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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第五章 公爵

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147.演説

「さて行くとしようか」

 国王陛下が私の手を取る。

 これ、玉体に触れたとかで無礼打ちにされたりしないよね?

 あ、私は公爵だからいいのか。

 女公爵って柄じゃないのになあ。


 私と国王陛下が並ぶと、その両側に王妃殿下と王太子殿下がついた。

 何か色々とヤバい。

 ええい、考えるな。

 そのまま進んでカーテン? をくぐると声が響いた。

「テレジア王国国王陛下。

 並びに王妃殿下および王太子殿下のおなりです!」


 私は無視か。

 考える暇も無く、明るい会場に進み出る。

 いきなり広がった舞踏会場は人が(うご)めいていた。

 皆さん、着飾っている。

 女性は例外なく豪華なドレス姿だし、殿方も大半は華麗な服装だ。

 誰かが言っていたけど貴族の服装は身分が高いほど派手になるということね。

 殿方の大半は軍服だった。


 そういえば聞いたことがある。

 貴族って歴史的に基本は軍人というか、万一の場合は臣下を率いて戦う種族らしい。

 そもそもは武装集団が力をつけてのし上がったのが貴族や王族の始まりだものね。

 それでなくても戦争や紛争時には領地の兵を率いて戦場に行く必要があるわけで。

 統治者イコール戦時指導者なのよ。

 だから領地貴族や王族は軍に関係なくても将軍としての立場を維持している。

 それはつまり、そういう場所で着るための服を持っているわけで。

 舞踏会に何を着てこようが客の勝手なんだけど、殿方の招待客は礼服でなければ軍服を着る傾向にあるそうだ。

 いかんいかん。

 あまりにも非現実的な状況に直面して、つい現実逃避してしまった。


 国王陛下に手を取られて進む。

 会場より一段高い場所に立つと人波が凄かった。

 全員がこっちを向いている。

 私の前世の人の世界にあったトップアイドルのコンサートってこんな感じ?

 地下アイドルとかだとアイドルよりお客さんの方が少ない場合もあるらしいけど。


 国王陛下が私から手を離した。

「皆の者、息災で何よりだ。

 特に遠方より来られた方々にはご配慮を感謝する。

 今回は我がテレジア王国に新しく誕生した公爵を言祝(ことほ)いで頂きたい」

 いきなりですか。

 陛下が間髪を入れずに私を紹介した。

「テレジア公爵。

 ご挨拶を」


 容赦ないなあ。

 噛んだりしたらどうするつもりですか。

 まあいい。

 私は進み出て5秒ほど辺りを見回してから、おもむろに(カーテシー)を取った。

 ほんの軽く。

 だって私、ここにいる人達の中では最高位の身分なのよ。

 国王陛下や王妃様、王太子殿下は別だけど、私の後ろにいる。

 私が礼をとる相手は全員、私と同等かそれ以下の身分だ。

 外国の貴顕は判らないけど、まだ紹介されてないから存在しないものとして扱う。

 へりくだる必要はない。


 顔を上げてはっきり言う。

「テレジア公爵でございます。

 皆様、(つつが)なきよう」

 噛まずに言えた。

 そのまま後ろに下がる。

 いいのよ。

 演説(スピーチ)は短いほど歓迎されると聞いたことがある。

 私から言いたいことも特にないしね。


 その後、国王陛下が何か言って舞踏会が始まった。

 私はいきなりぽっかり空いた舞台の真ん中に王太子殿下に手を取られて連れ出された。

「あの」

「妃には内緒にして貰いたい」

 その割には堂々と私をエスコートする王太子殿下。

 すぐに演奏が始まる。

 これ、アレじゃない?

 乙女ゲームでヒロインが攻略対象(王太子殿下)を堕としたフィナーレ?

 断罪もざまぁもないし、ヒロインは自分が爵位持ちだし、王太子殿下は妻帯者だけど。

 まあいいや。


 王太子殿下は上手というよりは年季が入った熟練のダンサーだった。

 私はリードについていくだけでいい。

 それなら散々練習したものね。

 ステップに集中していると王太子殿下が囁いてきた。

「さすがだね。

 血は争えないな」

「血でございますか」

「そう。

 本来なら君の方が」

 止めて(泣)。

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