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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第一章 始まりの部屋

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21.爵位がない?

 なるほどね。

 貴族名鑑に載っている爵位なしの人なんかもそれなんだろうな。


 そう、貴族はみんな爵位持ちだとか、貴族名鑑に載っている人はみんな爵位がある、というわけではない。

 例えば私なんかサエラ男爵家の令嬢として載っているけど、もちろん爵位はないし、厳密に言えば貴族でもないそうだ。

 「貴族家の者」という扱いで、言わば仮免許?

 これは別に私や男爵家の身分が低いからというわけではなくて、高位貴族家でも同じらしい。

 本物の貴族と言えるのはその家の当主と正室、それから跡継ぎだけだ。


「次男以下や女性は平民候補ね。どこかの貴族家に嫁入りするとか婿に入れば貴族になれるけど。後は何かの理由で授爵されれば」

「されなかったら?」

「だから実家から出たら平民扱いよ。もっとも貴族名鑑には載るけど」


 それもまちまちだそうだ。

 例えば高位貴族家、つまり侯爵家や伯爵家の子弟は実家を出たとしても即平民というわけではない。

 実家と縁戚だから貴族と繋がりがあって、疑似貴族的な扱いを受ける。

 具体的には「卿」や「嬢」をつけて呼ばれたり。

 これは本来は紳士階級(ジェントル)の男女に対する敬称だけど、便利なので怪しいと思ったらとりあえず卿や嬢付けで呼んでおけば失礼には当たらないみたい。

 なので多用されているとか。


 でも子爵家や男爵家、あるいはもっと下位だと家を出たら跡継ぎ以下は露骨に平民だ。

 そもそも世襲出来ない貴族家では跡継ぎだっていずれは平民だし。

 なので必死になって出世しようとする。

「そんなに?」

「それはそうよ。貴族と平民では人生が天と地だから」


 あー、それはそうよね。

 よく判る。

 例えば最初から平民だったらよほど上昇志向が強い人じゃないと貴族になろうなどとは思わない。

 ハンデが大きすぎる。

 チャンスがあるとしたらエリザベスのお父上のような、実力で爵位をもぎ取れるくらいの人だけだと思うけど、それだってお父上個人の力だけでは無理だ。

 ある程度のお金なりコネなりが最初からあって、子供時代に教育を充分受けられたからこそ跳躍出来たわけで。


 でも普通の平民って親が平民だったらそれだけでどうしようもないのよ。

 孤児はもっと酷いけど、五十歩百歩だ。

 教育にはお金がかかるから。

 そして平民ではとても望めないくらいの教育を受けないと、スタートラインにすら立てない。

 

 就職にしてもそうだ。

 商人に雇われるにしても、ただの下働きと金勘定や接客が出来る人とではお給金や地位が違う。

 どこかに仕える場合も一緒で、貴族家で働くにしても最低限読み書きくらい出来ないとメイドとしてすら雇って貰えない。

 そして下働きは一生そのままだ。


 私の前世の人の記憶では、その国の子供は最低でも10年くらい教育を受けてから社会に出たらしい。

 最低でだよ? つまりそれ以下だと仕事を得るのも難しい。

 なので、余裕がある人はそれから更に3年とか7年とか教育を受ける。

 そこまでやって、やっとどうにか雇って貰えたみたい。

 どんなに凄い社会なのよ。


 テレジア王国はいくら何でもそれほどじゃないけど、それでもただ文字が読めるとか書けるとかだけではろくな勤め先はない。

 やっぱりかなりの教育を受けないと自立出来るほどのお給金なんか貰えないのよね。

 結局、貴族だ平民だと言っても最終的にはお金があるかどうかなのよ。

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