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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 巫女

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257.勅任

 そういや初めて会った頃のコレル閣下も准男爵だったっけ。

 あれはミルガスト伯爵家の従属爵位だったんだろうな。

 だからコレル閣下がテレジア公爵家に移籍した時は、いったん准男爵位を手放してから改めて王国爵位である男爵に叙爵されたと聞いている。


家令(ヒース)は伯爵だったっけ?」

 聞いてみた。

「公爵家の家令ですからね。

 子爵ですと公爵家の寄子貴族と同格になってしまいます」

「なるほど」


「法衣爵位は相対的なもので、領地などが関係しないから自由に叙爵出来ます。

 というのは言い過ぎですが、基本的には就いている仕事や役割に見合う爵位が与えられるんですよ。

 公爵家の家令なら伯爵ですね。

 これが王家ですとまた違って来ますが」


 そうなのか!

 確かエリザベスに教えて貰ったっけ。

 領地爵位は土地についている。

 とある領地が「○○伯爵領」だから、そこを統治する貴族は伯爵だ。

 最初から伯爵がいて領地が決まるわけではないのよね。


 法衣貴族もそれと同じ。

 法務大臣は子爵だとか決まっていて、新しく大臣に勅任された人が自動的に子爵になるらしい。

 だから大臣辞めたら貴族ではなくなる。

 世襲も出来ない。

 次に大臣に叙任される人が子爵になるだけだ。


 ちなみに礼儀(マナー)の講義で教えて貰ったんだけど、王政府の一定以上偉い人とか、軍隊や騎士団の上位の役職者は勅任だ。

 どういうことかというと、封建国家における主権者は当然王様なんだけど、その行動が国家に直接影響を及ぼすほどの高い地位につくには王様に承認して貰わなければならないことになっているのよね。

 状況が揃えばその人の行動が国の運命を決めかねないから。

 ある意味、陛下の名代なのよ。


 普通の偉い人は「叙任」で、これは属する組織のトップが承認することでなれる。

 私の前世の人の世界で言うと、会社だったら課長とか部長とか。

 でも取締役クラスは組織の長じゃなくて、その組織自体を配下におく立場の方に承認して貰わなければならない。

 株主総会で。


 私の前世の人は日本という国の国民だったんだけど(もちろん平民)、その国には象徴的な立場とはいえ皇帝がいて、政府のトップになった人は最初に宮殿、皇居というんだけど、そこに行って陛下にご挨拶していた。

 そこで政府の首班として承認されて、初めてトップとして認められる。

 それ以下の閣僚はトップの人が決めるんだけどね。


 そういえば私の前世の人が読んだ小説に、とある封建国家の海軍のお話があったっけ。

 主人公は海軍の軍人なんだけど、士官候補生から始めてどんどん出世していって、とうとう艦長クラスになる。

 その艦長って「勅任艦長」だった。

 つまり、国王陛下が直接任命した階級というか、もう身分ね。


 なぜそうなっているのかというと、当時の高級海軍軍人は半ば政治家だったから。

 テレジアもそうだけど、軍艦は遠洋航海に出たら本国の司令部に連絡する手段がない。

 だから未知の土地で未知の政府や船に出会ったら、艦長は自分の判断で行動するしかない。


 もちろん命令書は貰っているんだけど、どんな事態に遭遇するか判らないから、敢えて曖昧な表現になっている。

 ということは、艦長の判断や行動でうっかりやらかしたら最悪の場合、戦争になってしまうかもしれないのよ。

 そんな立場の人は、やっぱり国王陛下の直接の臣じゃないと。

 脇道に逸れた。


 えーと、爵位だったっけ。

 身分があるから地位につくんじゃなくて、地位に身分がついてくると。

 あ、そうか。

 世襲の領地貴族も同じではないか。


 ○○伯爵領の領主だから○○伯爵だった人が引退したら無爵というか平民になって、次の領主に任命された人が○○伯爵になる。

 その人が前伯爵の嫡男だとか、そういう話は後だ。

 何せ養子でもいいし、王子とかが一時的に領主になる場合もある。

 そんなケースは世襲とは言えない。

 ていうかそもそも世襲という概念自体が怪しくなってきたなあ。


 だって王国法は貴族の養子を認めているのよ。

 血の繋がりは重視されるけど、必ずしも必須というわけではない。

 昔は戦場での槍働きを認められて平民が騎士になったり、あるいは将軍の養子に迎えられたりしていた。

 その人は貴族とは血縁じゃないのに貴族として認められたのよね。

 上手くやれば爵位持ちになれるし、領地を貰えば世襲貴族だ。

 ていうか、貴族って元を辿ればみんなそうなんだけど。


 前にも話したと思うけど最初から王様だったり貴族だったりする人、いや家系はない。

 どんな貴顕でも最初は庶民から出発してのし上がって行くわけ。

 それが何代か続くと世襲貴族ということになる。

 でも「世襲」しているのは家系というか「家」であって、貴族家当主は誰でもいいのよね。


 くり返すけど血が繋がっている必要すらない。

 なのに何で血縁が重視されるのかというと、血縁じゃないよりはマシだから。

 生まれながらの貴族って実は幻想だ。

 何か瑕疵があったらあっさり放り出されて平民になったりして。

 舞踏会で婚約破棄とか。

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