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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第五章 公爵

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153.駄目人間

 でもこれが公爵とか、それどころか末端貴族の男爵ですら爵位持ちだったらそれを剥奪するのは大変だ。

 それをするに足るきちんとした理由を内外に示さないといけないし、公的な儀式を行う必要がある。

 爵位は王国の制度や法体系の根本を為すものだから。

 通称や公称と違って、本物の身分の証だ。


 ということは。

 正規の手順で叙爵された公爵である私は、ひょっとしたら王子殿下や王女殿下より身分が高かったりする?

 公爵領の領主だし。

 もちろん公爵は他にもいるし、序列から言って私は公爵の中では最下位だけど、それでも筆頭侯爵よりは上だ。


 いやー。

 頭では知っていたけど、改めて考えると途方にくれる。

 今になってじわじわと効いてきた。

 家令(ヒース)騎士団長(ブレン)のあの態度。

 私が着替える間、直立不動で待機していた。

 私が「休め」と言わなかったから。

 何てこった。

 今更ながら偉いことになってしまった。


 専任メイド(グレース)に誘導されるままに椅子に座る。

 客間なので食堂といってもこぢんまりとしたお部屋だった。

 天井には小さいけどシャンデリアがあって煌々と光を放っている。

 窓はないけど一方の壁はベランダに通じているみたい。

 分厚いカーテンが閉まっていて見えないけど。

 壁には絵やタペストリーがかかっている。

 テーブルは重厚なもので、椅子も豪華だ。

 高位貴族向けか。

 いや、ひょっとしたら王族用かも。


「毒味は済んでおります」

 グレースが言って、ワゴンからお皿を配膳する。

 ふと見たら壁にメイドさんが数人並んでいたりして。

 落ち着かないけどしょうがない。

「グレースがやらなくても」

専任メイド()の特権でございます。

 もちろん、嫌だとおっしゃるのでしたら」

「グレースでいい」


 マウント取りに来る所は元のグレースだ。

 ちょっと安心したりして。

 ため息をついたらグレースが一瞬、ニヤッと笑った。

 他のメイドには見えない角度だ。

 やっぱこの人、くせ者だよね。


 食事は正式な晩餐(ディナー)じゃなかったけど、それでも略式のフルコースだった。

 一皿ずつ出てくる。

 空腹だったので夢中で食べて、満腹したところで気がついた。

「これ、夕食?」

「いえ、夜食でございます」

 やっぱり。

「もう夜中なの?」

「明け方に近いかと」

 うわっ。

 思ったより疲れていたらしい。

 日が変わるまでグースカ寝てしまった。

 道理でお花畑が切羽詰まっていたわけだ。

 でもあれ?


「みんな待っていてくれたの?」

 だってグレースはともかく壁際に並んでいるメイドさんたちは。

「お気になさらず。

 いつ何時でも殿下の要望に応えるのが使用人(メイド)の矜持でございます」

 いやいやいや。

 何を無駄なことを。

 ていうか、それが公爵家ということか。


「みんな大丈夫?

 寝てないのでは」

 こっそり聞いたら囁き返された。

「あれらは夜番でございます。

 交代(ローテーション)いたしますのでご心配なく」

 何人雇ってるんだよ!

 もうしょうがない。


 デザートの希望を聞かれたのでコーヒーと言ったらケーキ付きで出てきた。

 真夜中でもこれか。

 駄目人間にされそう。

 食い終わって、ふと気づいてカーテンを開けてみたら外は真っ暗だった。

 それはそうか。

 満腹したせいか、また眠くなってきた。

「朝まで寝る」

「お心のままに」

 寝室に案内され、やっぱりネグリジェに着替えさせられてベッドに入る。

「お休みなさいませ」


 天蓋のカーテンが閉められたけど、改めて見たらベッドが広い。

 普通、ベッドってどんなに高位貴族でも私の前世の人の世界で言うシングルベッドくらいの広さしかないはずなんだけど。

 特にお城って床面積があまり広くないから、ベッドなんか出来るだけ小さくするはずなのに。

 あ。

 なるほど。

 これって夫婦用(ダブルベッド)だ。

 ていうか、一緒に寝るのが夫婦とは限らないけど。

 そんなのを思いついてしまう自分が何か嫌だ。

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