表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第六章 領主

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

204/371

203.順調?

 私が始めたんじゃ無い!

 でも世間的にはそうなっているらしい。


 私もうっかりしていたけど、最初は確かに楽曲の原曲を提供したというだけだった。

 当時はサエラ男爵家の庶子という身分だったし、私個人はシストリア様じゃなくてライラ様たちの影に隠れて認識すらされてなかったはず。

 でも最初の歌劇(オペラ)がヒットした辺りから風向きが変わった。


 私が男爵家の庶子ではあるけど伯爵家の育預(はぐくみ)だったり高位貴族の令嬢たちと親しく交際しているどころか友達扱いされていることがバレた。

 しかも次々に企画される歌劇(オペラ)の企画に関わっている。

 そして突然の公爵位叙爵。


 貴族界に吹き荒れた衝撃(インパクト)が収まらないうちにテレジア公爵家が歌劇(オペラ)事業に乗り出すというか、原典を提供したりスポンサーになったりして。

 私が学院で芸術分野のメダルを頂いたことも知られて、いつの間にかテレジア公爵家が芸術の守護者みたいになっていた。

 忙しくて家令(ヒース)執事(コレル)にそういう事を丸投げしていたら、やらかされた。


「やはり知られたか」

「好都合です。

 テレジア公爵の真の姿が(おおやけ)になることを少しでも遅らせられれば」

 私の真の姿って何?

 まあいい。


「国内はいかがでしょうか」

 王太子殿下が言った。

 ずっと海外漫遊していたからね。

 私もそれは知りたい。


「思ったよりは混乱が少ないというか、治まっております」

 宰相閣下が応えた。

 そうか。

 国王陛下も地方巡業(違)していたっけ。

 もちろん国王陛下が自ら情報収集(スパイ活動)なんかするわけがない。

 陛下が動くとなるとその随員や護衛が大量につくわけで、その中に宰相閣下の諜報員が混じっていたんだろうな。

 陛下は隠れ蓑にされたと。


「そうなのか?

 もっとかかると思っていたが」

「ハイロンドとライロケルの手の者が動きました。

 交易関係を抑えられれば地方領主など為す術もないかと」

 母上と祖母上がここでも暗躍していた。

 よその国で何やってるのよ!


「それでいいのですか」

「仕方がなかろう。

 シェルフィル様に直々に言われてしまってはな。

 御前(おまえ)だってセレニアに睨まれたら」

 陛下のぼやきに王太子殿下が沈黙した。

 ヤバいよ。

 テレジアって大丈夫なの?

 現国王と次期国王が両方とも他国の皇妃や王太后に頭が上がらないって。


「……ならば仕方がありませんね」

「そうだ。

 むしろ助けになって頂いたと思えば」

 諦めムードだった。

 君主って大変なんだな。

 よかった私、たかが公爵で。


「では次だ。

 テレジア公爵、学院関係はどうなっておる」

 威厳を取り戻した陛下がおっしゃった。

 変わり身が早い。


「宰相閣下には報告済みですが、今のところ順調です」

 専任執事(コレル)に聞かされた事を伝える。

 テレジア王立貴族学院に新しく研究室を設立し、(マリアンヌ)が特任教授に就任することが内定していること。

 助教にはテレジア公爵家の侍女見習いを初めとするそれぞれの専門家(プロ)が就任すること。

 既にめぼしい者には声を掛けて学生を集めていること。


「来年の春には開室出来ると報告を受けております」

「さようか。

 よくやった」

 陛下にお褒め頂いた。

 これって実は凄いことなんだけど、残念ながらここは私的(プライベート)な場なので(おおやけ)にはならない。

 でも叱られるよりはいいよね。


歌劇(オペラ)事業も発展していると聞いたが」

「報告に拠れば。

 もっともテレジア家としては原典の提供と資金供出に留めております」

 実はよく知らない。

 シストリア家に丸投げして、後は好きにやってと言ってある。

 物語(ストーリー)は大量に提供したから当分は大丈夫だろう。


「こんなところでしょうか」

「そうだな。

 ミストア神聖国の出方が気になるが、こちらからは動きようがない。

 何かあったら報告を」

「は」


 実はミストアの人たちってまだ離宮(タウンハウス)にいてあれこれ動いているみたいなのよね。

 それどころかサエラ男爵領に人を派遣して調べたりしているらしい。

 その、数代前に降嫁したとかいうミストアの姫君? について調査しているそうだ。

 私には別に関係なさそうなのでほっといてるんだけど。

 でも確かにこっちからは何かしようがないのよね。


「このくらいか」

「ですね」

「はい」

 やっと終わったか、と油断した途端、陛下がおっしゃった。

「そういえばハイロンドとライロケルから打診があったぞ」

「打診、ですか」

「うむ。

 宰相」

「両国から我が国に留学生を送りたいとのことでございます。

 テレジア王立貴族学院に在籍して色々学びたいとのことで」


「そういえばセレニア様も留学生という名目で滞在されていたんでしたよね」

 王太子殿下が懐かしそうに言った。

 それ、妃殿下に聞かれないようにした方がいいと思うよ。

 特に「様」とかつけちゃ駄目でしょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >「そういえばセレニア様も留学生という名目で滞在されていたんでしたよね」 > 王太子殿下が懐かしそうに言った。 > それ、妃殿下に聞かれないようにした方がいいと思うよ。 > 特に「様」…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ