大好き~結婚したい~
小噺を一つ
今回は『俺の保育日誌』から転載
読んだこと無い人向けなので、読んだことある人はスルーしてくれ
俺がまだ保育士を初めて間もない頃の話。
その保育園にTちゃんという4才の女の子がいた。
当時まだ保育士を始めたばかりで右も左も分からない俺のことを
Tちゃんはとても気に入って懐いてくれていた。
と言ってもその保育園はそこまで大きな園では無く、
男性保育士が俺一人しかいなかったので、大人の男が珍しかったんだと思う。
ある日、おやつの片づけをしていると
トコトコトコっと俺の元に走り寄ってきて
クイクイっと俺のエプロンを引っ張った。
(何だろう?)
そう思ってTちゃんを見つめても、
なおも恥ずかしそうにもじもじするばかりで何も話そうとしない。
「どしたん?」
俺が問いかけると、Tちゃんは恥ずかしそうに
「あのね~Tちゃんね~」
「うん」
「ゆみ太くん(俺の名前)のこと大好き~結婚したい~」
そう言ってデレデレっとエプロンをクイクイする。
かわいい。死ぬほどかわいい。
そう思いながらも必死に冷静を保つ俺。
「ありがとう。」
多分顔はにやけていたと思う。
「でもどうして?」
うれしくてもっと話を聞きたくて問い返す。
「だって~、エプロンのここにあるお花がかわいいんだもん!」
ガーン。そんな理由か~。
俺は平静を装って
「Tちゃんが大人になってもまだ好きだったらしようね。」
と大人な対応を返した。
「分かった~」
といってTちゃんはまたトコトコと走り去っていった。
保育園で働いているとこんな楽しく少し残念なこともある。




