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俺のすべらない話  作者: 弓 ゆみ太
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格差社会

小噺を一つ


数年前の話


俺は3年くらい前に初めて車を買ったんだよ


それまで全然興味無くて、地下鉄のある生活だったから


全然不便を感じなかったんだな


だけど、転職して生活環境が変わったもんだから


どうしても必要になって買ったんだよ


で、それまで全く興味なかったから知らなかったんだけど、


どうも新しい車を買った時には事故を起こさないように


車のお祓いみたいな祈祷をしてもらうって習慣があるみたいなんだわ


お母さんが「しといた方がいいよ」って薦めてくれたから


じゃあ、ってんで行くことにしたんだわ


で、有名な神社に車で乗り付けて、言われるがままに受付に行ったんだな


そもそも俺祈祷なんてしたことなかったから、いくらくらい掛かるか


ビクビクしてたんだけど、神社の人いわく


「五千円以上で受け付けております」


って曖昧な表現だったんだよ。


『以上って何だ、以上って』とか不思議に思いながら


ケチな俺は『五千円でいいなら五千円にしよう』ってスケベ心だして


五千円しか出さなかったんだな


したら、向こうも一瞬少しばかり渋い顔をしたように見えたんだけど、


開き直った俺は気にすることなく祈祷を受けることにしたんだ


で、言われるがまま神社の境内の中に通されたのね


そもそも俺車の祈祷ってんだから、白い布が付いた棒を


車の前で振りながら、「えいやー」みたいな祈祷をすると思い込んでた


もんだから、中に通されたのにはえらく驚いたのね


で、それからあれよあれよで祈祷が始まったのさ


何か、神聖な雰囲気の場所に座るように言われただけで、


何の説明も受けなかったのね


中には、もう一人40代くらいのおじさんが同じように座っていたから、


俺一人じゃなくて良かった―って心底喜んだのを覚えてるな


そんで、なんか祈祷が始まったのよ


前で神主っぽい人が祝詞?みたいなのを上げ始めてさ


おいおい、マジかよって結構焦ったのを覚えてるな


で、しばらくしたらその祝詞が終わって、神主さんがこんなことを言いだしたのさ


「○○さん、前へどうぞ」


ってさ


そしたら、隣の席に座ってたおじさんが、さも当たり前のような素振りで


立ち上がって、前に出て、玉串っていうのかな?


何かの葉っぱを前の神主から受け取って、回したり上げたりして


儀式みたいなことをやりだしたのよ


……え、


ってなるよね


だって何も聞いてないんだもん。


そんなの次俺が呼ばれたって出来るわけが無い。


玉串で祈祷するのって俺が知らないだけで、


日本人なら誰でも説明なしでできることだったのか!?


マジでどうしよどうしよ、ってテンパリまくってたら


おじさんが終ったらしく席に戻ってきたのね


で、次はきっと俺の番だって思ったもんだから、


途中だけど俺もう先に、出来ませんって言おうと思って


口を開いたのね


「でき…」


言いかけたところで、神主が一言


「これで祈祷を終わります。皆様お忘れ物の無いよう


ご注意お願い致します」


って言ってどっかに引っ込んでったのね


俺は内心『助かったー』って思いながらも


不審に思って考察したのよ


この違いは何だ、ってね


そしたらあることに気が付いた


おじさん、持ち物の神社から渡された紙袋(お守りとか入ってるの)


が明らかに俺のより大きくてパンパンなんだよ


絶対に俺より色々もらってる感じなんだね


そこにきて、ようやく俺も気が付いた


あ、このおじさん、多分いっぱい祈祷料払ったんだわ


ってね



儀式とかお守り数とかで差をつけるって


こんなところでも格差社会の厳しさが垣間見えた気がして


なんだかとっても悲しい気持ちになった出来事でした

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