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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第五章 公爵

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164.外交

 食事の後、例によってお風呂で身体を洗われて、湯着(ガウン)姿で髪を乾かされながら家令(ヒース)と話す。

「明日は朝食後から謁見でございます。

 諸外国の大使もしくは特使を予定しております」

「まずは外国ってこと?」

「はい。

 妙な噂が広まらないうちに諸国へ渡りをつけておくべきとの王家のご判断で」


 なるほどね。

 国内の貴族にはこれからいくらでも会えるわけだし、別に王宮にいる間に謁見する必要ってないのか。

 でも外国の人とは王宮にいる間に会っといた方がいい。

 その方が何となく公的な印象(イメージ)になると。

 さすが皆さん、よく考えるなあ。

 ていうか人ごとじゃないんだけど。


「判りました」

「午前中に終了予定でございます。

 昼餐(ランチ)後は侯爵家以下の方々との謁見で」

「名代よね?」

「はい。

 王宮でご本人と個人的にお目にかかるのは何かと」

 面倒くさい。

 でも仕方がない。

 それにここを乗り切ればしばらくは楽が出来そうだし。

「判りました」

「では」


 やっと解放された私はネグリジェに着替えさせられてベッドに飛び込むのであった。

 すぐに眠れた。

 自分でも判るくらいクタクタだ。

 夢も見ずに寝ていたらしくて、次に目を開けたら夜が明けていた。


「おはようございます」

 ブレない専任メイド(グレース)が天蓋のカーテンを開けてくれる。

 この辺りの状況って、私の前世の人が読んでいた小説に出てきたような。

 ヒロインじゃなくて悪役令嬢だけど。

 私、ひょっとしたらもうヒロインから役割変更(ジョブチェンジ)してる?

 でも、ヒロインがいきなり公爵になってしまうような馬鹿げたお話って私の前世の人の記憶に無いのよね。

 荒唐無稽過ぎる。


 もやもやしながらグレースに手を取られて起きるとそのままお風呂に直行。

 ご不浄(トイレ)の後、髪を乾かしながら軽くお化粧してテラスに行くと、ちょっと早いけど朝餐? の用意が出来ていた。

 でもやっぱり凄い量なんだけど。

 どうみてもアフタヌーン・ティーだ。

「殿下のお好みではないかと」


 うん、それはそうなのよね。

 猛烈にお腹が減っている。

 やっぱり昨日のあれでエネルギーを消耗し尽くしたみたい。

 考えてみたら、一日で国王陛下と公爵家名代との謁見を全部こなしたんだものね。

 今日はまだマシだと思いたい。


 育ちが出てご飯をがっつく私を生暖かい目で見守る専任侍女(サンディ)専任メイド(グレース)

 いいのだ。

 こんなところで見栄を張っても仕方がない。

 食事が終わってデザートのコーヒーを飲んでいると家令(ヒース)が来た。

 相変わらず朝からピシッと決めているなあ。


「おはようございます」

「おはよう。

 順調?」

「特に問題はございません」

 それは良かった。

「それなら始めましょうか」


 というわけで、また謁見用ドレスに着替えさせられてお化粧され、応接間で玉座? に座って待つ。

 既に慣れてしまったような。

 つくづく思うんだけど、乙女ゲームのヒロインがやる事じゃないよね。

 名前を呼ばれた方がドアを開けて入ってくる。

 一礼。

 家令見習い(アーサー)が紹介する。

「ゼリナ王国駐在大使閣下」

「タナー・サイトールドでございます」

「マリアンヌ・テレジアである。

 よしなに」


 外国の大使は身分に関わりなく伯爵級として扱われると聞いている。

 もちろん、ご本人が母国でそれ以上の身分だったらそっちが優先されるけど。

 だからテレジア公爵である私が名前まで明かす必要はないんだけど、そこは外国人だからね。

 隠す必要もない。

 ていうか隠す必要がある人なら最初からこんな場には出てこない。

 王家は国の顔なので、表舞台に立つのなら名前と顔を売ってナンボだ。

 とシシリー様に教わった。

 私の前世の人の世界でいう芸能人(アイドル)みたいなものか。


 大使だか特使だかの人とはやっぱり適当な話を交わす。

 最後に是非、我が国においでになって頂きたく、と誘われるので「機会があれば」と応じておく。

 これは社交辞令で、相手もまさか本当に来るとは思ってないんだけど、逆に来てくれたらそれはそれでそれなりに歓迎してくれるそうだ。

 王家や公爵家の者が他国を訪問するって外交だから。


 私の前世の人が読んでいた乙女ゲーム小説でも王子や公爵家御曹司とかがよその国の学園に留学していたけど、あれって本当言えば国としての外交なのよね。

 もしくは人質的なお役目がある。

 間違っても恋愛するとか嫁取りとかのためじゃない。

 まあ、王位継承権が低い王子が愛想を振りまいて親善大使的な貢献をすることはあるかもしれないけど、それで嫁をゲットするとかプロポーズとかしてしまったら即座に廃嫡だ。


 もっともそれ以前に留学なんか出来ないけど。

 だってこの世界に「学園」なんか存在しないから。

 テレジア王立貴族学院が一番それっぽいけど、入院しても男女交際どころか接触すら禁止だものね。

 まあいいや。


 テレジアの王都には諸外国の大使館があるので、都合がつく大使の方や特使と称するよく判らない立場の人たちはみんなきてくれたみたいだった。

 別に顔つなぎというわけではなくて、儀礼のようなものらしい。

 公爵って国際的にも影響があるくらい、国にとって重要な立場なんだと。

 だから私も相手も本当に社交辞令しか言わない。

 間違っても変な約束とかは駄目だ。

 なので数は多いけどサクサク終わって、お昼までまだ間があるうちに予定が終了した。

 午前中の分だけだけど。

 慣れたせいか昨日よりは楽だったけど、やっぱり疲れた(泣)。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今さらですが孤児院時代のマリアンヌの食事量ってどうだったんですかね…? 普通の孤児院だったら絶対、他の子供の何倍もの量なんて食べさせてもらえなかったハズ。 幼少期から少ない量+粗食がデフォだ…
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