コールドスリープ
小噺を一つ
皆さんはコールドスリープというものをご存じだろうか?
冷凍冬眠と言って、現代医学では治せない病気になってしまった時など
未来の医療技術の向上に懸けて、死ぬ前に体を氷漬けにして保存する
といった手法である
有名なところで、アインシュタインの脳みそは冷凍保存されている、だとか
ウォルト・ディズニーは冷凍保存されている、といった都市伝説など
聞いたことがある人はいるんじゃないだろうか?
しかし、この技術自体が現代科学では完成しておらず、冷凍保存しても
生きたまま解凍する技術自体もまだないんだとか
だから、コールドスリープから覚めた人なんて聞いたことがないだろう
で、この話がなにかっていうと、俺がこの話を聞いたの小学生の時なんだよ
親父におしえてもらったんだ
その時の話をしようと思う
当時小学生だった俺は、同じく小学生だった兄貴が『トルネコの大冒険』っていう
スーファミのローグライクゲームをやってるのを見てたんだ
ローグライクゲームっていうのは、説明が難しいので是非ググって
興味があったらやってもみて欲しいんだが、簡単に言うとRPGとスゴロクを
まぜたみたいなゲームなんだよ
で、そのゲームの中の『もっと不思議のダンジョン』っていう最難易度の
ダンジョンに、装備を集めて強くして、いざ乗り込んだんだ
どんどんと深く潜っていって、階を重ねて、やっともう少しでクリアだ
って時だったと思う
このゲームには召喚スイッチっていう、踏むとモンスターに囲まれるって
罠があるんだよ
兄貴はそいつを運悪く踏んじまった
更に運が悪かったことに、その時は超強敵のギガンテスって敵に囲まれて
どう足掻いても勝てそうになかったんだ
で、ローグライク系のゲームって基本的にセーブしておいて
死んだらやり直し、みたいなことができないようになってんのね
全部が一発勝負
その代わりに自分が行動しなかったら、相手は動かない
いくらでも待ってくれるから、考える時間は無限にある
だから、その状況になった時点で俺ら二人で
「どうしよー」って固まったんだ
で、その日たまたま休みでいた親父の所に俺は駆けて行って
これこれこういうことになって、なんとか大人の力で解決できないかって
直談判したんだ
それぐらい、装備を集めて強くするのに労力をかけてて、死にました、では
済まないレベルの問題だったんだよ
俺達の元にきて、テレビ画面を見つめ、アイテムを少し確認した親父は
悟りきったような顔をして、こう言ったんだ
「コールドスリープしよう」って
そして先の説明をコンコンとしてくれたんだ
当然小学生の俺達は納得できんわな
兄貴はババ切れしながら自ら死を選んだよ
だけど、この選択は正しかった
あれから20年くらいたったけど、
未だに解決法は見つかって無いぜ、親父




