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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 巫女

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280.偶像

「ミモザ様は、芸術部門のご担当ですね」

 カレン様の逆襲?

「あ、はい。

 歌劇(オペラ)に興味がありまして、末席に加えて頂きました!」

「ああ、なるほど」


 何か納得してない?

 するとミユレノン様が私に教えてくれた。

「ミモザ様は母国では偶像(アイドル)として大人気と聞いております。

 若年貴族層には親衛隊(ファンクラブ)まであるとか」


 それかよ!

 どうも何か既視感があると思ったら、ミモザ様って私の前世の世界で言う「アイドル」だった。

 雰囲気が。

 それも「可愛い妹」系の。

 そういえば私の母上が「媚びるのが上手い」と言っていたけど、あの人もアイドルだったのかもしれない。

 私には無理だ(泣)。


「あら、ミモザ様も舞台に?」

「いえ!

 私は裏方というか支援(プロデュース)というか」

 まあ、そうだろうな。

 子爵令嬢(シストリア様)が歌姫になったのとは身分(わけ)が違う。

 腐っても王女殿下だもんね。

 万一舞台に上がったりしたら周囲に護衛騎士が並ぶことになる。


 それはいいとして、さっきからしきりに「担当」とかいう言葉が聞こえるんだけど。

 「部門」も。

 さりげなく聞いてみたら学院の研究室の分室のことらしかった。

 テレジア公爵家の侍女見習いの皆さんがそれぞれ助教となって専門特化したのは知ってるけど、既に各自の担当部門を立ち上げて活動しているらしい。

 王女様方はそれぞれご希望によって各担当部門に振り分けられているそうだ。


「そんなことが」

「今のところは情報収集と連携強化だな。

 要員(スタッフ)引き抜き(スカウト)も進んでいる。

 もうじき組織として立ち上げるそうだから、本番はそれからだ」

「待ち遠しいですわね」

「ワクワクします!」


 皆さん盛り上がっているけど、私は何も知らないのよ(泣)。

 誰も教えてくれないし。

 それでいて、いざ始まってしまったら私が主役にされそうな気配がプンプンする。

 でもどうしようもない。

 何させられるのかわからないけど、多分大したことではないと信じたい。


 そういうわけで私は各国の王女様方やそのお付きの人達と交流をしつつ、毎日を平穏に過ごしていたんだけど。

 ある日国王陛下に呼ばれて王宮に行ったところ、私的(プライベート)なお部屋で言われた。

「テレジア公爵マリアンヌ。

 (なんじ)に叙階の申し出が来ている」

 は?

 何ですか、それ。

 ぽかんとしていたら国王陛下が苦笑いして、お側についている参謀のサラーニア伯爵が説明してくれた。

 ルミア様のお父上、相変わらず忙しそうだな。


「叙階とはミストア神聖国、というよりは神聖教の位階の授与のことです。

 ミストア神聖教の位階の頂点は教皇で一人だけです。

 その下に司教、司祭があります。

 枢機卿や大司教などは司教の中から選ばれます。

 また司祭は助祭を含みますが、正規の位階としては三種類だけです。

 というか、そのはずだったのですが」

「というと?」


「このたび、マリアンヌ殿下に特例として『巫女』という位階を贈りたいという申し出がありました。

 それについて何かお聞きではございませんか?」

 サラーニア伯爵、笑顔だけど目が笑ってないよ!


「巫女、という言葉は聞き覚えがあります。

 ロメルテシア様が」

 やっと応えたらサラーニア参謀の笑みが深くなった。

「さようでございますか。

 娘から聞いておりました通りでございます」

 知ってるじゃないか!


 国王陛下が咳払いした。

「それでどうする?

 受けるか?」

 嫌です、と言えたらどんなにいいか。

「……テレジア王国としてはどのような判断になるのでしょうか」

 やっと聞けた。


「いや、これはテレジア王国のテレジア公爵にではなく、マリアンヌ・テレジア個人に贈るということだ。

 御身のテレジアにおける身分には影響しない」

「テレジアにもミストア神聖教の教会がありますし、テレジア人の司教や司祭も存在します。

 それと同じということです」

 そうなのか。

 良かった。


「ところで御身(マリアンヌ)はミストア神聖教における『巫女』なる位階がどのようなものなのか知っているか?」

 国王陛下の攻撃!

 マリアンヌは98のダメージを食らった!


「……一応は。

 ロメルテシア様より説明を受けました」

「さようか。

 なら良い」

 陛下の笑顔が怖い。

 幸いにしてそれ以上は追求されずに解放されたけど、離宮に帰ったら精神的疲労が酷くてぶっ倒れてしまった。

 きつい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 早速赤と白のドレスを仕立てていただいてですね
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