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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 名誉学長

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351.お披露目

 それを言ったらロメルテシア様も笑顔になった。

「今回のことでミストアの社会も変わります。

 マリアンヌ様はその象徴(レガリア)でございます」

「そうだな。

 ミストアだけじゃなくて大陸中が新しい時代を迎えることになる。

 マリアンヌ様々だ」

 それ、皮肉?

 まあ確かによその大陸から戦争をふっかけられてのほほんとしていられるわけはないものね。

 私がいようがいまいが価値観の変化(パラダイムシフト)は起こりそう。


 迎賓館の控え室でロメルテシア様以外の神聖教の重鎮の方々と合流し、一丸となって会場に入る。

「ミストア神聖教教皇猊下、並びに枢機卿閣下の方々、ご入場です」

 ここでは巫女()の名は出ない。

 このパーティの主宰は神聖教の教皇猊下であって私は何の役職もないから。

 教皇とか枢機卿とかって実は身分や位階じゃなくてお役目なのよね。

 教皇は身分と言えなくもないけど、位階としては司教だ。

 司教の中から選ばれた人が大司教になったり枢機卿になったりして、その枢機卿の互選で教皇が選ばれるわけで。

 巫女や使徒は関係がない。

 言わば外様なのよ。

 だから私やロメルテシア様たちの会場(ここ)での立場は「お客さん」だ。

 でも同時にこれは巫女()の就任披露でもあるので無視されたりするわけじゃない。

 いわば主賓?


 教皇猊下はまず列席されている貴顕の方々に歓迎の辞を述べた後、すぐに巫女()を紹介した。

 私が短く挨拶して引っ込むとロメルテシア様が進み出て簡単な説明を行う。

 ミストア神聖国の官庁として神託宮という機関が存在すること。

 この機関は神聖教の教会組織には所属していないこと。

 神聖国に対する権限はないけど教会の関連機関として随時助言や指導を行う役目を持っていること。

 上手くぼかしていたけど、神託宮が実際にはミストアの最高意思決定機関であることを言外に匂わせている。

 もちろん国王陛下以下のトップは知っているんだけど、念押しか。

 要するに巫女って凄いんだぞ、というアピールよね。


 それが終わると普通だったら来賓の挨拶とかがあるんだけど今回は省略して会食に突入した。

 あまりにも同格の国王(貴顕)が多すぎて代表を決められないから。

 それにしても壮観だった。

 大陸中の国家の最高権威が一堂に集合しているのよ。

 ここで爆弾でも爆発したら、侵略されるまでもなくこの大陸は壊滅よね。

 だからセキュリティは凄いものがある。

 例えば給仕やメイドは極力排除されている。

 会場を不特定多数の人に自由に歩き回られたくないから。

 なのでいわゆる晩餐(ディナー)というかコースではなく、私の前世の人の国で言うバイキングの型式になっていた。

 一応、席はあるんだけど料理は自分で自由にお皿にとって食べることになる。

 飲み物も同じ。


 国王陛下たちはちょっと戸惑っていたみたいだけど、すぐに慣れたらしかった。

 立食式のパーティと同じようなものだしね。

 テーブルも序列が(おおやけ)にならないように円形のものが並んでいる。

 さすがに主宰者である教皇猊下や枢機卿諸氏は代表者席に居座っていたけど。

 私や巫女の人達は教皇猊下とはまた別の陣地に籠もっていた。

 私も挨拶して回るべきかと思ったんだけど、国王陛下方が私に挨拶に来るのを待つことになるらしい。

 何様だよ私(泣)。

 さすがに列は作らなかったけど、本当に各国の国王陛下が私のところに来てちょっと話していった。

 内容はゼロなのでルーティンというか儀式みたいなものらしい。

 その後は何人かで集まって会話とかしていたから、この機会によその国のトップと話しておきたいということなんだろうな。


「同盟らしくなってきたな」

 メロディが現れて言った。

 そう、この宴会(パーティ)には私についてきた王女様方も参加している。

 来賓じゃなくてそのお付きみたいな立場だけど。

 それぞれ自分の国のトップの側に侍って挨拶とかしているみたい。

「メロディはシルデリアの陛下の側にいなくてもいいの?」

「大丈夫だ。

 許可を貰っている」

 王命を遂行するためならほぼ自由(フリーハンド)で動いて良いことになっているそうだ。

「いいなあ」

「そうでもない。

 成果を上げないとチョンだ」

 よく言うよ。

 メロディもミストア神聖教の巫女なんだから、もうそれだけで目的を達成しているのでは。


「それじゃ」

 メロディはすぐに離れて行った。

 活躍しているなあ。

 私はただ座っているだけだ。

 禁止されているから飲み食いも出来ない。

 虚しい。

 もう帰っていい?

「ご辛抱頂きたく」

 逃げちゃ駄目か。


 何もしないという苦行は2時間くらい続いたけど、ようやくロメルテシア様のお許しが出て撤退することが出来た。

 巫女()のお披露目は名目であって、それが済んだら用無しなのよね。

 実際問題として各国の国王陛下とは事前にたっぷりお話ししている。

 それ以外の人とは接触する意味がないから断っている。

 結果として何もすることがない。

 失礼にならないように静かに撤退(フィードアウト)したんだけど、もちろん私一人では動けないから大集団になってしまった。

 でも誰も気にしないみたいで助かった。

 これからこういうことが増えていくんだろうな。

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