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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第一章 始まりの部屋

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23.ひとつでいいから

「その代わり、何かひとつ自慢出来る事を用意しておいた方がいいわよ」

 私の決意に水を差すようなことを言うエリザベス。


「というと?」

「本当に何一つ取り柄がないとドツボに嵌まるから。

 これだけは負けない、ていうか少なくとも羨ましいとかさすがだ、と言われるようなものを最低ひとつは持ってないと」

 私は財力、と平気で言うエリザベス。

 いいなあ。


「何でもいいの?」

「何でもではないけれど、大抵の事なら。例えば何ひとつ取り柄がなかったとしても身分が高いとか、身分は低いけどイケメンのお兄さんや従兄弟がいるとか」

 そんなのでもいいのか!

 必ずしも自分の技能や努力によるものでなければならないわけではないと。

「あ、言っておくけどお勉強が出来るとかは無しね。

 そんなのは貴族令嬢の(たしな)みじゃないから」

「ああ、そういう」


 テレジア王立貴族学院には色々な機能があるらしい。

 まずは貴族の子弟に貴族の常識や最低限の能力や技能、知識を叩き込むこと。

 もっともこれは入学試験に受かったり「始まりの部屋」から脱出出来た時点で一応はクリアしたと見なされる。

 本当に最低限だけど。


 学院の本科で学ぶ理由は貴族個人の知識や能力を伸ばすためだ。

 それによって婚活や就職を有利にする。

 でも学院で学んだからといって人生上手くいくとか限らない。

 確率が上がるだけだ。

 というのは貴族社会ではコネや血縁関係が重視されるから。


 貴族の家系に生まれても嫡子じゃなかったら将来は厳しい。

 嫡子だったとしたってぼやっとしていて上手くいくとは限らない。

 逆に言えばコネや血縁が無くても能力や技能を認められたり、あるいは何らかのことで見初められたりして引き抜かれることもある。

 学院には色々な講座があって生徒が自由に選べるのはそういうわけだ。

 少しでも可能性を上げるために貴族個人が頑張る。


「だから学問や技能が優れていると言ってもそれだけでは優越がついたことにはならないのよ。だって騎士志望の人の剣技が優れているって、それはある意味当たり前で」

「確かに」

「農業に詳しいとか地方行政が専門で、というのもただそっち方面に進みます、と言っているだけだから。

 増して淑女はね」

 あれ?


「だったらエリザベスの商業知識も同じなのでは」

「相手が商人志望だったら有効でしょ?」

 なるほど。

 向こうが騎士だったり官僚だったりしたらあんまり意味がないわけか。


「あと学問が駄目というのは机上の空論扱いされるから」

「ああ、実際に成果を上げたわけでは無いから」

「そうそう。学院内にいる限りはどんなに凄くてもそれって練習(エクササイズ)と見なされるわけ。

 私みたいに実際に商売してれば別だけどね」

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