表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 巫女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

274/371

273.流行

「シェルパトーレ姉様もご希望してマリアンヌ姉様のところへ?」

 無邪気に切り込む(パルマティア)

 自分より年上はみんな姉様なのか。


「はい。

 マリアンヌ様の情報が伝わって参りまして、国王陛下が『ゼリナとしてもこの波に乗り遅れるわけにはいかん。誰ぞ』とおっしゃって」

 波ってなんだよ。

 いや判るけど。


「それでご指名されたのでございますか」

「いえ、我も我もと志願が殺到いたしまして。

 ゼリナの王家は人数が多ございますからね。

 自己主張が弱いと埋もれてしまいます。

 それに、やはりマリアンヌ様が流行(トレンド)ですから」

 流行(トレンド)って何だよ。

 私、ゼリナでそんな扱いになってるの?


「どうやって決めたのですか?」

 (パルマティア)ってマジ使えない?

 私が聞きたいことを率先して聞いてくれたりして。


「収拾がつかなくなりそうでしたので、急遽弁論大会を開きました。

 希望者はそれぞれ、いかに自分がマリアンヌ様の元に赴くに相応しいかを主張(アピール)して」

 何やってんだよ!

「投票で優勝者を決めたのですが、同票が3名出てしまって、最後はくじ引きでございました」

 そんなドラマがあったとは。

 色々な王家があるなあ。


「おめでとうございます!」

 (パルマティア)が満面の笑みを浮かべていた。

「ありがとう。

 実際にマリアンヌ様にお目にかかって、(わたくし)の判断は間違っていなかったと確信致しました。

 本当に(わたくし)は運が良い」


「確かにな」

 レイサーゼが重々しく言った。

「私も半信半疑、というよりはむしろ賭けだったのだが、今になってよくぞ志願したと自分を褒めてやりたい。

 マリアンヌがこれほどの傑物とは思わなかった」

「本当です!

 マリアンヌお姉様は最高です!」

 レイサーゼもパルマティアも何を言っているんだか。

 いくら親類だからって言い過ぎではないのか。


「……まあ、こんなところかな。

 色々と話したいことはまだあるが、そろそろ待っている連中が限界だ」

 レイサーゼが苦笑しながら言った。

 待っている連中?

 振り返ると、いつの間にか他の王女様方が皆さん無言でこっちを見ている。

 視線に怨念が籠もってない?

 例外はメロディとロメルテシア様だけで、二人はなごやかに話しながら坐ってスイーツを食べていた。

 ブレないな。


「そうですわね。

 それでは」

「マリアンヌお姉様。

 また後で」

 一斉に立ち上がる私の親類の皆さん。

 本当に思い切りがいいなあ。

 私はため息を押し殺して次の組を迎えた。

 結局、合計3組の王女連合とそれなりにお話してある程度の知己を得たところで無礼講になった。

 ちょっと疲れたのでお花摘みに行くついでに控え室で休憩する。


「パーティはどう?」

 専任侍女(サンディ)に聞いてみた。

「皆様、それぞれ自己紹介後はご自由に会話されております。

 メロディアナ様とロメルテシア様が場を仕切っておられて」

 やっぱそうなるか。

 他の王女様方もなかなかの強面(こわもて)だったけど、あの二人は別格だからね。

 私との距離が近いし母国も強い。


「問題とか起こってない?」

「和気藹々とした雰囲気でございます。

 何でも最初に(わたくし)たちは同胞です、というような宣言がなされたらしく」

 何の同胞なんだろう。

 同志でないだけマシか。


「私はこのまま隠れ(フェードアウト)ちゃ駄目かな」

「それはちょっと。

 主催者でございますので」

 それはそうだ。

 私はパーティ会場に引き返して喧噪に身を投じるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 乗らなきゃこのビッグウェーブに! [気になる点] 流行ということは、いつか終わる日が……!?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ