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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第九章 巫女

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241.時間遡行現象

 何かもう嫌になって忘れる事にしたけど、それは許されなかった。

 ある日、王家から緊急で連絡が来て、急いで客間を準備するように命令された。

 ていうか家令(ヒース)が報告してきたんだけど。


「今度は何?」

「急遽、留学生がおこしになられたということでございます」

「ハイロンドやライロケルじゃなくて?」

「シルデリアでございます」

 メロディかよ!


 やっぱりそうだった。

 急いでお風呂に入ってからテレジア公爵の正装を纏って応接室で待っていると先触れが来た。

「サラナ連合王国シルデリア第一王女、メロディアナ・ローレル・シルデリア殿下のおなりでございます」

「ようこそ」

 略式だけどシルデリア王家の正装を纏ったメロディが真面目腐った表情で(カーテシー)をとる。

「メロディアナである。

 世話になる」

「歓迎させて頂きます」

 あれやこれや儀式めいたことが終わって、晩餐の後やっと二人きりになれた。


「で?」

「ご免。

 来ちゃった」

 舌を出すサラナ連合王国シルデリア王家第一王女メロディアナ・ローレル・シルデリア殿下。

「ご免じゃないでしょう!」

「だってハイロンドとライロケルからも来るという話じゃない。

 それに聞いたわよ?

 ミステアが」


 どっから聞いたんだよ。

 シルデリアの諜報員(スパイ)がいるな。

 油断も隙もないなあ。


「メロディにはあんまり関係ない気がするけど」

「そんなことはない。

 巫女ってアレでしょ?」


 知っていたか。

 メロディは私なんかよりよっぽど頭が切れるものね。

 多分、前に来たときには既に可能性に気がついていたんだろうな。

 私はため息をついてミステアの巫女について簡単に教えてあげた。

 さすがのメロディも細かい所までは知らなかったみたい。


「なるほど」

「ミステアからみたらメロディも巫女に分類されると思う。

 桃髪(ピンクヘアー)は必要条件じゃないみたいだし」

「前世の記憶があればいいのね?」

「というよりはキーワードを知っているかどうか、かな」


 BLだのYouTubeだのスマホだのって、考えてみたらもの凄く限定された知識だと思う。

 日本人かどうかは別として、そんなの21世紀にしかなさそうだし。

 あれ?


「……てことは、必ずしも時間経過が並行しているわけじゃないのね」

 メロディも同じ事に気がついたらしい。

「そうね」

「それどころか、ミステアの初代巫女って千年くらい前に生まれたんでしょう。

 ひょっとしたら地球とこっちとでは時間の流れ自体がいい加減だったりして」

「確かに」


 この件については前に話したことがある。

 私とメロディって年齢で言えば数年違うんだけど、前世の人が覚えている知識からしてどうみても同世代なのよね。

 だから、地球とこっちは時間的には大体並行しているのかと思っていたけど。


 ミステアの巫女は21世紀日本の人間に限定される。

 女子高生かどうかはともかく。

 それが千年に渡ってポツポツと現れ続けているってことは、時間経過がグチャグチャになっていると考えられる。


「そういえば」

 メロディが突然、脇道に逸れた。

「前に聞いた貴方(マリアンヌ)の設定。

 乙女ゲーム、というよりは小説なのよね」

「うん」

「でも初期設定以外は全然的外れで、にも関わらず初期設定は驚くほど正確だった」

「そうね」


「考えてみたらおかしいのよ。

 その設定って、貴方(マリアンヌ)が生まれる前から決まっているのよね。

 テレジア王立貴族学院自体や攻略対象(イケメン)たちの名前や身分を含めて」

「そうか」

「どうみても、全部が揃ったある時点での情報を切り取ったようにしか見えないでしょ。

 なのにそれ、小説になっていて前世の貴方(マリアンヌ)が読んだって」


 確かに。

 時間が並行して流れていたら、絶対に無理だ。

 明らかに時間遡行現象が起きている。

 でも、それを認めてしまったら別の矛盾が生ずる。

 何で攻略対象(イケメン)たちは学院に入る前に全滅しているの?

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― 新着の感想 ―
[一言] 最初の巫女の役目がこの世界に転生者を招くことだったのかもしれないな
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