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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 巫女

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320.お仕事

 お二人を帰してから眠かったけど手早くお風呂に入って髪を乾かしてベッドに飛び込む。

 よく眠れた。

 というか目を開けたら朝だった。

 ベッドから降りると専任メイド(グレース)にそのままお風呂に連れて行かれて入浴。

 昨日は気づかなかったけどこのお風呂も豪華だな。


「普段は教皇猊下や枢機卿閣下方がお泊まりになられると」

 はいはい。

 ひょっとしてこのお部屋、女性が泊まったのは初めてかも?


 後で聞いてみたらそんなことはないと言われた。

 知らなかったけどミストア神聖教では男女の区別はないそうだ。

 つまり殿方だけじゃなくて女性の高位聖職者もそれなりにいる。

 もちろん女性は生理とか出産とか色々あるので数は多くないけど、教皇にまで上り詰めた方も結構おられるらしい。


「現在の教皇猊下も女性でございますよ」

「そうなの!」

 私の前世の人の知識に引っ張られて、何となく偉い人はみんな殿方だと思っていたんだけど。

「世俗はその傾向がございますね。

 女王陛下は希でございます。

 年若くとも殿方が戴冠する場合が多く」

「女は動物学的にトップには向かないからな。

 生理とか出産とかで任務を中断することになるし」

 ロメルテシア様とメロディが言うけど、まあそうよね。


 私の前世の人の世界では男女同権とか平等とかの思想が支配的だったんだけど、こっちではまだ平等は実現されていない。

 当たり前に身分があるし、男と女では社会的な役割が違う。

 女性の第一の仕事は子供を生むことなのよ。

 なぜかというと出産時や幼児期に亡くなる子供が多いから。

 医療体制も不備だし、そもそも清潔とかの概念も薄い。

 平民の大多数は文盲だし。

 なまじにトイレとか舗装道路とかあるから誤解してしまうけど、ここは私の前世の人の常識で言ったら未開の地なのよね。


 ところで今私が何してるのかというと、メロディとロメルテシア様の3人で朝餐(ブレックファースト)だ。

 当たり前に訪ねて来てそのまま食事会になってしまった。

「何かあるの?」

「いや。

 様子を観に来ただけだ」

「マリアンヌ様はさすがでございます。

 微塵も動揺が見られない」

 いや、今更でしょ。

 ここまできて慌てても始まらない。

 神輿でいいというんだからどっしり構えていればいい。


「そういえば演説とかさせられるの?」

 ちょっと心配になって聞いてみた。

「それはないな」

「そのような場は設けられていません。

 パレードが終わり次第、神託宮へ」

 良かった。


 まあ、確かに演説はないな。

 だって私、まだ巫女の叙階式を済ませていない。

 実際には既に巫女なんだけど、世間的にお披露目されてからが本番だ。


「気楽に行けばいいから」

 メロディが無責任に言って立ち上がった。

 ロメルテシア様も続く。

 それだけを言いに来たのか。


「最後の確認でございましょうね」

 専任侍女(サンディ)が意味深に言った。

「そう?」

「駄目押しと申しましょうか。

 舞台を整えるのは大変と伺っております」


 そういうことか。

 あの人たちは出演者(タレント)じゃなくて監督(ディレクター)や演出だ。

 表には出ない。

 それ以上にロメルテシア様もメロディも私に同行出来ない。

 やったらあの方々は何? と噂になってしまう。

 別にいいんじゃないのと思うけど、神聖軍事同盟(リガ・ミリティア)の立ち上げ前に雑音が入る事を避けたいんだろうな。

 徹頭徹尾、王命を実現するための行動か。


 凄いよねメロディって。

 生まれながらの王族ってああいうんだろうな。

 いくら育ちが平民でも成人した今は完璧な王族だ。

 私にはとても出来ない(泣)。


「マリアンヌ様にしか出来ないこともございます」

「マリアンヌ様はすべてに君臨する御方であられますから」

 専任侍女(サンディ)専任メイド(グレース)が訳の判らない事を言いつのるけど無視。

 いい加減飽きたよ。

 私は食事の後、ゆっくりお茶を楽しんでから立ち上がった。

 さあて仕事だ。

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