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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第五章 公爵

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176.相談

 母上(セレニア様)は喰いまくっているけど祖母上(シェルフィル様)は上品に摘まむくらいで、王妃様と王太子妃様は置物と化している。

 完全に圧倒されているね。

 大丈夫なの?

 まあいいけど。


 私もお腹が空いてきたのでケーキを頬張った。

 美味しい。

 王宮で王族が食べるんだから当たり前だけど。

 母上の動作を真似しながら出来るだけ優雅に。

 難しい(泣)。


「……で、何が知りたい?」

 母上(セレニア様)が唐突に言った。

 食べている最中なのにおかまいなしか。

 人の事は言えないけど。


「ハイロンドの王女になったところからお願いします」

「そうだな。

 私は最初、ハイロンド宮廷の唯一の王女として色々やっていたんだが、王位継承権がないこともあって結構面倒な立場だったんだ。

 母上が懐妊して世継ぎの王子が生まれたことできな臭くなってきて。

 そのうちにどっかに嫁がされる気配が濃厚になった。

 だから花嫁修業という名目で海外に留学したんだよ」

「留学ですか」

 私の前世の人が読んでいた乙女ゲームでは定番だけど、女性王族が他国に嫁ぐんじゃ無くて留学って有り得るんだろうか。


「どこに?」

「テレジア王立貴族学院だ」

 何と!

 母上、私の先輩だったのか!

 何でまた。


「知らないのか?

 学院は父上(デレク様)が作ったようなものだぞ?

 テレジア王家が主催していることになっているが、原資は旧テレジア王家の所領を新王家に譲る時の契約によってまかなわれたはずだ。

 財産の大半を注ぎ込んだからこそ、学院がまともに成立した」


 そうだったのか。

 ならば学院って祖父上の形見みたいなものじゃないの。 

 母上が通いたいと思ったのも理解出来る。

 でもよその国の王女が入学するって大丈夫だったの?


「もちろん身分を偽装した。

 ハイロンド国王陛下(義父)に頼んで適当な王家直轄地の領主代理にして貰って。

 まだ成人してないから爵位を継いでいないという名目で子爵令嬢に化けた」

 ああ、やっぱり母上は。

「それで?」

「まぁメダルを貰うのは簡単だった。

 で、王家の(コネ)でメイドの職を斡旋して貰って」


 ちょっと待てーっ!

 何なのよそれ。

 ていうか王女がメイド?

 いや子爵令嬢も無理なのでは。


「なぜメイドに?」

「母上もやったからな。

 一度は使用人(メイド)をやってみたかった」

 そんな理由でかよ。

 でもそんなこと出来るの?


「侍女になるには知識や経験が不足していたからな。

 それに正規の貴族しかなれないし、信用調査が入る。

 学院出の子爵令嬢なら侍女見習いが妥当だったんだが、それでは目立つからメイド枠で働こうと。

 母上の(コネ)で王妃様に相談したら王宮女官長を紹介されて。

 離宮時代の顔馴染みだったし」

 母上(セレニア様)は幼少期をテレジア王宮の離宮で過ごしたんだったっけ。

 それは知り合いも多かろう。


「私を知っている高位貴族(幼馴染み)は結構たくさんいて、みんな出世して王宮に出入りしていたんだ。

 私の成長した姿は知らないはずだから大丈夫とは思ったが、万一のことがある。

 だから王都は拙いということで、地方貴族家で働くことにした。

 王妃様の昔の側付きが地方の男爵家に嫁いでいるというので、推薦状を貰ってその男爵家にメイドとして雇って貰った」

「……それがサエラ男爵家だったと?」

「そうだ。

 当時の私は今の貴方(マリアンヌ)と同じくらいの歳だった。

 メイドになっても不自然じゃない」


 いや不自然極まりないよ!

 だって母上、聞いた限りではずっと箱入り娘だったはずだ。

 それも王女。

 メイドの仕事なんか出来るはずが無いでしょう。

「いや?

 忘れてるようだが、私は最初テレジア公爵に見初められたメイドの娘という設定だったんだぞ。

 物心ついた頃から見よう見まねで離宮の下働きをしていた」


 そうでした。

 この人、私の母上だった。

 きっと平民臭丸出しの餓鬼だったんだろうね。

 まあ確かに表向きメイドの娘を令嬢扱いするわけにはいかない。

 周り中が祖母上の家臣や使用人だから無碍にはされないにしても、対外的には使用人の幼い娘として扱われただろうし。


「それでメイドのお仕事を」

「最初は失敗ばかりしていたけどな。

 でも奥様が面白がって鍛えて下さった。

 離宮に居た頃からお優しかったから私も懐いて、つい」


 懐かしそうな表情を浮かべる母上(セレニア様)

 こうして見るとライロケルの皇妃に見えてくるから不思議だ。

 威厳というか高貴さが滲み出るというか。

 不思議な人だよね。

 あれ?


母上(セレニア様)はサエラ男爵家でメイドをされていたんですよね?」

「そうだ。

 仕事も覚えて順調に出世して奥様付きのメイドになれた。

 あれは嬉しかった」

 その奥様の心境やいかに。

 だってメイドの皮を被ったハイロンドの王女だよ?

 いかに自国の王妃様のお声掛かりとはいえ、地方男爵の奥方には荷が重いのでは。


「いや?

 奥様はもの凄くデキた方だった。

 それに当時、もう息子さんが成人していたからな。

 サエラ男爵(旦那様)とは夫婦というよりは親しい友人といった関係で。

 私もつい色々相談してしまって」

「相談ですか」


「ああ。

 当時の私の立場は不安定でな。

 正規のハイロンド王女ではあるが王位継承権はない。

 つまり使い勝手が良すぎる駒だ。

 いつどこかに嫁げとの命令が来るかもしれない。

 母上も反対なさらないだろうし」

「当時の(わたくし)はハイロンドの王妃ですから。

 ハイロンドのためになるのならば」

 厳しい(泣)。

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