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俺のすべらない話  作者: 弓 ゆみ太
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山田くん

小噺を一つ


俺が高校生の時の話


クラスに山田くんって名前の渋い男がいたんだ


囲碁の本を教室で出したり


緑茶を教室でうまそうに飲んだりする感じの


いい感じにイカれてる男だった


焦ったりする姿なんか見たこと無い落ち着いた男だった


そんな変人だから山田くんには当然友達がいなかったんだな


孤立してたと思う。


ところが俺とはうまがあって、なんてことだったらこれからの話は良い話で終わってたんだが、


残念ながら俺もご多分に漏れず、彼とは没交渉だったんだ


そんな折、ある日の午後体育の授業があった。


正確になんの種目だったか覚えていないけど、

確か陸上の練習だったと思う、彼とペアを組むことになったわけよ


高校の時ってよくあるだろ、理不尽にペア組まされるの。そんな感じでおれは山田くんとペアを組んだ。


そして陸上の練習に入る前にウォーミングアップをすることになったんだ。


最初は軽いものからだったと思う。馬跳びをしたりとか、そんな感じの


でも途中から体育の先生のテンションがあがっちゃったのかな?無茶振りが来たのよ


「今からペア同士でお姫様だっこをして競走をする。」


体育の先生はこう言ったんだよ


…ふぁ!?


ってなるだろ。俺らもなったんだよ


けれど、言うなれば俺たちは先生の奴隷だ、やらないという選択肢はない。


そしてやるならガチが当たり前という、セブンズtvバリのノリが当時の俺らのスタイルだったから


この時も全力で競走することにしたんだよ。少なくとも俺はね


ところで、お姫様だっこって多分普通に生きてきた男子高校生なら、恐らくする事されることも無縁だよね?


当然バキバキの童貞だった俺はやったことなんかあるわけがない。そしてそれは山田くんも同じだったみたいなんだ。


ここで、一つお姫様だっこについて豆知識を書いておくと、あれにはコツがあって、だっこされる側が相手の首とかにしがみつかないと到底する側の腕の力だけで持ち続けるなんて無理なんだよね。


だけど、この時俺も山田くんもそんなこと知る由もない。


「さて、じゃあレースを始める」とノリノリの体育の先生が言い放った。


レースは行きと帰りで交代して、帰ってくるのが一番早いやつが勝ちというものだった。


山田くんと相談した結果、俺が行き、山田くんが帰りって分担になったんだよね。


それは俺が無駄に自信たっぷりだったから、様子を見たいと思った冷静な山田くんの判断だったんじゃないかな?


とにかく山田くんはそこで判断を誤ったんだ。俺というノリだけのアホに命を預けることになるんだから。


リヴァイ兵長も言ってただろ?「生殺与奪の権を他人に握らせるな」ってさ。


「よーい、ドン!」の合図のもとに、俺は見よう見まねで山田くんをお姫様だっこして全力で駆け出した。


そして10mくらい走ったあたりで気付いた。腕が限界だって。


だけど、負けたくない気持ちで全力ダッシュしてたから止まってゆっくり降ろす、なんて出来なかった


その結果どうなったか。


ブチ落ちした


山田くんを


全力ダッシュ中に腕の高さから


ユーフォーキャッチャーが景品を落とすように


俺もスッ転んだんだけど、山田くんのダメージは俺の比じゃなかっただろうな。


それで山田くんどうなったと思う?


悶えたんだよ。あの山田くんが


悶える悶える。


当然だよね。だって腕の高さから突然落とされたんだもん。そりゃ痛いよ。


だけど、俺はあの冷静な山田くんがそんなになるなんて信じられなくて、謝るどころか笑っちゃったんだよね。


爆笑。


駆けつけた体育の先生もビックリしながらも俺につられて笑ってたんじゃないかな。


そんなこんなで、レースは中止。山田くんは無事保健室につれていかれたんだよな。


山田くんに特に大きな怪我が無かったのがこの話の唯一の救いだな。


そのあと俺は先生たちにどちゃくそ叱られましたとさ。


めでたしめでたし。


みんなアホには気をつけろよ。

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