ケツケツ君
小噺を一つ
俺が新入社員だった時の話
入社したては支店に配属されずに、大人数で研修を受けさせられた
って話は前にしたと思うんだけど、その研修でのこと
俺の集められた研修所には、確か60人くらいが集められたんだよな
そうなると結構いくつかのグループに分かれたりする
今でいう、陰キャとか陽キャとかってやつだな
で、その中に纐纈君って奴がいたんだな
名前だけみたら、スンゲーいかつい奴を想像してしまうけど、
実際は芸人のずんの飯尾みたいな感じの、死んだラクダのような顔の奴だったよ
いじられキャラってわけでも無かったんだけど
いけてないグループに所属してたのは間違いないな
で、俺はというと、陽キャグループって言いたいところだけど
それほどガツガツしてた訳でもなく、かといって陰キャグループって
訳でもなく、別路線のイカレグループみたいなところに所属してたんだな
で、そのグループの中に一人『増田』って名前の天才がいたんだよ
あいつは天才で、支店に配属されても速攻でトップの営業成績叩きだしてたな
増田のどこが凄かったかって言うと、ネーミングセンスがずば抜けてたんだ
勝手に人にあだ名を付けていくんだけど、その名前が強烈でさ
で、俺はそのことを知らなかったから、普通に纐纈君の名前覚えてなくて
増田に普通の会話の中で聞いちゃったんだよ
俺「あれ、Dグループのあの貧相な顔の男って何て名前やったっけ?
何か難しい感じの読み方だったのな?」
増田「あぁ……ケツケツ君ね!」
俺「!?」
俺は一瞬で『ケツケツ君』ってパワーワードにやられたね
みんなも一度口に出して欲しいんだけど、とにかく言いたくなる言葉なんだよ
それからは俺らのイカレグループの中で『ケツケツ君』ってワードが大流行
知っててもわざと
「あぁ、確かそれ『ケツケツ君』だな」とか
探しても無いのに
「あれ、『ケツケツ君』どこいった?」とか
とにかくみんな『ケツケツ君』ってワードを言いたいだけなの
「言いたいだけやん!」って言ってツッコミ合ってたな
そんなケツケツ君、実は支店に配属された初日に怒られて
嫌になってその日に会社辞めちゃったんだよね
ある意味伝説だけど、名前言えなくなって寂しい思いをしたのを覚えてるなぁ




