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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 巫女

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245.パンがなければ

「落ち着いてマリアンヌ。

 何とかなるから」

「人ごとみたいに。

 貴方(メロディ)も巫女なんだからね?」

 でもメロディなら何があってもなんとかしてしまいそうな気がする。

 よし。

 いざとなったら丸投げしよう。


 暗く笑う私を放置して、二人の会話は弾んでいた。

「これまでにはどういう危機があったの?」

「何代か前の巫女の時代、飢饉がございました。

 長期に渡って雨が降らず、また異常な低温のために小麦の収穫が壊滅的に減少して」

「それを巫女が?」

「はい。

 『パンがないのならおイモを食べればいいじゃない』と託されて」

 何それ?

 パクリ?


「イモか」

「当時、イモは毒があるということで食用に適さず、家畜の飼料として栽培されていましたが、巫女の指示通りに毒消しを行ってから調理してみると美味しい上に栄養がたっぷりで。

 しかも水不足でも低気温でも育ちが早くて収穫が容易でございます。

 家畜の飼料にしておくには惜しいということになり」

 飢饉を乗り越えたどころか毒消しの方法や調理法を含めて各国に輸出して、ミステア神聖教の名を大いに高めたそうだ。


「抵抗はなかったのですか?」

 だってそれまでは家畜の飼料だと思われていたのでは。

「巫女の示された調理法によってその美味しさや栄養分が明らかになると、そんな偏見は吹き飛んでしまいました。

 特に貧しい階層の者は、ようやく安心して暮らせるようになったと」


 うーん。

 確かにイモ料理ってバリエーションが豊富だよね。

 ポテトチップみたいに大量の油が必要なものもあるけど、ただ蒸すだけでも美味くなる。

 ていうかイモって普通に食卓に出てない?


「あれはミステア発祥だったのか」

 メロディも思い当たったみたいだった。

 今では世界中で普通に食べられているからね。

 私も昔、ポテトチップやイモサラダが普通に食卓に出てくるのを知って驚いたけど、あれも日本人転生者の置き土産だったと。


「その他には?」

「二代目の巫女は上下水道とトイレと公共浴場をもたらされました」

 当時、ミステアの都市部の衛生面は酷いもので十数年おきに疫病が流行ってスラムなどで大量の死者が出ていたそうだ。

 それを知った巫女は「インフラがなってない!」と怒って水道の建設を指示し、ついでにトイレの整備も命じたらしい。

 それで地球で言うと中世なのに水洗トイレが当たり前にあるのか!

 まあ、ある程度の余裕がある家だけだけど。


「そんなに簡単に導入できたの?」

「石を切り出して作る従来の工法では予算も期間も膨大になるところを巫女の指示で」

 コンクリートが作り出された。

 何それ知識チート?


「なるほど」

 メロディが頷いた。

「ローマンコンクリートという奴だね。

 石灰があれば作れる。

 鉄筋は必要ない」

「知ってるの?」

「前世で読んだラノベに出てきた。

 マリアンヌ知っているか?

 ローマ帝国では紀元前からコンクリートを使っていたんだ。

 コロセウムとか、21世紀になっても残っているくらい頑丈で長持ちする。

 それだけじゃないけど、ローマに上下水道や公共浴場があったのもローマンコンクリートが普及していたせいもある」


 知らなかった。

 私の前世の人って理系だったはずなのになあ。

 ラノベとかあんまり読まなかったのかも。


「メロディアナ様もまごうことなき巫女でございますね」

 なぜか満足そうにおっしゃるロメルテシア様。

 だからもう、メロディがミステアの巫女でいいのでは。


「いえ。

 真の巫女はマリアンヌ様でございます」

「そうだ。

 (メロディ)など補佐役しかすぎない」

 いつの間にか組まれていた。

 どうしよう。

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