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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 巫女

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246.新参者

 どうにもならないので忘れることにする。

「過去の巫女の話はもういいわ。

 これからどうするの?」

 強引に話を変えてみる。


「そうね。

 当面の方針を決めておく必要がある」

「賛成でございます」

 幸い二人とも乗ってくれた。

 ある意味チョロい?


「とはいえ、ミステアの方針は変わりません。

 (わたくし)はマリアンヌ様にお仕えするのみでございます」

 ロメルテシア様は揺るがない。

 まあ、宗教というか信仰だからね。

 合理的な判断とか好き嫌いとかじゃないんだろう。

 どこかで読んだけど、信じるということは明白な証拠なしに信頼するということだそうだ。

 別に奇跡があったから帰依するんじゃなくて、不合理だろうが何だろうが疑わない。

 心の問題だから。


「そうだね。

 私はシルデリア王女としての立場もあって無条件は無理だが、それでもできる限りはマリアンヌを支えていくつもりだ」

 メロディも変になってしまった。

 いつも思うんだけど、なんでみんな私にそんなに入れ込むの?

 私だったら(マリアンヌ)みたいな得体の知れない似非公爵なんかには近寄らないんだけど。


「それは」

「まあいいじゃないか」

 胡散臭いなあ。

 この二人、どうみても私なんかより遙かに頭が良くて何考えているのか判らないのよね。

 しかもメロディは母国では王家の者だ。

 ロメルテシア様も似たような立場だろう。

 そして二人とも、平民や貴族じゃなくて王家の者(支配者)としての意識を強く持っている。


 そういう人たちを見てきて判ってきたんだけど、個人より前に国が来るのよね。

 かといって別に国に殉ずるというわけでもないんだけど。

 私の祖母上や母上は典型的な王家の者で、最終的には国のために動く。

 もっとも自分を殺すわけじゃなくて、出来る範囲では自分の欲望に忠実だったりして。

 それが王家の者の凄みなんだろうね。

 それから私たちはとりあえずの方針を決めた。


 メロディは学院の(マリアンヌ)主催の研究室に学生というよりは研究員待遇で参加する。

 これまで母国(シルデリア)で国に貢献してきた実績があるし、教授と議論して既にメダルを集めていたりして。

 本当なら教授はともかく講師として採用したいと言われているらしいんだけど、さすがに他国の王女を正式に雇用するわけにはいかない。

 なので研究員。


 ロメルテシア様も一応、研究生の身分を得て学院に来ることになった。

 学生じゃなくて無給の助手?

 (マリアンヌ)の秘書役をやってくれるらしい。

「光栄でございます」

 さようで。


 でもやって貰う事って特にないのよね。

 研究室自体が私のものというよりは侍女見習い(助教)の人たちの隠れ蓑みたいなものだし。

 私は何もやることがないし、やる気もない。

「マリアンヌ様は存在するだけで良いのです」

「そうだ。

 汚れ仕事は配下に任せておけ」


 メロディ、王女がそんなこと言って良いの?

 型破りにも程がある。

 ていうかメロディって王家の者にしても破格なのでは。

 思考が21世紀日本の女子高生なんだよなあ。

 それにしては、黙って坐っていたら誰よりも高貴なお姫様に見えるんだけど。


 まあいいや。

 ロメルテシア様やメロディは勝手にやるということで、私はテレジア公爵のお仕事に戻った。

 公爵家当主としてのお仕事は無限に湧いてくる。

 テレジア王国の公爵は閑職(かんしょく)とは言え、領地持ちの貴族家当主は忙しい。

 決裁というか書類仕事は人に任せられないし、王家から声がかかったら何を置いても駆けつけなければならない。


 これが伯爵以下の普通(笑)の貴族だったら直接王家から何か言われることは少ないんだけど、公侯爵は国王陛下の配下というよりはもう格下の同僚みたいなものだからね。

 何かというと呼びつけられては無茶ぶりされる。

 特に私は新参者なので容赦ない。

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