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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第五章 公爵

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157.表敬訪問

 私はその後、部屋に戻ってソファーで届けられた書類(リスト)を読んだ。

 侍女(サンディ)に頼んで王国の地図と貴族名鑑などを持ってきて貰う。

 リストの最初の方に載っているのはテレジア王国の高位貴族の方々だった。

 と言っても当主はいない。

 その次席とか御曹司とか、現役というよりは将来の当主?


 確かにメチャクチャ忙しい公爵だの侯爵だのの当人が会いに来るってないよね。

 これからいくらでも機会はあるんだし。

 なので、とりあえず貴族家当主の名代が新興の公爵家に表敬訪問するみたい。

 大抵は次期当主とか御曹司とかだった。

 将来的に私と関わりそうな若い世代の方々だ。

 若いと言っても三十代とかだけど。

 でも、今日の分だけでも2桁いるのよ。

 とても終わらないのでは。


「お会いすること自体が目的ですので。

 挨拶して少し会話すれば良いそうでございます」

 侍女(サンディ)が教えてくれた。

 ちなみに侍女頭の人は王宮に来ていない。

 公爵家自体を取り仕切るお役目だから。

 なのでこういう役割は私の専任侍女であるサンディが担当するそうだ。

 公爵の侍女か。

 出世したねサンディ。


「ありがとうございます」

 平坦に言うサンディ。

 この人も切り替えている臭い。

 グレースといいサンディといい、何て出来る人たちなんだろう。

 ミルガスト伯爵家、大丈夫か?

「覚悟を決めただけでございます。

 我々使用人一同、殿下に尽くす所存で」

 いちいちドーンと来る台詞を吐くなあ。

 まあいいけど。


「公侯爵の名代だけなのね」

 他にも伯爵とかいるのでは。

「収拾が付かなくなりますので。

 そういった方々は、いずれ機会があればということでございます」

 そうか。

 私ってもう公爵なんだ。

 直接面会出来る身分の方は限られることになる。

 伯爵以下だと誰かに紹介して貰わなければ私と口もきけない。

 助かった。


「それだけで今日と明日は潰れそうね」

「はい。

 その後は各国の大使やその名代ということになります。

 これは断っても良いとのことですが」

「いえ、会います。

 必要もないのに悪感情もたれたくないし」


 私は公爵位を得たと言ってもテレジア国内では孤立無援だ。

 関係がありそうな貴族家と言えばかろうじてミルガスト伯爵家とサエラ男爵家だけ。

 まあ、舞踏会で踊ってくれた方々も関係しているとは言えそうだけど。

 でもあれ、王党派としての行動だろうしね。

 外国の大使にしてみれば、いきなり公爵に叙任された若い女、しかも叙任早々舞踏会で騒ぎを起こした危なそうな奴は確認(チェック)しておきたいところなのは判る。


「それで明後日は潰れると」

「一応、ここまでが公的な謁見になります。

 後で問題が起こらないよう、王宮で行いますが」

「ああ、それはそうね」


 私は元々、テレジア公爵家のタウンハウスというか離宮に住んでいるんだよ。

 ここからすぐだ。

 本当ならそっちで会ってもいいはずなんだけど、そうしたら私的な訪問になってしまう。

 訪問した貴族家とテレジア公爵家の間に何か密約とか結ばれたのではないかと邪推されたりして。

 それは皆さん、今のところは望んでないと。

 王家にしても困るだろうしね。

 私も困る(泣)。


「じゃあ、それが終わったら引き上げて良いと」

「そうでございますが、今度はテレジア公爵家内部の謁見が」

 あー。

 なるほど。

 テレジア公爵家って立派な領地を持っているんだった。

 つまり領地政府というか役所があって、それぞれ役人とかがいるわけか。

 騎士団があるくらいだから、結構大規模だ。


 王国の地図を見てみたら、予想以上に広大な領地だった。

 版図内に山や川があるし、それでいて平地も多い。

 しかも王都からすぐそこというか隣接地。

 更に主要街道が何本も通っていて交易の中継地としても優秀。

 最高の土地なのでは。


「ずっと王家の預かりだったんだっけ」

「はい。

 元々はテレジア王家直轄領でしたが、テレジア公爵家が創立された際に譲られたと」

 うん、その話は聞いている。

 今のテレジア王家が譲ったというよりは、元々の王家の直轄地をそこだけ残したとみるべきだろうね。

 それは王家の領地なんだから最高に決まっている。


「今までは誰が差配していたの?」

「詳細は不明ですが、王家が任命した子爵が代官を務めているはずです。

 引き続き、その方にお任せするかどうかは殿下のご自由にして良いと」

 ああ、うん。

 私としては別に領地経営とか統治とかに興味ないしね。

 今まで上手くやっていたんだから、そのままでいいのでは。


「その辺りを直接面会してお確かめになって頂きたく」

「無茶振りね」

 こないだまで男爵家の庶子だった小娘に何を期待しているのか。

 というよりは丸投げされたんだろうな。

 上手くやればそれで良し。

 駄目ならいくらでも介入してくるつもりだろう。

 王家が(泣)。


「判った。

 お茶をお願い」

「お心のままに」

 グレースとサンディを下げて、私は書類とのにらめっこに戻った。

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