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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 巫女

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281.特別位階

 そうか、巫女って公式の位階だったんだ。

 何となくそう呼ばれるだけだと思っていたんだけど、考えてみたらそんなはずはない。

 だって神託宮という歴としたミストア神聖国のお役所のトップなんだよ!

 公式な称号でないはずがない。


 そういえばロメルテシア様の「使徒」もそうなんだろうか。

 ロメルテシア様に来て頂いて聞いたらあっさり応えてくれた。

「巫女は神聖教の特別位階でございます。

 教団の位階ではございますが、組織上は教皇猊下の相談役のような立場ですね。

 使徒は巫女の配下になります」


「ああ、つまり教会の権力ピラミッド構造からは外れていると」

「はい。

 なので巫女自身はミストア神聖教に対してはいかなる権利義務も持ちません。

 対外的には神聖教の象徴と見なされます」


 なるほど。

 巫女って私の前世の人の小説(ラノベ)で言う「聖女」みたいなものなのかも。

 聖女には上司や部下はいないし教会に対しては何の権力もないんだけど、逆にそれ故に誰の命令にも従う必要がない。

 そしてそのお言葉には教皇といえども逆らえない。

 まあ、小説(ラノベ)では狡猾な司教とか枢機卿とかに利用されたりしていたけど。


「テレジア王政府に公式に申し入れがあったってことは、ミストアは私が巫女だってことを(おおやけ)にすると決めたんだ」

「はい。

 (わたくし)が提言致しました」

 あっさり白状する使徒(ロメルテシア様)

 おい。

 それはやらない約束じゃなかった?


(わたくし)としてはマリアンヌ様のご希望に添うのがやぶさかではなかったのでございますが、メロディアナ様と相談した結果、これは必須であろうと」

 メロディかよ!

 あの王女、何を企んでるんだろう。

 嫌な想像しかない。


 私は気持ちを落ち着かせるために座り直してお茶を飲んだ。

 駄目だ。

 逃げられない。

「ありがとうございます」

「お心のままに」

 ロメルテシア様を帰すと私は書類仕事に没頭するのだった。


 私の前世の世界では社畜といって滅私奉公で働く人種がいたらしいんだけど、その人達も今の私と同じだったのかも。

 とにかく忙しくしていれば嫌な現実を思い出さずに済むから。

 家令(ヒース)を通じてテレジア王政府にミストアの申し出を受け入れますとお返事して、あとは忘れることにする。

 これで当分は何も言ってこないだろうと安心していたんだけど。


「巫女の叙階式の日程が決まりました」

 突然言われて座り込みそうになった。

「もう?」

「はい。

 本日、ミストア神聖国本国より緊急の通達が届きまして」

 ミストア、何でそんなに急いでるんだろう。

 ていうか叙階式?

 式典とかするの?


「はい。

 準備を進めておりました巫女降臨の式典を(ベース)に置き、ミストアを挙げて実施致します」

 ロメルテシア様の声が弾んでいた。

 嬉しそうだな。

 私はただ逃げたいだけだけど。

 ちょっと待って。


「ミストアを挙げてって」

「式典はミストア神聖国の教都で行われます。

 現在、出席される方々の予定(スケジュール)を調整中でございます」

 え?

 予定(スケジュール)って調整しないといけないものなの?


「何分、列席される方々のお立場がお立場でございますので。

 各国の国王陛下、もしくは王太子殿下をご招待させて頂いております」

 ……おい!

 何を企んでるんだよ!

 さすがにシャレにならないよ?


 慌ててメロディを呼んで聞いたら淡々と言われた。

「当然だろう?

 巫女はミストア神聖国の事実上のトップだ。

 その就任式典に諸国のトップを招かないでどうする」

「でも巫女って象徴的な立場なんでしょう?

 何でわざわざミストアの国外から貴顕を呼ぶ必要が」


「おかしなことを言うね。

 私達の前世(日本)だって天皇陛下の即位の時には諸国からトップが集まったじゃないか。

 陛下は政府要人じゃなくて、立場的には国の象徴だし」

 (マリアンヌ)と日本の天皇陛下を比べてどうする!


 あれ?

「お招きするってことは」

「はい。

 巫女(マリアンヌ)様もミストア神聖国に赴いて頂きます。

 さすがに国外で叙階式は出来ませんので」

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