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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 巫女

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248.現場指揮官

「謁見をご希望なさいますか?」

「是非!」

 ライラ様、じゃなくてライラが食いついてきた。


 やっぱりね。

 貴族はコネだ。

 誰かを知っているとか、親しくしているという事はそれだけで「力」になる。

 貴族なら例え他国であろうが王族級の貴顕と知己を得る機会を逃すはずがない。


 増して侍女見習いの皆さんは単なる貴族令嬢じゃなくて、それぞれ野望を持って動いているからね。

 私としても機会があれば助力するのにやぶさかではない。

 それだけ丸投げ出来る機会が増えるかもしれないし。

 それに侍女見習いの人たちの力が増すことはダイレクトに私の。

 ならば、この際まとめて正式に会わせてしまおうか。


 早速、貴顕のお二人に予定(スケジュール)を尋ねたら空いているということだったので、1時間後の謁見を決めた。

 侍女見習いの皆さんが興奮した状態で去る。

 王族に会うのに仕事着で、というのはあり得ないらしい。

 失礼がないよう、お風呂に入って着替えて念入りにお化粧するのだそうだ。

 私とはすっぴん(違)で平気で会うのに(泣)。


「マリアンヌ様は(わたくし)共の主人でございますれば」

 主人って何よ。

 別に雇用関係でもないんだけどなあ。

 まあいい。


 1時間後、私は応接室にめかし込んだ侍女見習いの皆さんを迎えた。

 ロメルテシア様とメロディも着飾っているみたい。

 特にメロディは殿方なら全員が惚れそうな豪華絢爛たるドレス姿で、アンタ何をしたいの?

 まあいいけど。


 私は皆さんを紹介した後、仕事があると言って速やかに撤退した。

 後は任せた。

 執務室に引きこもって書類仕事をしていたら専任侍女(サンディ)が来た。

 ちなみに専任メイド(グレース)は特に差し迫った任務がない限り、私のそばにいる。

 専任メイドとはそういうものなのだそうだ。


「何か?」

「メロディアナ様、ロメルテシア様と侍女見習いの皆様の謁見が終了致しました」

 そうなの。

 別にわざわざ教えてくれなくてもいいのに。

「それがですね。

 意気投合したとかで、早速揃って学院にお出かけになりました」

 もう?

 いつかはやるとは思っていたけど。


 だって、あの人たちってどうみても同類だ。

 軍隊で言ったら前線指揮官。

 参謀でもあるんだけど、むしろ戦場でこそ輝くタイプだものね。


「どうなさいますか」

「ほっとけば?

 皆さんが独自に動く分は私には関係ないし」

 投げた。


 そもそもあの人たち、私をダシにして好き勝手に動きそうで。

 何やってるのか私も知らないくらいだものね。

 ていうか貴族家当主ってそういうものなのではないだろうか。


 私の前世の人の世界では、役所や政府、あるいは大商人のトップって自分では動かなかったような。

 私も詳しくは知らないんだけど、例えばこっちの世界での貴族領に該当する「市」とか「県」とかいう単位の行政区画があって、貴族の代わりに平民が選挙という制度で選ばれて統治者に就任する。

 こちらで言うとギルドの議長とかそういうものみたい。


 選ばれた人はこっちの世界での貴族家当主のようなお仕事をするんだけど、その仕事内容は端的に言って「何かを決める」ことだ。

 決める過程で色々あるんだけどそれは置いといて、問題はその選ばれた人が何をするかだ。

 やっぱり自分では仕事しないのよね。

 ていうか仕事はするんだけど、それは露骨に「選択と決断」だ。


 要するに何をするかを決める。

 そしてそれを配下に命令する。

 命令と承認は書類にサインすることで行う。

 私の前世の人の国はちょっと変わっていて、サインの代わりに判子を押していたみたいだけど。


 話が逸れたけど、つまり統治者は自分では現場仕事はしないのよ。

 でも決断しなきゃならないから無知ではいられない。

 だから現場を視察したり部下に報告させたりする。


 その部下は上司である支配者に説明しなきゃならないから、必要に応じて現場に出向いて調査したりチェックしたりする。

 どうも私の見るところ、メロディやロメルテシア様は言うに及ばず侍女見習いの皆さんもそういう立場を目指しているのではないかと。

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― 新着の感想 ―
マリアンヌ様はそういう瞬間判断力が高いから皆に尊敬されてるではないでしょうか?
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