表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 巫女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

276/371

275.戦国SLG

 あー嫌だ(泣)。

 何で乙女ゲーム小説で戦国SLGシミュレーションゲームやらなきゃならないのよ。

 しかも味方はバラバラな上に技術的に遅れているときた。

 ていうか、よく考えたら何で一介の公爵がそんなことで悩まなきゃならないのよ。

 私、関係なくない?


 愚痴を言ったらライラがにんまりと笑った。

「殿下はいつもそう言いつつ、何とかしてきたではありませんか」

「何もしてないよ!

 いつも周りの人が勝手に」

「そうなるように動くのが殿下でございます。

 私共は驚嘆しているのですよ?

 テレジア公爵として立派にお勤めされているのすら驚異的ですのに、気がついたら列強の支持をとりつけておられる。

 お身内だけならともかく、シルデリアやミストアといった本来関係のない国すら配下に収められて」


 配下になんかしてないって!

 あの人達は勝手に居座っているだけで。

「初めてお目にかかった時から殿下はただ者でない雰囲気をお持ちでしたが、今や後光(カリスマ)の塊でございます」

 ライラの褒め殺しに耐えられなくなって私は逃げた。

 何も解決してない気がするんだけど、知ったところで私には何もできないものね。

 何も出来ないんだから何もしなくてもいいよね?


 現実から目を逸らして黙々と公爵のお仕事をやっているうちに春が過ぎて夏になった。

 専任メイド(グレース)以下のメイド部隊も衣装替えして軽装だ。

 これ、実は私が提案して風通しが良いメイド服を作って貰ったのよね。

 それまでは夏でも冬でもあまり違わない格好だったから気の毒で。


 最初、メイドの皆さんは戸惑っていたみたいだけどいざ着てみたら快適さが段違いなので満足度が馬鹿上がりしたと聞いている。

 噂では公爵家のメイドはみんな溌剌として元気だ、ということになったらしいんだけど、そのせいかも。


 まあ、私も男爵家庶子の頃は年中同じドレスで過ごしていたくらいで、慣れてしまうとあまり気にならないんだけど。

 それでも楽になるんだったらその方がいいよね。

 メロディやロメルテシア様がそれを見て「「さすがは巫女」」みたいなことを言っていたけど、メロディは自分で気づけよ(怒)。


 そういえば最近、メロディを見ない。

 しょっちゅうどっかに出かけているみたいで聞いてみたら驚くべき事実が判明した。

 メロディは結局、学院の複数の教授からメダルを押しつけられて講座の「顧問」に就任したそうだ。

 その肩書きは教授に準ずるということで、テレジアではかなり顔が効く。

 他国の王女では出来ない事や行けない場所も自由自在だ。

 ある意味テレジアの身分だからね。

 それを持って王政府の人と会議したり母国(シルデリア)やサラナ連合王国と連絡を取ったりしているそうだ。

 やっぱただ者じゃないなあ。


 ロメルテシア様の方は一見のんびりしているんだけど、母国(ミストア)と頻繁に手紙をやりとりしているらしかった。

 巫女降臨のお祝いだか祝典だかを大々的に開催するらしくてその手配だとか。

「私は出ないからね」

「お心のままに」

 巫女の意見は絶対だから納得してくれた。


 本人不在の祝典って何なのかと思ったんだけど、よく考えたらテレジア公爵()の誕生日のお祝いもテレジア公爵領でやったのよね。

 当然、私は王都在住だから現地にはいなかったけど、お祭りだから誰も気にしなかったみたい。

 庶民にとっては統治者に何かあっても直接は関係ないものね。

 私も孤児院に居た頃は男爵様(兄上)個人はともかく男爵家のことなんか意識すらしてなかったし。


 それでも気になったので聞いてはみた。

「本当に私は何もしなくてもいいの?」

「はい。

 これまでの記録を調べても、巫女は概して派手な事をお嫌いなようでございます。

 あまり人前に出たり自らの功績を誇ったりすることもなく」


 まあ、21世紀日本の女子高生だもんね。

 お祭り騒ぎは好きでも自分が主賓ならともかく主催なんかしたくないに決まっている。

 面倒くさいことはご免だ。

 私も同じだけど。


「そういえばこれまでの巫女って結婚とかしたの?」

「皆様、独身を貫かれたと。

 そもそも殿方にご興味がないようで、側近は同年代の淑女で固めたと記録にあります。

 もっとも淑女が好き、ということでもなかったらしく」


 やっぱりか。

 転生者って色恋沙汰に興味がないらしい。

 私もメロディもそうなんだけど、自分でも異常だと思えるくらい殿方に関心がないのよね。

 私はイケオジ好きだけど、それって別に性的なものではなさそう。

 推しまでいかない、押し?

 まあいいか。


 公爵としてのお仕事も結構忙しいし、頻繁に王宮から顔を出せとか舞踏会開くから出ろとかいう命令がくるので、私は悩む暇もないくらい毎日駆け回っている。

 色々な勉強も続けているし。

 毎週のように学院の研究室が本格稼働したとか王政府の予算が降りたとかの連絡が来るんだけど、私には関係ない。


 離宮(タウンハウス)は王女様方とそのお付きで満員状態。

 廊下を歩いていると頻繁に他国の王女とすれ違う。

 はみ出した配下の人たちを収容するために急遽近隣のお屋敷を借り上げたりしているようだ。

 そっちはテレジア公爵家自体ではなく、いつの間にか出来ていたよく判らない組織がやってくれているらしい。


「国際関係管理財団と命名しました」

 侍女見習い(ライラ)が言うにはテレジア公爵家の学院研究室の実働機関だそうで、予算は暫定的にテレジア公爵家(うち)が出している。

 もちろんそんなことを続けていたらテレジア公爵家が破産するから、テレジア王政府を初めとした各国からの寄付や支援金で運営する予定だそうだ。


「聞いてないんだけど」

「メロディアナ様が」

 メロディか!

 よその国の王女の癖に何やってるんだか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 〉戦国RPG RPGは「ロールプレイングゲーム」。「シミュレーションゲーム」ならSLGですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ