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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 巫女

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315.聖地

 さいですか。

 まあ色々あったんだろうな。

 訳が判らなかったり明らかに不適な場所に大きな都市が作られる例もないわけじゃない。

 宗教的な理由とか。

 そういえばミストアって宗教国家だったっけ。

 ロメルテシア様に聞いてみたらあっさり教えてくれた。


「教都は初代巫女様がお生まれになった土地でございます。

 当時は子爵領だったとのことでございますが、そこでミストア神聖教の原型となった組織を立ち上げたため、神聖教の本拠地として発展致しました。

 現在でも統治の中心はかつての王都のあった場所にありますが、神託宮を含む中央教会などの主要施設は教都にございます」


 なるほど。

 つまり教都って宗教的な中心つまり聖地というわけね。

 私の前世の人の世界でいうと、イスラエルという国に似ている。

 その国も宗教国家なんだけど、大昔に何か神聖なことがあったという土地が一応首都になっているらしいのよ。

 でもそこは砂漠の真ん中というか、不便で不毛な土地なので宗教はともかく現実の交易や商業などには向かない。

 なので海に面した土地に事実上の首都ともいうべき大都市があって、政治や経済はそっちでやっているという話だった。

 まあ、どうでもいい話だ。


 私はその教都に行って何かして、後は坐っていれば良いらしいから。

 馬車隊はのんびり進んでいた。

 大行列なので速度が出せない。

 だって私を含めてよその国の王女(貴顕)が大量にいるのよ。

 その護衛のための騎士や下働きの人たち、それに炊事隊なんかも同行しているという。


「そういえば着くまで3日かかるのね」

「はい。

 急げば2日で到着出来ますが、そうすると途中で野宿になってしまいます。

 よって皆様が宿泊出来る施設がある街に停まります」


 そういうことか。

 ちなみにこれだけ大量の貴顕(王女)を泊めるような宿舎(ホテル)があるのか聞いたら大丈夫だということだった。

 というのはこのコースって一応は巡礼路でもあるらしい。

 わざわざミストアの教都まで巡礼に来られる人はそんなに多くないはずだけど、逆に言えば来る人はお金持ちで身分が高い。

 とすれば宿泊施設も豪華なものが必要だということで。


「なるほど」

「それでも、一度にこれだけの王女殿下方を泊めるのは難しかったようですが、そこはミストアの威信に賭けて何とかしたようでございます」

 大変だなあ。

 威信ってあれだね。

 巫女である私に恥をかかせられないということか。

 私はどうでもいいのに(泣)。

 まあ、王女様に野宿させるわけにはいかないから、担当者は死んでも何とかするんでしょう。

 悪いけど私が知ったこっちゃない。


 ゆっくりと移り変わっていく景色を見ながらロメルテシア様に色々と教えて貰った。

 ミストア国内や神託宮でしか通じない「常識」もあるそうだ。

 ちなみに神託宮は神聖教内部でもほとんど知られていないらしい。

 いかに独立した場所なのかが判る。


「高位聖職者になりませんと神託宮の存在すら口に出すのが憚られます。

 ある意味禁忌(タブー)でございます」

「そんなに」

「大抵の期間、巫女そのものが不在でございますので。

 使徒も表には出ませんし」


 都市伝説みたいなものになっているらしい。

 ますます聖女とかに似てきているなあ。

 私、別に回復魔法とか土地の浄化とか出来ないんだけど。


「神聖教の巫女はそのようなものではございません」

 ロメルテシア様に怒られてしまった。

 冗談にするのも拙いのか。

 怖っ。


 そういえば使徒(ロメルテシア)さんたちって巫女という立場に命を賭けているんだよね。

 その対象の私がおちゃらけていたら、それは怒るか。

「ごめんなさい」

「……いえ。

 使徒の分際で申し訳ございませんでした。

 巫女の神智は我々などには計り知れないもの。

 どうぞ、これからもご自由になさって下さい」

 これ、嫌味とか皮肉じゃなくて本気で言っているんだもんね。

 やっぱり私、疫病神(ロメルテシア様)に取り憑かれているのかも。


 旅の初日はまだ日が高い内に目的地に到着した。

 かなり大きな街、いや都市で馬車隊(キャラバン)が大通りを通過すると野次馬が集まってきてしまった。

 やっぱり珍しいよね。

 もっともこれほど大規模な巡礼者は珍しいにしても、他国の貴族が教都詣でをするためにこの街を通り過ぎるのはよくあることで、それほどの騒ぎにはならなかったみたい。

 巫女がいるとかバレたら絶対群衆が殺到してきそう。


 街一番の立派な宿舎(ホテル)に到着し、警備(セキュリティ)上の理由から私を含めた王女様方全員が同じ宿に泊まる。

 分散して宿泊すると警備が手薄になるからだそうだ。

「危険なの?」

「用心のためでございます」

 その辺の警備計画はメロディがミストアの当局と協力して立てているそうで、どこまでチートなんだあの王女様。

 この乙女ゲーム、「転生王女の無双生活」とかに変えた方がいいのでは。


 貴顕用の客室が足りないとかで私はともかく王女様方は相部屋になったらしいんだけど、それが良いとかで皆様はしゃいでいるらしい。

 こうしてみると皆さんまだ子供というか、大人にはなりきっていない年頃なのよね。

 一番上でも二十歳くらいで、最年少は14歳つまり成人したてだとか。

 何でそんな年端もいかぬ少女を送り込んでくるかな?

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