのか。

「そういう組織があると」

「というよりは神託宮自体がそれでございます。

 正規の職員と神官の他に、世俗にも連絡員がおりますし、教会の神官にも」

 つまりは諜報員(スパイ)がいるだけじゃなくて、既に組織化されているのか。

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