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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 巫女

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272.実務者

「普通の王家では基本的に子弟を統治者もしくはその奥方(パートナー)として育てます」

 シェルパトーレ様が諭すように言った。

「王家の者は支配者であって実務者ではない、という方針ですね。

 なので幼い頃から優秀な臣下を選び、将来の側近として育てるわけです。

 もちろん未来の事は判りませんので、複数の候補を揃えて競わせます」


 ゼリナもそうなのか。

 大国だからね。

 テレジア(うち)はどうなんだろう。

 いや、学院があった。

 やっているじゃないか。


「ハイロンドはあまりそういった側近がいなくてな。

 なりたがる奴も少ない。

 自主独立の気運が高いというか、誰かに一生仕える、というような人生はご免だと思う奴ばかりで」

 レイサーゼが肩を竦めた。


「だからハイロンド王室は王家内で側近というか専門家を育てるわけだ。

 万能型(オールラウンダー)はむしろ忌避される。

 そいつに任せて万一何かあったら一挙に崩れるからな」

「なるほど」

「統治者やその側近候補を競い合わせ、最終的に誰かに決める訳だが、問題は選ばれなかった者だ。

 輿入れや婿入りが待っているんだが、優秀であれば引っ張りだこだ。

 逆にイマイチだとどこにやられるか判らんということで」


「厳しい」

 思わず漏れてしまった。

 生存競争(サバイバル)そのものじゃないか。


「そうか?

 私から見れば甘いくらいなんだが」

 レイサーゼは不思議そうに言った。

「希望すればどの分野でも最高の教育が受けられて、しかも見習い(インターン)までさせて貰えるんだぞ?

 世間的には破格の待遇だろう」


 ああ、そうか。

 レイサーゼというかハイロンドの王族は王族だからという意識が薄いんだろうね。

 平民のことは知らないかもしれないけど、確かにその条件って普通の貴族からみても破格だ。

 貴族家の者は最初から何をするべきだ、とか決められているもんね。

 私なんか希望を聞かれる以前の問題だったし。

 出来れば男爵庶子の身分でどっかの商家にでも嫁ぎたかったんだけど(泣)。


「シェルパトーレはどうだ?」

 レイサーゼが聞いた。

「ゼリナは大国だから厳しいんじゃないのか」


「そうですね。

 厳しいと言えばそうです」

 シェルパトーレ様は淡々と言った。

「基本的には王子も王女も政略結婚要員であることには違いはありません。

 ですが曾祖父がやらかした事で、祖父が慎重になっておりまして」

 シェルパトーレ様の曾祖父というと私の祖母上の父親か。


「やらかし?」

「はい。

 マリアンヌ様はご存じでいらっしゃいますよね?」


 振られた。

 あれね。

 政略結婚でゼリナの勢力を伸ばそうという。

 そのために私の祖父上は祖母上を婚約破棄して王子じゃなくなったのよね。

 今私がここにいるすべての原因とも言える。


「ご存じなのですか、お姉様?」

 (パルマティア)が私の顔をのぞき込んでくる。

 ああ、マジで可愛い。

 母上もこんな風に人をたらし込んで生きてきた訳か。

 自分でも人に媚びるのが上手いと言っていたし。


「ええ、まあ。

 何でもご自分の身内を強引な手法で政略結婚に使いまくったと」

「それで一時期、ゼリナの評判が国際的にひどく悪化したと聞いております。

 なので後を継いだ前国王陛下(祖父上)が慎重になられて」


 なるほど。

 ゼリナの前国王陛下は王太子時代から色々と裏で動いていたらしい。

 祖母上が修道院を抜け出して私の祖父のところでメイドやれたのも兄上だった前国王陛下の助力があったからだと聞いている。

「そのため、現在のゼリナの王家の者はかなり自由に動けるようになっております。

 政略結婚も本人の希望に出来るだけ添う形で」


 いいなあ。

 私なんか有無を言わさず公爵にされたのに(泣)。

「するとシェルパトーレ様も?」

(わたくし)も皆様と同じく『様』は抜きでお願いします」


 シェルパトーレ、大人しそうな雰囲気に反して結構押しが強そう。

 まあ、祖母上と血縁だものね。

 何か私の親類ってみんなこうみたい。

 王家の者だからか。

 私も似たようなものだろうって?

 違うよ!

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― 新着の感想 ―
[一言] 本人は凡庸な平民あがりの小娘だといってるけど 誰もそれを信じちゃいないな これまでやってきたことがあれじゃぁなぁ
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