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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 巫女

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332.喧噪

 何が、とは聞かない。

 メロディもロメルテシア様も姿を見せなくなって大分たっているんだから、結構進展したんだろう。

 さて。

「私は何をすれば?」

「坐ってニコニコして頂ければ、と」


 ヌルゲーだな。

 そんなことならいくらでもやりますとも。

 ただ一つ心配があった。


「トイレ休憩とかあるよね?」

「残念ながら」

 出ずっぱりかよ!

「壺をご用意させて頂きます」

 もういいよ(泣)。


 神託宮に籠もっていると判らないけど、ミストア全土に騒ぎが広まっているらしい。

 もちろんデモとか反乱とかじゃなくてお祝いの喧噪だ。

 もう祭りだ。

 神聖教では百年ぶりの巫女降臨ということで、これまで貯め込んできた貯蓄を惜しげも無く投入して雰囲気を盛り上げているとか。


「打算塗れね」

「それはそうでございますが、やはり聖下の降臨をお祝いしたいという感情の発露でございましょう」

 そうかなあ。

 私からみたらドロドロの欲望塗れに見えるんだけど。

 だって神聖軍事同盟(リガ・ミリティア)発足の暁にはミストアの巫女が盟主として立つ予定なんだよ。

 つまり、ミストアが大陸を掌握したことにならない?


「なりません。

 ミストアはあくまで裏方でございます」

 ロメルテシア様は頑固だった。

 この人、どうも初代巫女を信望というよりは崇拝しているみたいで、伝記(というか聖書)に載っている初代巫女の言葉や信条をそのまま受け取っている。

 原理主義者?

 幸いにして初代巫女の方針が世界征服じゃなかったから一見穏健に見えるだけだ。


 それでいてなぜか私に対しては無条件で心を許している臭くて、私が世界征服しろと言ったら本気で実行しそうで怖い。

 メロディなんか面白がって協力しそうだし。

 そのメロディはどこに行ったのか神託宮から完全に姿を消してしまっていた。

 巫女なのにいいの?


「メロディアナ様にはメロディアナ様のお役目がございます。

 ご心配は無用です」

 さいですか。

 いや別に心配なんかしてないけど。

 そもそも無敵のメロディが危機に陥る状況が想像出来ない。

 シルデリアの第一王女である上にミストアの巫女だよ?

 それだけでもはや世界を征服したも同然なのでは。


 私がぼやっとそんなことを考えているうちに話が進んでいたらしい。

 教皇猊下に呼び出されて中央教会に行ったらいきなり大聖堂で皆さんに跪かれた。

 教皇猊下を初めとする枢機卿の人たちと、その次席である司教の方々だ。

 ロメルテシア様を初めとする使徒の皆さんも猊下の後ろに並んでいる。


 ちなみに使徒は5人全員が揃っていた。

 ロメルテシア様と美熟女に美少女の3人は顔見知りだったけど、他の2人は初対面だ。

 私より十歳くらい年上に見える綺麗なお姉さんと、威厳に満ちた初老の女性だ。

 巫女って定年がないのかも。


 でも私、ロメルテシア様以外の4人の名前知らないのよ。

 いや、美熟女と美少女の人は紹介されたけど名前忘れた(泣)。

 まさか今更聞くわけにもいかないのでそのままになっている。

 とにかく私はたった一人でミストア神聖教の大幹部の皆様と向かい合っているわけだ。


 もちろんパニックだったけど、ロメルテシア様に言われたとおりにする。

 黙ってニコニコしていろと。

 そうしていたら教皇猊下が身体を起こして皆様に向かい合い、何か演説していた。

 全部耳から耳へと抜けいてって何も残らなかった。

 最後に教皇猊下が私の方を向いてもう一度跪き、その他の人も一斉に習って儀式が終了したらしい。

 徹頭徹尾、私には関係の無い話だった。

 私の代わりに人形でも置いといた方が良かったのでは。


 ロメルテシア様に手を引かれて大聖堂を退出する。

 そのまま神託宮に戻って居間(リビング)のソファーでへたり込んだら言われた。

「お疲れ様でございました。

 これで叙階披露の儀式は終了です」

「あんなので?

 私、何も言ってないんだけど」

 普通は何か貰ったらお礼とか言うのでは。


「きりがなくなりますので。

 それに、今回は儀式はともかく叙階自体は済んでおります。

 形式だけですね」

 さいですか。

 まあいいけど。


「これからどうなるの?」

「メロディアナ様が動いておられます。

 マリアンヌ様におかれましては神聖軍事同盟(リガ・ミリティア)盟主就任のご用意をしていただければと」

 何すればいいんだろう。

 何も出来ないよ私。

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