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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 名誉学長

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339.波瀾万丈

「私が何だって?」

「名誉学長でございます。

 盟主であると同時にミストアの巫女であられるマリアンヌ様に相応しい、というよりはマリアンヌ様以外には務まらない立場であると」

 ミストアはその条件でなら賛同すると申しておりまして、とユベニア。

 おのれ神聖教。

 私を売ったな?

 金と場所を提供する以上、影響力も行使したいわけか。

 だから巫女をトップに祭り上げると。

 それではこの計画を進めさせて頂きますと言って撤収するユベニアたち。

 言質を取られた。


 呆然としているとメロディがひょっこり現れた。

「どうしたマリアンヌ。

 心が飛んだような目をして」

「メロディ!

 あんたねえ!」

「いいじゃないか。

 名誉学長だから坐ってるだけでいいんだぞ。

 こんなに楽な仕事はないだろう。

 高給だし」

 無責任に言い放つ隠れ巫女(メロディ)

「高給なの?」

「……考えてみたら意味ないよな。

 巫女は金なんか持っていても無意味だし」


 そうか。

 そもそも私、公爵にされてからお金なんか見た事も無いのよ。

 何か欲しければ誰かに一言言うだけで目の前に現れる。

 自分で何か買ったりする機会は皆無。

 私のものとされていた財産は凄いけど、自分でそれを使う方法が存在しない。

 男爵令嬢だった頃は多少はお小遣いという形でお金を持っていたんだけど。

 でもやっぱり貴族令嬢って直接現金を払ったり受け取ったりはしないのよね。

 実際、私に出ていたお小遣いは銀行みたいなところに保管(プール)されていて、何か買うときはその旨を事務の人に言うだけだった。

 孤児の時は街で稼いで多少は銅貨とか持っていたんだけど。

 あのお金、どこに仕舞ったっけ。


「あー、思い出した」

 メロディが決まり悪そうに言った。

「巫女って無給だった。

 そういう世俗のものとは関係しないんだそうだ」

 何ということを!

 それでは舞踏会で王太子に婚約破棄されたときに手持ちのお金を持って逃げることも出来ないのでは。

 無一文で追放は酷い。

「落ち着け。

 舞踏会もないし婚約破棄もないから。

 そもそも婚約してないだろう」

「そうだった。

 元が乙女ゲームのヒロインなのでつい」

 そもそも婚約破棄されるのは悪役令嬢であってヒロインじゃなかった。

 まあ、ヒドインの場合はもっと酷い運命が待っているんだけど。


 悪役令嬢は大抵、実家がお金持ちだから修道院に行かされるんだけど、あれって寄付金が半端じゃないと聞いている。

 ヒロインは下位貴族の令嬢とか、下手すると元孤児や平民だから平民用の牢に入れられたあげく極刑だったりして。

 よかった乙女ゲームが始まらなくて。

 その代わりに戦国SLGが始まってしまったけど。


「それじゃよろしく」

 メロディがそそくさと去った。

 様子を見に来ただけみたい。

 気を遣って貰ったのかな。

 むしろ私がパニクって逃げたり何かとんでもないことをしないように確認に来たと思った方がいいか。

 大丈夫だよ。

 私、サバイバルのプロだよ?

 ミストア神聖教の巫女なんていう安全確実な立場にいるんだから、ここから逃げたりするわけがない。

 戦争に負けたら盟主として処刑されるだろうけど(泣)。


 数日後、ユベニアを初めとする元テレジア公爵家侍女見習いでテレジア王立貴族学院助教、いやもう神聖軍事同盟(リガ・ミリティア)設立委員の人達が来たので具体的なところを説明して貰った。

 神聖軍事同盟(リガ・ミリティア)の本部は公平を示すためにミストア神聖国の教都に置かれる。

 これはミストアに野心がなく、更に各国からの国際的な信用を得ているため。

 同じ理由で同盟の盟主はミストア神聖教の巫女が務める。

 ただし、巫女はいわば大陸各国の協力の象徴という立場なので実権はないそうだ。

「なら何をするの?」

「連盟の参謀本部が立てた計画を理事会が精査し、盟主に奏上します。

 盟主が承認することで決定です」


 つまり盟主って自分では意見を言ったり何かしたりする権利はなくて、ただ言われたことの責任を取るだけの役目か。

 いいんじゃないの?

 私には戦争計画なんか立てられないし、ほっといても責任を押しつけられるんだったらむしろ素直にやった方が楽だ。

 神聖軍事同盟(リガ・ミリティア)は国際的な組織だし、各国の利害の調整を行うためにかなり大規模なものになる。

 専門家も多数必要なので、各国から優秀な人材を引き抜いた(スカウトした)勧誘(リクルート)したりする他に、自前でも育成する必要がある。

 なので学院を作って育てると。


「何で私が学長なの?」

「それはもちろん、盟主であられるので」

 こっちも名誉職で、何させられるのかというと入学式や卒業式で演説したり卒業証書を手渡したりするだけでいいそうだ。

 ついにここまで来たか。

 テレジア王立貴族学院の入学試験をトチッた落ちこぼれから始まって何とか本科の学生になり、色々あって退学に必要なメダルを集めたものの認められず、突然教授にされて研究室を主宰させられたと思ったら全部放り出して国外脱出。

 たどり着いたミストアでは何と学院の名誉学長(トップ)にされてしまった。

 波瀾万丈な学院生活よね。

やっとタイトルの回収が出来た(汗)。

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― 新着の感想 ―
[一言] 学園にいたのだって、この小説の話数の十分の一もありましたっけね……(遠い目)
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