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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第三章 育預

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107.やっぱり金

 巻き込んでやろうと思ったのは、やっぱり私だけであのお茶会は未だにきついから。

 高位貴族の中に男爵令嬢が一人だけなのよ。

 お茶会の間中、礼儀(マナー)のテストを受けているみたいだし。

 最近は注意されることが減ってきたけど、最初は大変だった。

 駄目出しの嵐で(泣)。


 その日、帰宅してからモルズ様にお手紙を書いてエリザベスを招待していいかどうか聞いたら翌日には返事が来た。

 大歓迎だそうだ。

 というのはエリザベス、というよりはカリーネン家は商人男爵として結構有名みたい。

 何せ王家とも直接取引があるほどの大商人で、市居の法衣貴族だから男爵以上にはなれないけど権勢はなまじの高位貴族より下手すると上らしい。

 大富豪だもんね。


 前にコレル閣下が「カリーネン家の令嬢とお友達って何をした」とか聞いてきたけど、普通だったら下位貴族の子女が親しく付き合える相手じゃないそうだ。

 それは高位貴族の子弟も同じで、接点がない上に会ってどうする、という理由が見つからない。

 なので渡りに船だったみたい。

 お茶会の当日、エリザベスがミルガスト伯爵のタウンハウスに馬車で乗り付けてきた。

 うん。

 伯爵邸のより豪華だ(泣)。


「やっぱりエリザベスって大富豪のお嬢様だったのね」

「ああ、これ? ハッタリよ。

 王城に行くこともあるし」

 いや、そんな馬車で乗り付けてくるなよ。

 聞いたらカリーネン男爵が是非使えと押しつけてきたそうだ。

 みんな何考えてるんだよ!


 一緒に乗ってく? と聞かれたけどお断りする。

 だって何か嫌だし、私にもメイド(グレース)下僕(フットマン)が漏れなく付いてくるから、どうせ馬車を出すことになるしね。

 ちなみにエリザベスの馬車にも下僕(フットマン)がついていた。

 商会の使用人だろうけど。

 でも見た目には高位貴族の馬車だ。

 王城とかにもこうやって乗り付けるんだろうなあ。


 後で聞いてみたらもっと凄かった。

 商売だから商品を持っていくんだけど、荷運び専用の馬車に護衛がついてキャラバンみたいになるという。

 我ながら凄い人とお友達になってしまった。

 そういうのが友達(サポートキャラ)だったら(ヒロイン)も心強いよね。


 本日のお茶会は珍しくサラーニア様の主催だった。

 よって会場はサラーニア伯爵様のタウンハウスだ。

 サラーニア伯爵はモルズ伯爵やミルガスト伯爵と同格の領地貴族なので王都のお屋敷(タウンハウス)も同規模だ。

 つまり庭は広いし敷地内に本邸の他に使用人宿舎が建っている。

 問題はサラーニア伯爵ご本人が滞在していたことで。

 いつものようにテラスでテーブルを囲み、新参のエリザベスをご紹介して和気藹々とやっていたら、突然おいでになった。


「邪魔するよ」

「お父様!」

 ラフな格好でテラスに現れたサラーニア伯爵閣下は、やっぱりナイスミドルなイケオジだった。

 いやもちろんお付き(下僕)を伴っていらっしゃったけど。

 イケオジ度は私の兄上(サエラ男爵)と甲乙付けがたい。

 比較してどうする(泣)。


「おじさま、お久しぶりでございます」

 モルズ様が言って、その他の方たちも立ち上がって(カーテシー)をとった。

 もちろん私やエリザベスも。

 だって本物の貴族(爵位持ち)なのよ。

 それこそ身分が違う。


 サラーニア伯爵閣下はたまたまタウンハウスにいらして、娘の友達が来たというので好奇心がてら挨拶しに来ただけだったみたい。

 でも新参というか初対面の私やエリザベスに興味を持ったらしくてちょっと会話していただけた。

 特にエリザベスは後でまた、という話になった。

 大富豪で王家の御用商人であるカリーネン男爵家との付き合いは領地貴族にも美味しいお話なんだろうな。

 いい良い機会(チャンス)みたい。

 私については「ほう」という感想だった。

 でもやっぱり何か知ってるみたいで、最後に「娘をよろしく」などと言われてしまった。

 男爵の子女が伯爵令嬢をよろしくして良いんですか?


 サラーニア伯爵閣下が去ってほっと一息ついた途端に次の来襲があった。

「お兄様」

「やあ。邪魔するよ」

 伯爵様によく似た、というか伯爵様を若くしたようなイケメンはサラーニア伯爵の跡継ぎだそうで、やはり仕事で王都に滞在しているという話だった。

 嫡男だから普段は領地にいるのだという。


「ちょっと話していいかな」

「「「「喜んで」」」」

 イケメンの飛び入りは大歓迎? かと思ったら違った。

 皆様は澄まして傍観の構えだ。

 当然だけど初対面は私とエリザベスだけ。

 なのでイケメンの目的はやっぱりエリザベスだった。


 大富豪の商人の子女が妹の知り合いだったら知己を得ておいて損はないからね。

 私は置物になって聞いていたんだけど、このイケメン跡継ぎは学院には通わなかったそうだ。

 領地貴族の嫡男だから幼い頃から家庭教師について十分な教育を受けた。

 同時に領地で代官について領主見習いとして働くというか、研修生(インターン)やっていたという。

 エリザベスはさすがにプロ。

 ニコニコしながら情報を引き出していた。


「学院に通わずにメダルを?」

「依頼すれば試験(テスト)して貰えるのだ。

 金はかかるが」

 嫡男様は家庭教師のお墨付きを貰ってから王都に出てきて学院で試験を受けてメダルを頂いたという。

 もっとも試験を受けたのは語学単元だけで、領地経営とか王国史とかの分野は家庭教師が発行した証明書を提出しただけでメダルを貰えたとか。


「そのようなことが出来るのですか」

「そうだね。

 学院に認められた家庭教師はメダル発行許可を得ている。

 その方が納得すれば証明書を頂ける。

 金はかかるが。

 その証明書を学院に提出すれば、実力十分ということでメダルを貰える」

 やっぱり金か。

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